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NO.39 |
タイトル:宿題の5W1H 誰がために宿題はある?!
担当者:藤井宏尚
テーマ: 構成、練習
キーワード:宿題、方法論、復習
Péka Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 39
Ie 10 sept.1996
〒102東京都千代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
田中幸子研究室 tél.03 3238
3742
郵便振替口座00120-1-764679 PEKA
■例会報告
宿題の5W1H?誰がために宿題はある?! (藤井宏尚さん)
残暑の♭ひっじょお?に、きびしい?!(zaitsuichiro風にお願いします)今日この頃、Pékaの皆様におかれましては、きたる新学期にそなえ、あるいはもう来てしまった新学期を迎え撃ってらっしゃることと存じます。
さて、前期最後のPékaのテーマは、「そろそろ慣れてきた・喋リ始めた・喋るようになった・なってくれた」学生の大半をフランス語から''切り離して''しまう(かもしれない)夏休みを意識しながらの「宿題」でした。
宿題は誰のために、何のために...そしてどう評価を与えるのか。
まず、藤井さんから<宿題の5W1H>の説明を受けました。
1.WHO-対象者一誰に出すのか(全員・進んでいる人・遅れている人...)
2.WHEN-いつ出すのか一頻度・サイクル、提出期限...
3.WHERE-どこでやるのか一例:友と図書館・町中でフィールドワーク
4.WHAT-素材一例:本・カセットテープ...
5.WHY-目的意義一何のための宿題か
6.HOW-方法一宿題を物理的にどう受け取るか・どう評価するか
7.その他
爽やかな藤井さんの説明の後、集ったPékaの面々は5つのグループに分かれてこの<宿題の5W1H>について意見を出し合い、発表しました。
1.誰に出すのか
一宿題が出せない(レベルの問題・宿題の素材がオーディオカセットで付随しているが、ヒヤリングができないため、生徒が必要箇所の頭出しができない)
一個別の方が出しやすい
一成績不良者の追試替わり
一成績が良い・悪い人にだけ出す
一希望者だけに出す
一まったく出さない、又は成績評価をしないということを伝えた上で全員に出すことも
一第一外国語だったら出す、第二外国語だったら出さないかも
一社会人には出さない、または提出期隈を限らずに出す
一大学生の初心者には出しそびれる、2年生以降には「課題」を出す
2.いつ出すのか
一必要なときに!1年生には必ず出す
一次の授業まで忘れないために毎回
一毎回・毎課・3課ごとなど必要に応じて
一休暇前・休講前
一つなぎと復習をかねて夏休み前に
一次の授業に取り上げることの「AVANT悩み」として出す
一教科書の「DEVOIR」の箇所にきたら
一長期の宿題はまとめて最初に渡す
3.どこでやるのか
一グループワークは関いている教室や図書館でやっている
でも、実際は個々の家でやり、持ち寄ることのほうが多い
一研究室や、関係機関(観光局、大使館など)
一生活の場(例:''自分の周りのフランス語をメモしてきなさい''という宿題の場合、道端、町中といった場所)
一他人にインタヴュー
一まだまだ少ないがインターネット上で
4.素材
一辞書を使用するもの(作文など)を出す
一その日の授業、あるいは学生の経験に関するもの(友人を誘う手紙・ゴールデンウイークの
計画表など)
一教室で使っている教科書のexercices&それ以外の教材のexercices
一独自のブリント
ー教材暗唱
一作文&仏文和訳(好きなテキストを選んで訳す)
一単語帳
一教科の復習(小テストの指示も宿題)
一夏休みの宿題にかぎり:読み物
一予習
一まとめとして日本語で週一回「今週は何をやったか」を着かせる
一ヴィデオ・テレビ・コンピュータといったメデイア系
一チェーンレター(学生間で、あらかじめ決められた順に手紙を書いて回し送る。学生AはJe...で書き、Bに郵送する。Bは、Aの1人称を3人称に書き直した上で、Moi,je...という具合に書き足してCに...最後の学生は教員に送る。できる学生をチェーンの最初に持ってくると後の学生の助け&勉強になる。)
一TELEPHONE JAPONAlS.実際に電話を使う伝言ゲーム、短い文を使ったoral版チェーンレター
一カセットテープとトランスクリプションを渡してcompréhension
orale
一「Mosaïque」のロールプレイをやってくる
一直接話法を問接話法に書かえてくる
一いつも使う教材をそのまま使わず、ひとひねりする
5.目的意義
一一番重要だ!目的がなければ宿題は出さん!!!
一クラスでやるには長すぎるもの、時間節約のために出す
一内容の復習と定着のため
一本当に理解したのか否かを確認させるため、自分一人でやってみるために出す(クラスでやるだけだと"できる"と錯覚するから)
一自分のために使えるかどうか・自家薬籠中のものにするため・自分で使っているという実感を持たせるため
一個人指導のため、クラスでできないコメントをするため
一教師・学生のコミュニケーションのため(コメント・メッセージ)
一知的欲求をかきたて、学習意欲を持たせるためテキストに関連する問題を3、4
(答え合わせは必ず黒板に書く:変な間違いをなくすため。回収はしない)
一まとめとしてだす:カリキュラムのcomplémentまたはsupplémentとしてだす
一授業の後の一週間、一度はフランス語を使わせるため
一宿題は"おちこぼれ"をみつけてあげる手段、どこに注目するかを教える
6.方法
一発表者指定の場合は、授業で黒板に答を書かせる
一確認のため、授業中に小テストをおこなう、学生がチェックしたものを提出させる
一受け取る方法も'"目的と対象者''による、郵送、電話、e-mailなど
一教師が全部直す
一結果よりプロセス重視、したがって、評価なし
一試験(追試)がわり/平常点として評価
一A、B、C評価
一宿題を採点するのは宿題の目的にはずれる
例によって時間一杯、様々な意見と各自の宿題法が披露されました。「カセットテープを使った宿題は、文・意味として聞こえない初心者には無理」「おちこぼれてしまう学生には、真面目な子が多い。授業中、メモを取ることだけに気を取られ、教師の言うことを聞いていないので、理解ができない。学習法がずれている。"授業中は辞書を引くな、ペンを持たせるな、訳すな、先生の話を聞け"といいたい」「宿題を採点するのはどうか?宿題は個人指導の手段:教師にとっても学生にとっても『できない』の認識の手段だ。それでみつかった分らなかった所を授業で再指導する。それに点数を付けるのは、目的がずれる」といった声を締めに、前期最後のPékaは閉会となりました。
(A.N.)
■Péka Info
「フランス語教育を考える会」(仮称) 発足
5月末、関西学院の中村公子さんが呼びかけ人になって「フランス語教育を考える会」(仮称)が発足しました。関西方面の高校でフランス語を教えている方たちが中心になり、それに大阪日仏センターの横山さん、神戸海星女子掌院大学の長谷川富子さんなどが加わり現在12名。既に2回のミーティングをおこなったそうです。2回目(7月27日)には「高校での第2外国語としての2年3年目の授業」について話し合ったとのことです。
ミーティングの報告もできているそうで、ご希望の方は下記の問い合わせ先に連絡すれば送ってくださるとのことです。
準備段階ではPékaをお手本にしたそうで、今後ともPékaと連絡を取り合っていつかPékaのように育ってほしい(面映ゆい)、というのが中村さんの希望だそうです。遠くてなかなかPékaの例会に来られない方々が、このようにあちこちでネットワークを展開していき、お互いに連絡を取り刺激し合っていけるといいですね。
「高校でのフランス語教育を考える会」(仮称)
問い合わせ先:
●高木敬二
●小林佐規子
(H.N.)
■Péka Info
セミナー参加者募集について
本年度フランス語教育セミナーの要項と応募用紙を同封いたしましたので、参加を考えている方もすでに参加されたことのある方も、周囲の方に是非お教えてあげて下さい。応募締切は9月20日ですので時間もあまりありませんし、まだ学校が始まっていないところも多いかと思いますが、電話などで積極的に広報していただければ幸いです。
(H.N.)
■Péka Info
EDFJ送付について
Pékaの論集EDPJの第5号が完成し、6月の学会で配布されたのは皆さんもうすでに御存知のことと思います。まだ残部がありますので、ご希望の方は返信用切手(270円)を添えて小石悟さんにお申し込み下さい。
(H.N.)
■Péka Info
次回例会について
次回の例会は、日本・精神技術研究所の内田純平さんをお招きし、クラスを上手くアニメイトできる「グループ・リーダー」としての教員の能力について考え、その能力の開発を試みるワークショップになります。どのような形になるかはNewsLetter発行時点ではまだ未定ですが、いずれにしても非常に興味深い会になりそうです。皆さん奮ってご参加下さい。
なお、まことに恐縮ですが、例会の性質上参加費として1、000円を申し受けます。
(H.N.)
次回のお知らせ
●日時:1996年9月28日(土)14h30?17h30
●会場:上智大学四谷キャンパス7号館12階第6会議室
●テーマ:「グループを知る・動かす」(内田純平さん)
なお、上記Péka Infoもご参照下さい
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