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NO.46 |
タイトル:英語からの新しい風
担当者:倉住修
テーマ:環境、理論
キーワード:ワークショップ、観察、フィードバック
Péka Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 46
le 10 octobre 1997
〒102東京都千代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
田中幸子研究室 tél.03 3238 3742
郵便振替口座0120-1-764679 PEKA
■例会報告
英語からの新しい風 (倉住修さん)
今回は趣向がガラリと変わり、英語教青の専門家をお迎えしての例会でした。animateurは倉住修さん。TESOL(Teachers of [Teaching] English to Speakers of Other Laguages)がご専攻、テーマはClassroom Observation?a theoretical framework and its application。便宜上、全体を[workshopの実際]、[理論的考察]に大別して振り返ってみることとします。
1?[workshopの実際] workshopは以下のように始まりました。
1) participantsを三つのグループ(observateurs一以下Oとétudiants一以下E)に分ける。
2) カードをOに配る。(カードの記述については後述)Oはカードの指示に従ってobservationを行なう。
3) topicsをEに投げ掛ける。
以上が主軸となっています。では、個々のtopicsについて見て行きましょう。
最初のtopics:「英語教育の小学校導入の是非」(是_2名、非_7名)。是の理由?「語学は時期が早いほど抵抗なく習得できる」、「早期導入という考え方自体は好ましいものである」。非の理由?「ただでさえ忙しい子供には負担が多過ぎる」、「指導者がいない」、「現行のカリキュラムを減らす方向がある中で音楽などの情操教育の時間数削減の犠牲の上に成り立っている」、「なぜ『英語』教育なのか?アングロ=サクソンのヘゲモニー強化につながる危倶あり」、「早期導入は語学に対する子供の意欲を削ぐ危険をともなう」…意見が出尽くしたあたりで倉住さんからのコメント(1-多くの調査では是非の割合が逆である 2-この質問に際して必ず出てくる「国際化」なる言葉が出なかった)があった後で、Oに向けて感想が求められます。
次に、OとEとの役割が入れ替わり、2番目のtopicsへと移ります。「外国語教育において『発音』は重要か、例えば日本人的なフランス語ではいけないのか」(Eの全員が「いけなくない」)。その理由一「通じればよい(ここで「通じる」とは何か、の議論あり)」、「聞き手に不快感を与えなければよい」、「(新潟出身のフランス語教師の例を挙げて)却って母語使用者には魅力的に映る」、「『standardな言語』なるものが何を指すのか不明である」、「『きれいな』発音に固執することは言語習得の妨げとなる」、その他にnationalismeとの関連の指摘あり。ここで再び倉住さんからのコメントあり:「2つのグループの反応に違いがある」、この原因として、質問の内容がそうさせたのではないか、とする見解が出ました。この辺りでparticipantsの中からカードの質問事項自体に関する疑義が生じます。
次の作業では、双方のグループで共通のカードを持った2人がペアとなりお互いのobservationsを照らし合わせ、共通点、相違点について話し合います。では、カードの一部を紹介します。「教師と生徒の間のeye contactを観察して下さい」、「教室の中で起こる笑いについて観察して下さい(笑う、徴笑みなど様々な笑いを含みます)」、「教師が教室の中で立つ位置を中心に見ていって下さい」、「教師の生徒の発言に対するコメント、フィードバックを中心に観察して下さい」、「生徒が先生に指名されることなく自発的に発言するケースを追いながら観察して下さい」、「教師のノンバーパルな面について観察して下さい」…倉住さんから「時間枠を作った人はいますか?」との質問がありましたが、該当者は皆無の模様でした。
2?[理論的考察] observationには次の3つの様態があります。
1) description:事実をもって語らせる。
2) inference:推測、想像など心理的なものである。
3) evaluation:例えば「日本語を喋りすぎる」といったコメントのつくもので、観察者に緊張感を与える。
倉住さんによれば、授業の最後の方だけ観察されて不当なコメントを受けた体験から、授業展開のプロセスを度外視しては正しいevaluationはできない、とのこと。そのことと関連してobservationは授業全体を通して行なわれなければならない、と付言されました。上記3つの中では2)が実際には最も多いそうです。
以下に配布されたプリントからの抜粋を記します。
●obsevationの目的
1) 調査のためのobseration:
A/SLA classroom reseach(SLA:Second Language Acquisition)?interaction research(教師と生徒間), conversation analysis, error correction research;
B/Sociological research?Participant-observation(文化人類学の手法。対象に同化する余り客観性が危ぶまれる)、ethnological research
2) 教師養成のためのobservation:
A/teacher education(非管理的);
B/teacher supervision(管理的);
C/curriculum development.
3) 教師の技能発展のためのobservation:
A/peer-coaching(同僚間で行なう)
B/videotaping self(テープレコーダーを使用する場合は予め許可を求め、一人でも反対意見があれば実施しない。ビデオは教室で日常的に使用していれば抵抗は少ない);
C/non-directive supervision.
●teacher supervision
1) Freemanの分類:
A/supervisory;
B/alternatives(evaluationをせず、教師師と別の手法を提示する。プレッシヤーが少ない);
C/nondirective(Supervisorとtrineeとが対等の関係にある。Supervisorは事実を並べることによりtrainee自らに考えさせる)。
2) Gebhardの分類:
A/directive;
B/alternative;
C/collaborative(supervisorとtraineeは対等な関係にある。決定事項にsupervisorも関わっていく);
D/nondirective;
E/self-explorative(自己探険型。相手を通して自分を見る。peer-coachingはその実践的形態)
●Reflecting Teaching(教師の技能発展を目的とする)
A/全般的原則
1) observationには焦点(focus)が必須である。
2) observerには特定の手順(procedures)が必須である。
3) observerはobsereverにとどまらなければならない(前述のparticipant-observationとの関連)。
B/手順
1) pre-observation or orientation sessionを決める。
2) observationの焦点を定める。
3) observerが使用する手順を発展させる(時間軸を設定する一taskを設定する?コメントを加える)
4) observationを実行する。
5) post-observation sessionを決める(error correction等により新しい発見が期待できる)。
最後に文献のリストが紹介されました。特に推薦されたのは次の文献です。
Richards, Jack C.and Nunan, David. 1990. Second LanguageTeacher Education. Cambridge University Press.
結びとして倉住さんは、observationはまだ未開拓な分野なので教室へ持ち帰ってfeed backして下さい、と言われましたが、これが本日私たちに与えられた課題となりました。
休憩をはさんで田中幸子さんよりPékaの自己評価の件が再度(再々度?)出されましたが、時間のかかる問題なので、次回までに各自questionnaire(CIEPからのコピーとのことです)を熟読して考えを纏めておいて下さい、その上でbrainstormingを行ないましょう、ということで散会となりました。
(K.I.)
■Péka Info
次回について
ワークショップが盛り上がったおかげで、「Pékaを評価しよう」が、またずれこみました。しかし、これはやはり時間をたっぷり使って、みんなでいろいろと考えを出し合う機会にしたい!
そういうわけで、アンケート用紙を配ったうえで、それぞれ、書き込んで考えてくる作業を「宿題」としました。次回に持ちよって「ブレーンストーミング」します。持ち寄ったものをもとに話し合いをすると、また一人では考えつかなかったことも浮かんでくることもあるのではないか。
もちろん、話し合いだけ参加も歓迎です。
(S.T.)
■Péka Info
講演会のお知らせ
田中幸子さんより、下記のような講演会が行われるので皆さんにお知らせして欲しい、とのメールが届きました。ご都合のつく方はご連絡の上ご参加下さい。
(H.N.)
上智大学外国語学部講演会のお知らせ
赤堀侃司先生 (東京工業大学教育工学開発センター教授)
テーマ:『大学授業の改善の方法』
日時:10月23日(木)、午後5時15分?7時30分
場所:上智大学中央図書館9階L-921
大学における教育方法の改善が久しく論じられてきました。今回の講演は大学教育の改善をどのように実践的に展開させていくかについての大変呉味深いお話です。
赤堀先生は学習メディア工学科の教授でいらっしゃいます。教育工学の立場からこうした大学教育の改善の実践的事例を研究されている第一人者です。
先生は効果的な教育方法の事例を多く集めて、これを集約検析され『ケースブック大学授業の技法』(有斐閣選書)という本にまとめられました。そのご高著の中にいくつかの具体的なケース・スタディが例示されております。
今回の講演では、その実践的な内容を具体的にご教示いただくと共に、語学等の学習指導についての考え方、対学生への学習効果等の見方、授業現場における構成などについて種々ご教示いただけるものと期待しております。ご講演のあと質疑応答がございます。
ご多忙中とは存じますが、ご出席下さいますようお願いいたします。
ご出席の場合はあらかじめFAX等でご連絡くだされば幸いです。
参加費:無料
連絡先:〒102千代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
電話:03-3238-3701
FAX:03-3238-3087
次回のお知らせ
●日時:1997年10月25日14h30?17h30
●会場:上智大学四谷キャンパス6号館3階311教室
●テーマ:みんなでPékaを評価しよう(田中幸子さん)
BELC夏期研修報告
Texteと読書などについて(山崎俊明さん)
Exerciceの類型論(片山貢さん)
なお、上記「次回について」をご参照下さい。
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