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NO.51 |
タイトル:10分間発音練習-20回分
担当者:井上美穂
テーマ:実践、発音
キーワード:発音練習、練習問題
タイトル:練習問題の作り方について
担当者:片山貢
テーマ:実践、練習
キーワード:練習問題
Péka Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 51
le 15 septembre 1998
〒102東京都干代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
田中幸子研究室 tél.03 3238
3742
郵便振替口座00120-1-764679 PEKA
■例会報告1
10分間発音練習一20回分(2) (井上美穂さん)
井上さんによる発音練習(20回分)をもとに、前回の例会ではグループごとに「フランス語21」に合った練習に作り替える作業を行なったが、今回は前回作成したその練習問題を検討した。
作成した問題は20回のうち14回目まで、「フランス語21」の5課の1までを扱う。テキストの進度に合わせ、用いる例文や単語はその課かそれ以前の課のもの。
(1)最後の母音をはっきりと発音:練習作成者から「唇をはっきり動かす」という指示の提案があった。[o]と[u]で「丸めましょう」、[i]と[e]で「横に引きましょう」という表現を使う。円唇化に関して、前回文字の下に◎印をつけるということが前回提案されたが、あらかじめその部分に線を引いておいて、授業で色ペンを使って色分けさせてはどうかということが提案された。円唇化の色分けと共に、伸ばす最終音節に下線、読むものに○、読まないものに×、という印をその都度書きこむ練習をする。
(2)語末子音字:発音しない語末子音字に×、発音する語末子音字に○。crf1の子音字は語末でも発音。「careful」で覚える。例文を引用する際に鼻母音が登場してしまうが、この時点での詳しい説明は避ける。
(3)[R]の発音:実際に[R]の音を含む単語を発音して練習。提案された練習問題は、語末、語中、語頭に分けた非常にていねいな練習であったが、前後の練習と比較するとやや詳しすぎるのではないか、最後の練習問題のみでいい、との意見もあった。
(4)語末のe:実際に発音して、違いを指摘する。語末のeの説明として、「読まない」あるいは「前の子音を読むためについている」という説明をしたらどうか、という提案があった。
(5)母音字の読み方:母音字ai,
ou, au, eu, oi, uを○で囲む。
(6)リエゾン:リエゾンの場所に印をつける。表の形で整理する。
(7)語頭・語中のeの読み方:[e]と読むものに○、[■]または読まないものに×。
練習問題は(14)まであったのだが、時間の不足のため(7)までで今回は終了した。練習問題(8)以降については次回の例会で取り扱うことになった。
(A.T.)
■例会報告2
練習問題の作り方について (片山貢さん)
EDFJ7号掲載、片山さんご自身の「練習問題の類型論」をもとに、今回は教科書Partir
pour Parisを用いた具体的な問題の作り方について検討した。
類型論の中の難易度(A1?A6、 B1)に応じた問題作りを行なった、難易度の分類に関してはEDFJ7号、
p.48のリストを参照のこと。
A1(読む/聞く)省略
A2(印づけ/弁別)左右に分けられた単語とイラストを線で結ばせるという問題より、記号をふった単語とイラストを結びつけるという問題の方が、見やすくcorrigerの段階で楽。
A3(QCM:Questionnaire à choix
multiple)文章あるいは口頭での理解力をみる。まず問題文(item)を提示。その例文に対し正解(réponse
correcte)と間違った答え(distracteurs)とを用意する。この形の問題作成の利点としては、採点表を用いることで採点が楽であること。不便な点は、構想と制作に時間がかかるという点、上位の知的操作をテストすることができないという点である。
A4(表/ペア作り/分類)基とする文章を提示し、分類すべき文法的要素を指示する。利点としてはA3と同様に採点が正確にできる。表を作ることにより規則性、体系性を意識できる。またチャートによって要点を整理することに慣れた世代には安心感を与える。
A5/6(空所補充問題)問題文から空所となる語を消していくのであるが、そもそもは毎5語が基本であった。しかし解答の難しい語やキーワードが空所となってしまった場合、その部分を変化させる(5語から6語へ、など)不便な点としては、語を書きこむ場合いろいろな可能性を考慮しなければならないということ。
次に、練習問題補充の一例として、CLE
InternationalのGrammaire avec 450 nouveaux exercicesを参考に片山さんが用意してきて下さった問題についてみていった。
今回の例会にはPartir pour Parisの著者のお一人である、藤井義孝さんがいらしていたことから、この教科書の作成時のお話をうかがうことができた。作成に参加された先生方は必ずしもコミュニカティブアプローチに積極的である方ばかりではなく、内容的にも仏検4級をカバーするように考えられているとのことだった。仏検への対応と会話中心の授業とでは矛盾してしまう部分も大きい。しかし1年間の授業だけでは会話の習得は難しいということを考えるとき、仏検は一つの達成目標になるのではないか、との意見も出た。
(A.T.)
■Péka Info
前号の例会報告に関して
NewsLetter50号のRencontres pédagogiques
du Kansai 報告について、アトリエをやった当のご本人である小澤祥子さんから、お便りをいただきました。
NewsLetter50号の報告では、11のアトリエについて簡単に紹介されていましたが、そのうち小澤さんが発表されたアトリエの内容について
「教師の指導:辞書を引く生徒のほうが上手になる。教師が発音を注意しても、うまくはならない。」と「要約」されていましたが、小澤さんご本人によると発表では、「辞書を引く生徒のほうが、全体としてフランス語がわかったと自分では判断している。また教師が発音にうるさい場合と、慣れるようにということを第一としてあまりうるさく言わない場合では、後者の指導を受けた学生のほうが発音・発話の練習をよくする傾向がある。」
……という趣旨だったということです。なるほど、ずいぶんちがいますね。小澤さん、ご指摘ありがとうございました。Pékaの例会に来ていた人たちの大半はランコントルには行けないので、その場での報告やNewsLetterに書かれたことで「擬似体験」を楽しんでいるわけですが、「伝言ゲーム」のように内容が違って伝わってしまうこともあるという良い教訓になったと思います。今後とも、NewsLetterを見て、「えっこれって、ちょっとあのときの議論とちがうのでは??」と思ったは、どんどん言っていただければ、ありがたいです。
(S.T.)
次回のお知らせ
●日時:1998年9月26日(土)14h30?17h30
●会場:上智大学四谷キャンパス6号館311教室
●テーマ:志賀高原スタージュ報告(井形和正さん)
10分間発音練習(3)(井上美穂さん)
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