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NO.66 |
- 例会発表1
タイトル:学生との接点はどこにあるか?
担当者:西尾治子・根岸純
テーマ:構成、評価、クラス運営
キーワード:教師のモチベーション、アンケート
12/02/01
no.66
20世紀最後のPéka12月の例会は風邪をひかれた方が多かったせいか、欠席が多く少し寂しい感じでしたが、フランス語教科教育法を学んでいる学生の方々の出席もあり、熱意が感じられフレッシュな印象の例会でもありました。これからも多くのみなさんのご参加をお待ちしています。
■例会報告
学生との接点はどこにあるか?
西尾治子さん
根岸純さん
前半、西尾さんの学生へのアンケートについての内容は、以下の順番で進められました。
1.アンケートを取ることの意味
アンケートをフランス語を教える当事者が取ることは客観性を欠いてしまうし、500名以下の回答者の調査では意味がないという一部の考え方はあるが、フランス語教育に携わっているからこそ、現状を踏まえたアンケートの質問文を作成できるし、教師と学生のフランス語に対する考え方を知ることができ、相互にモティベーションを与え得るし、より活性化した授業を可能にすることに役立つので、現在の二外の危機的状況を踏まえた上でもアンケートは決して無意味ではない。
2.アンケートとは何か?
?調査の目的(何を知りたいのか)を明確にすることが大切
?調査の種類:電話調査、留め置き調査(ヒヤリング=聞き取り調査またはインタビュー=自由面接)、集合調査、ハイパー調査(対話型ソフトウェアによる調査、ウェブページでの調査、電子メールによる調査)
この中で集合調査はアンケート調査と言われるものであり、回収率が高く、調査結果がすぐに出て、複雑な質問や量の多い質問も可能である等の利点がある。
?調査のプロセス
?アンケートの回答形式
?質問項目の作り方と注意すべき点
3.具体例として総理府の女性に対するアンケートとピエール・ブルデューのアンケートについて分析・検討した。
4.二外学生にフランス語学習のモティベーションを喚起するアンケートの作成についてグループ作業:
@アンケートを取る時期:
?年度始め=前年度の授業についてや学生自身の授業に対する姿勢を問う。
?前期の終わり=出席率、予習・復習の程度の評価や授業評価ができる
?学期の終わり=授業への学生の評価が得られる
Aアンケートを取る意義
?学生の関心を知ることができる
?フランス語学習の目的が明確化する
?学生の普段考えていることがわかり、学生とのコミュニケーションが図れる
?教師が学生を理解しようとしている姿勢がわかる
?教師がシラバス通りに授業をできたかどうか確認できる
B二外の危機的状況を打開するためには?
?教師が魅力的授業をするように努力する
?大学に外国語教育を専門とする部署があり、全学部から権限を委任されているような機関の存在が必要
?外国語は外国人に教えさせようとしている傾向があるため、大学で外国語学校より上のレベルの内容を提供する→海外研修、インテンシブ方式
?たとえば経済学部では、フランス語+経済の知識も必要というように学習者のタイプに適合するような教え方もできる
U
後半の根岸さんの発表の前に、那波さんから都立立川高校でのフランス語を含めた第二外国語の授業廃止の動きについて報告がありました。進学校では受験体制強化のため、英語偏重と二外への圧力があるということでした。少人数で恵まれた環境の二外のクラスは、その存続を希望する多数の生徒の声にもかかわらず、来年度の2年生には開講されないそうです。
U
根岸さんの「学生との接点はどこにあるか?」では、まず学生との接点について、参加者が考えていることをいくつか出し合いました。
?学生との接点はない!
?飲みに連れていく(少人数の場合)
?学生を集団としてとらえるか、個人としてとらえるか
?学生・生徒の意欲・モティベーションを高める(育てる)には?
?クラスに合ったテクストの選択とは何だろう?
?評価の仕方
次にグループに分かれてディスカッションが行なわれました。その結果から「学生との接点」のあり方が様々な側面から出されました。
?学生が授業を選択し出席してくれる
?教材選択
?授業での時間と場の共有
?教師の発話と余談
?評価の仕方
?宿題の出し方(返却時誤用訂正などのメッセージ)
?質問・相談・メール・昼食を一緒に食べるなどによる交流
?小テスト(返却時誤用訂正などのメッセージ)
?名前を覚える
?教師の授業への情熱
?達成感を与える
?飲み会に行く
また最後に、「接点はフランス語の授業が開講したときからある。それを失くしてしまわないように努力しなければならない。」という基本!が提示されました。(Y.N.)
■LIVRES CHOISIS
1.竹内敏晴『からだ演劇教育』(岩波新書)
2. MONNERIE-GOARIN, Annie著
善本孝、原田早苗、西村亜子共訳
『謎が解けるフランス語文法』(第三書房)
→1994年7月のPéka例会で「中級文法を考える」という発表がありました。(NewsLettre
No.28を参照してください。) 当時発表者であるメンバー3人が、現状により適合した「中級」文法のレフェランスを求めて、翻訳に着手していたLe
français au présent (Didier)の日本語版が(やっと!)出版されました。日本人学習者向けのアレンジが施され、当時の例会報告にもあるように、morphologieからproductionへの架け橋として最適。
■Péka Info
Attention!
次回例会開催日変更
2月24日に予定しておりました次回の例会は、3月3日に変更になりました。会場は上智大学です。詳しくは右記案内をごらんください。
■Péka Info
Nancy便り (常磐僚子さん)
Pékaの皆さま、お元気でしょうか。フランス滞在2年目に突入しました常盤僚子です。「もの好きな…」という顔をするパリの人たちを尻目に、昨年の秋ナンシーに引越し、博士課程に登録しました。ナンシー第2大学にはautonomieの研究で有名なCRAPELという研究所があるのです。平たく言うと、「目標設定から学習評価まで自分でできる自立した学習者を育てる」という究極の理想(!?)について30年前からまじめに研究しているところです。日本で非常勤をしていた頃、「フランス語、上達したいんだけど週一回しかないしむずかしいから挫折しそうー」という学生をたくさん見て、もっと学習者トレーニングが必要だと感じたのがここに興味を持ったきっかけでした。授業以外のリソースの活用の仕方が分かれば学習機会は増えるし、将来フランス語を勉強しなくなっても学習能力は他のことに役立つだろうし、何より学習者が自分がやらなきゃ上達しないという事実を受けれ入れなければ話は始まらないと思うのです! まだこのラディカルな理想を追求し始めたばかりで戸惑うことも多いのですが、私は現在ここでapprentissage autodirigé(自律学習)におけるマルチメディア使用の利点・欠点について研究しています。皆さんの中にインターネット(情報検索、チャット、フォーラム、Eメール交換など)を授業に取り入れている方がいらしたらぜひ情報交換させてください。それでは暖冬のフランスに比べて今年の日本は寒いようですが、どうぞお元気でお過ごしください。
■Péka Info
次回のお知らせ
3月 3日(土) 14:30-18:00
上智大学四谷キャンパス
3号館5階 3-538 CALL教室
(土手沿いの正門から入ると、すぐ右手=守衛所の向かい側に1号館に入る入り口があります。そこから入って、まっすぐ廊下を歩き、つきあたったところが3号館です。理工学部掲示板と階段のそばに、エレベータがありますので、5階へどうぞ。エレベータをおりたら左へ、廊下を9号館の方向へ行くと、左側にCALL教室があります。)
「フランス語学習者のためのインターネット・リソース」
小松祐子(さちこ)さん
インターネット上にフランス語学習のための教材が増えています。今回のアトリエでは、代表的なインターネット・サイトを学習の目的別に紹介し、参加者の皆さんと一緒にその内容、機能を比較検討したいと思います。
次回は、2001年度の例会日程と年間テーマについても話し合います。ぜひご参加ください。
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