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NO.54 |
タイトル: 「文法の授業を考える」(その3)
一第二外国語として担当する教師の立場から一担当者: 根岸鈍
テーマ: 実践、文法
キーワード: 第二外国語、文法クラス、問題点、雰囲気
タイトル: 1年目のフランス語 一高校フランス語コースでの実践報告一
担当者: 井形和正
テーマ: 実践、文法
キーワード: 構成、クラス運営 高校のフランス語、カリキュラム
Péka
Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 54
le 11 février 1999
大学、高校では新学期が始まって2ケ月たちました。新しいクラスもようやく乗ってきた頃ではないでしょうか。授業は順調に進んでいますか?祭日のない6月、夏休みまであと何日って指折り数えたりしていませんか?
■例会報告1
「文法の授業を考える」(その3)
一第二外国語として担当する教師の立場から一
根岸鈍さん
(例会での討議は●印のあとにまとめた)
配布資料:
1)「ensemble」(芸林善房)第7課
数軒の家の絵があり,どれか一軒を塗らせる=不定冠詞の理解。
数軒の家のうちの一軒にアンテナが描かれており、その家を塗らせる=定冠詞の理解。
2)「フランス語21」(白水社)第2課
動詞の活用表にjeとvousだけしかない。一日の生活について話すにはそれだけで十分。
3)「どうする学力低下」(東京新聞1998年10月27日付)
根岸さんの発表は,「文法をどのように導入したら良いのだろうか」という問題提起から始められた。その方法として、次の2つがあげられた。
1)文法項目を指示し.練習問題をやらせる。2)文法用語をあまり用いず、会話や例文に触れさせる(遊びあるいはゲームの感覚で文法を覚えさせる)。
上記1),2)のいずれの方法をとるにせよ次のような問題点があげられる。
問題点1 学生の側の受容能力の問題
教師は知識習得の方法や情報を送る。授業においては積極的に学生を指名すべきである。
問題点2 定期変動指定席制の実施の是非
挙生数が40名を越える場合には多少の効果があった。学生の意見としては、ほぼ7割が肯定的である。
長所1 教師が学生の名前と顔を覚えやすくなる.出欠もとりやすい。
長所2 人と話をすることカ苦手になっている大学生にとって、それまで知らなかった人とクループを作り互いに教え合い、 間違いを指摘し合うことは、自己能力を伸ばすことになる。
短所1 始めから拒否反応を起こす学生がいる。
短所2 教師の側にかなりの体力と気力とを要する。
問題点3 4月の最初の授業の重要性
達成目標をはっきり指示すべきである(仏検4級合格、パリ旅行など)。
成績の評価方法を明確にしておく。
問題点4 発音練習について
まず、発音は言語の習得に不可欠だと言うことを理解させる。始めに発音記号を教えてしまえばよいとするやり方には無理がある。また、始めからノーマル・スピードで行うのは難しい。手ほどきとして、教師が発音のこつを分かりやすく、ゆっくり読んで聞かせることは必要なことである。
問題点5 授業運営について
学生がフランス語の授業に行きたくなるような、(そして何よりも教師自身が教室へ行くのが楽しみになるような)雰囲気を作る。その戦略として次のようなことがあげられる。
(1)学生の名前を覚える。
(2)座らず、つねに教室内をうろついて、学生の質問に対応できるようにする(夜中に足がつってつらい!)。
(3)青筋を立てて怒らない(卒中の心配!)
すべて目的は、学生のモテイペ一ションを引き出すことにある。
○授業中、携帯電話を使うために席を外す学生がいるが、これを容認すべきかどうかで意見が分かれた。
問題点6 教師の学生・生徒への関わり
フランス語以外のことでも注意したり、エラーを指摘して欲しいという要望がある。
問題点7 大学のレジャーランド化
第二外国語の講座を開く都立高校がこの数年増える傾向にあることを、大学が認識していない。
問題点8 教科書の選択と辞書の採用
教科書を全学年同一のものに指定している大学もある。1年次は和訳する作業を思い切ってやめ、フランス語の会話や構文を、とりわけ発音を中心にして繰り返し練習させる方が学生のモティベーションを高めることになるだろう。辞書は、使い方を説明する必要がある。
●教科書統一の是非について、立場や考え方によって意見が別れた。
以上、自分に対する批判は残るが、学生がフランス語あるいはフランスに興味をもった(=モティベーションが生まれた)ことを認識できた時の喜びほ大きい。
(M.G.)
■例会報告2
1年目のフランス語
一高校フランス語コースでの実践報告一
井形和正さん
(例会での討議は●印のあとにまとめた)
配布資料:
教科書 (Café Crème 1)Dossier O
定期試験
生徒に行ったアンケート
高校のフランス語コースでを教えていらっしゃる井形さんから、現状・問題点・英語との関連について発表があった。
現状報告
1)カリキュラム等
生徒数は1年6名、2年4名、3年6名。
高校1年次より履修。時間数は、日本人教師=1年4コマ、2年4コマ、3年6コマ。フランス人教師=1年7コマ、2年7コマ、3年5コマ。授業以外にも、放課後に週2回、講座を開講。授業の不明な点の解明、文法事項の補充、仏検準備など。
また、2年次にフランス研修を行つている。
使用教材:「Café Crème 1」(井形さん)
「Fréquence jeune」(フランス人教員)
●教科書はどちらか一つにした方がよいのではないかという意見が出た。
2)動機づけ
Dossier 0を活用として円滑な導入を心がける。ビデオは不規則的に使用。
●最初と最後にピデオを見せれば、生徒≡はより効果的に、自分のフランス語力の伸びを確認できるのではないかという意見が出た。
3)授業展開
Guide pedagogiqueにかなり忠実に進める。日本語訳は努めて避ける。
●日本語訳を作って渡してしまうのも、一つの手段ではないかという意見が出た。
4)発音
個々の発音以上に、リズムとイントネーションを重視する。拍子をとる。
問題点
1)進度はこれでいいか(1課につき10時間位を使っている)。
●適当と思われる。ただ、大学受験がある以上、先に討論したように、教科書を1冊にした方が進度が早まるという意見が出た。
2)フランス人教師との連携のしかた。生徒間の人間関係の問題が複雑である。
英藷との関連
英語との違いを意識しすぎると発音できなくなる。
●かえって、違いをはっきりさせた方がわかりやすいのではないかという意見が出た。
その他
「C.E.L関西」の東京版、例えば「中・高フランス語教育運絡協議会」といったものの設立を企画している。
(M.G.)
■Péka Info
Hyper-Bibilolo !?
3月6日(土)13時より
上智大学4号館182教室にて
Hyper-Bibiloloのプレゼンテーションをいたします。
神話的ロベルジュの授業をパソコンでやってみようという教材です。
みなさんのご意見をうかがって改良していきたいと思っておりますので、みなさまぜひお集まりください。
(M.H.)
次回のお知らせ
●日時:1999年2月20日(土〕14h30-17h30
●会場:上智大学四谷キャンパス上智紀尾井坂ビル地下1階 B-111教室(次ぺ一ジ地図参照)
●テーマ:映画を使った教材の可能牲について(白井春人さん)
植民地教育を考える(西山教行さん)
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