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NO.63 |
タイトル: 試験問題と成績評価を考える
担当者: 原山重信
テーマ: 構成、評価
キーワード: テスト、問題形式、成績評価
Péka
Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 63
le 28 aout 2000
残暑お見舞い申し上げます。
皆さまいかかお過ごしてすか。
今回の報告は、新学期に試験を行なう方にはぴったりの話題。ヒントにしてください。でも、まだまだ夏にしがみついていたい方々には、少しつらい話題かも…いきなり現実に引き戻されます。
■例会報告
試験問題と成績評価を考える
原山重信
まず、各自持ち寄った試験問題について、出題者に使用教科書、クラス状況、問題形式、成績評価結果などを説明してもらいました。問題形式としては、以下の種類がありました。
●文法と語法の問題一多肢選択問題、語形変化、動詞の活用など。
●聞き取りテスト-数字、綴り字の一部など。
●□頭試験一テープに吹きき込む、フランス人教師と対話など。
●読解力テスト-内容に一致するものを選ぶ。
●書く技能テストー自己紹介、求められた状況1こ合わせ崖舌文、手紙など、
次に4グループに分かれて、問題を分析し、出題者の目的を類推してから、出題者本人に問題についての質問をしたり、目的を聞きました。
目的として、以下の事柄が挙げられました。
●語彙力など総合的な知識を身につける。
●筆記テストでは、文法事頃の定着を求める。
●資料を使いこなす(実用的な知識)。
●授業で習ったことを使いこなす応用力をつける一将来につなげる。
●自己紹介ができる。
●いろいろな問題の形式に慣れさせる(受験対策)。
さらに原山さんから、試験問題の作成と評価についての参者書が紹介されました。
□中村啓佑、長谷川富子、『フランス語をどのように教えるか』(第3章)(駿河台出版社)
□Yves Loiseau, Régine Mérieux, Exercices
de Grammaire française, cahier débutant et cahier
intermédiaire, collection dirigée par A.Monnerie-Goarin,
Didier/Hatier.
そして、試験問題、成績評価について、各自の取り組み、意見が発表されました。
●後期試験の答案を返却し、学生に復習を促している。
●なせ、学校側は、試験期間中に試験をしてほしいと言うのかという問いに対して、授業時間を確保(特に月曜)するために試験は平常授業時間にするのではなく、試験期間内にしてほしい、という答もありました。
●慶応大学湘南藤沢キャンパスでは、担当の教員たちが問題を持ち寄り、採点も担当者がするので、点数の不公平かない。また、試験後に解答を配るので、フィードバックできる。
●授業に緊張感がでて、単位を取りやすいので、平常点や小テストも成績に含んだ方かいい。
●限られた試験時間では、話す能力のテストかできないという悩みには、
-授業時間内に会話のパターンを示して、試験をする。
一予習がてきるし、時間を節約できるので、前もって、状況とキーセンテンスを示し、教室外に机といすを出して、試験をする。
などの解決策が提案されました。
●人数が少ない場合には試験をしなくても、平常点で評価できる。
一テストをしないかわりに、宿題(書き換えなど)を、毎回提出させ、学生同士て採点させる。出席を重視する。授業中、必ず一回は指名し、名前を覚える。
最後に、試験問題を作成する上で、気を付けていることとして、以下のことか挙げられました。
●まんべんなく、教えた文法事項にふれ、やまをかけさせない。
●目的、授業内容、学生のレベルにあった問題をつくる。
●教師の意図に合う答えを導くために、指示を細かくする。
今回、いろいろな試験問題を見せていただいたので、みなさんの斬新なアイディアを学ぶことかできました。今後試験問題を作成する際に、活用したいと思いました。
(Y.I.)
■LIVRES CHOISIS
Pékaメンバーが薦める本
1.高木善之『オーケストラ指揮法』(総合法令)
一オーケストラ指揮者の立場から、どうしたら人間を動かすことができるか、いい人間関係を作れるか、参考になる本です。(原山重信)
2.窪園晴夫『日本語の発音』(くろしお出版)
一日本語を学ぶ外国人に、日本語の発音を説明した本。日本語の発言の仕方をわかっていれば、フランス語学習者の誤りの予測や矯正が可能になる。(井上美穂)
3.市川伸一編著『学習を支える認知カウンセリング』(ブレーン出版)、1993
一主に算数・数学のケースか紹介されているが、ストラテジー、モティベーションなど学習者の個人差に注目する視点は参考になる。(姫田麻利子)
●ジャンルは問いません。掘り出し物、必読書何でも結構です。教師としての活動を実りあるものにする文献目録のために今後もご協力下さい。
■Péka Info
FIPF世界大会・参加報告 長野 督さん
7月17日の週、フランス語教授運合の世界大会が、パリで行われた。改装されたパレ・デ・コングレに3300人(公称)を集めた大会は、教師が手弁当で仕事を分担した東京大会と異なり、警備は警備会社、宿舎と旅行は旅行会社などに外注され、全体の雰囲気はいたってビジネスライク。あちこち細かい気配りのなさが露呈していたことは否めないが、それも含めて、いわば大会はよかれあしかれ非常にフランス的だったといえよう。
内容は.多分この大会て最もうまく運営されていたもの(=FIPFのインターネットサイト*)で見ていただくとして、今回の大会の特色は、やはり何と言っても多言語主義だろう。フランス政府は実際、フランコフォニー省を中心にフランス語教育関係の部署を大幅に変革してきていたか、今回、ジョスパン首相も、フランス語が権力の象徴であったかつての植民地言語から、世界的な権力言語になりつつある(?)英語と、英語による世界の均一化に対抗する反権力言語の一つになりうると主張した。レジスタンスの国、また歴史的にuniversalismeの国フランスが、今この危機にその精神に戻るのは悪くない。こういう大会に首相が出てきちゃうのはすごいなと思わさるを得ないけれど!
さて、あらゆる学会同様、この大会も出会いの場であり、わかりにくい広い会場の真ん中にしつらえられたカフェが多いに活用された。私のまわりでは、お隣の韓国の先生が特に積極的にアジアの輪を広げていた。彼の熱意は、2002年のアジア大会の開催(希望)を射程に入れたものであるらしかったが、同時に、それはとりもなおさず、この大会全体に漂っていた空気、時には声に出していわれた各国のフランス語教育の危機を、同じ問題を抱える者同士協力してのりこえ、何とか未来につないでいこうとする、現場からの強い意志の表れでもあったと思う。
*http://www.ifrance.com/fipf/accueil.htm
次回のPékaは…
『外国語教育におけるインターネット:その活用と意義』 藤田 保さん
9月30日(土)14:30-17:30
上智大学四谷キャンパス 3号館5階3-538 CALL教室
(土手沿いの正門から入ると、すく右手=守衛所の向かい側に1号舘に入る入り口があります。そこから入って、まっすぐ廊下を歩き、つきあたったところが3号館です。理工学部掲示板と階段のそばに、エレベータかありますので、5階へどうぞ。エレべ一タをおりたら左へ、廊下を9号館の方向へ行くと、左側にCALL教室があります。)
次回は久しぶりに、ゲストを迎えてワークショップを行います。藤田さんは、今英語の世界で注目を集め
るCALPS(上智大学応用言語学研究所)Home Pageの管理もなさっている方です。お楽しみに!
『外国語教育におけるインターネット:その活用と意義』
インターネットというものの存在はブームを過ぎ、すで私たちの生活に浸透、定着しているのではないでしょうか?その意味では語学教育でインターネットを使うといっても、決して特別なものを使うということではなく、テープレコーダーやビデオなどの利用と同様、テクノロジーの一形態の活用に過ぎません。とは言え、道具が違えばその道具が使われる目的も違ってきます。インターネットを使うのであれば、その持性を活かさなくては使う意義は半減してしまいます。
そこで今回のワークショップの前半ではまず双方向性、迅速性、マルチメディア性といったインターネットの持つ特性を現在の外国語教育で主流となっているCLT(Communicative
Language Teaching コミュニケーションを中心とした語学教育)の流れで捉え直した上で、同じコンピュータを使った教育でも従来型のCAIやCALLの教材との違いや新しい授業の概念、そしてその中におかる教員の役割などについてお話したいと思います。
続いて後半では、過去数年間にわたって私自身か大学生を対象にインターネットを使って行ってきた英語の授業の具体的な例をご紹介したいと思っています。
藤田 保(ふじたたもつ) 上智短期大学英語科助教授 専門は外国語教育(カリキュラム論)と言語習得(バイリンガリズム)。
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