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NO.37 |
タイトル:CREDIF研修報告
担当者:長野督・西山教行
テーマ:研修
キーワード:CREDIF、プログラム、養成、
異文化理解、言語政策
Péka Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 37
le 3 avril 1996
〒102東京都千代田区紀尾井町7-1
上智大学外国語学部
田中幸子研究室 tél.03
3238 3742
郵便振替口座00120-1-764679PEKA
■例会報告
CREDIF研修報告 (長野督さん・西山教行さん)
1993-94、1994-95にCREDIFでそれぞれ年間研修を受けた、長野さんと西山さんにCREDIFについてうかがいました。はじめにStage annuelの内容を長野さんから。
BELCやCREDIFの夏のstageがおもに、教員のためのpratiqueな(スグ使える)研修であるのに対し、stage
annuelはfomation des formateurs?FLE、 FLSの(小学校?大学)教員向け研修を構成するのに必要とされるcompétenceの向上を目的としている。
水、土、日を除く毎日9:30?17:30、約9カ月で900時間(2
programmes x 2 semestres)+各プログラムの内から興味深い分野について40枚位のprojetを年間2つ、というメニュー(身体的ノルマとしては中学以来のキツさ:西山談)。サボる権利ももちろんない。研修の目的からいって、各大学をはじめ各研究所、資料保存施設、文化センターなどとコネクションをつくることにも多くの時間を割かなければならない。
研修生は、フランス語を公用または第2言語とするマグレブや、シリア、アジア、ヨーロッパの旧社会主義諸国(=フランスの言語政策の射程範囲の国々)から、各国一名ずつ集まる(ベトナムからは例外的に半期に6名参加)。多くの場合、自国の文部省でフランス語を担当する役人で、他に文化センターの責任者などもいる。したがって当然のこととして、研修生間になかなか共通の興味が見いだせないという悩みもあったそうだ。
各プログラムは大学およびÉcole
Nomaleで研究・教育にあたっている人たちが担当するが、ゲストも多彩とのこと。理論としても、また分野的にも最先端とされる惰報が得られる。
Programme 1: Intégration de la
diversité des pratiques culturelles et langagières
dans l'enseignement des langues
文化・社会学的視点に関してはavec
G.Zarate、初めて訪仏する教員が受けやすいショックを自己の認識を相対化することでなくしていくための<Journal
de bord>活用法をはじめ、教科書分析など。pédagogieの方面で文化的事象に目を向けるのは流行だが、pratique
culturelle / inter-culturelleの概念は私たちの考えるところと少し異なるらしい。<culturelle>が私たちのイメージする<inter一culturelle>,
plus gIobaleなものを指し、<inter-culturelle>にはフランス国内における異文化の「相互」理解のニュアンスがある、とのこと。ゲストB.Metzからは、異物に出会うときの心理について。言語学的視点に関してはavec
J-L.Chiss。ソシュール以降の言語学、時制の問題、Syntaxeなど。
Pmgramme 2: Audiovisuel, métias
et enseigmement / apprentissage des1angues
長野さんが最も楽しんだというプログラム。とくにTh.Lancienによって示された活用法は材料の選び方も適切だった。他、ラジオ畑のP.Chaix。新聞の読み方、Typologieについてのゲストあり。メディアに関する図書館CLEMIの名前は覚えておくべき。
Programme 3: Enseignement des langues
aux non spécialistes
たとえば法律や化学などのそれぞれの専門にあったABCがないか?について。D.Lehmanの«0bjectifs
spécifiques», Hachetteは必読。その他、コンピューターの応用として、PC系自習教材、アイコンの読み方など。
Programme 4: Apprentissage des langues
dans l'enseigement pré-secondaire
早期教育について。小学校から二つの外国語を学ぶ枠づくりとして。すでにオーストリアでは始められているらしいが、早期教育促進の内側には、異物への先入観が少ないこどものうちにという考えと、もちろん市場拡大の意味もある。
Programme 5: Activité
transversale
オプションのはずが、必修プログラムであったらしい。Avec H.Besse et D.Coste。誰も行かないパリ発見と称する一日歩き続ける授業他、didactiqueのひな形づくりの話など。
研修を通して得たものは多いが、受け入れ側のプログラムのオプショナル・サービスが相当Good!であることにも大満足ということでした。
ただどの講師においてもフランス中心のものの見方から離れていない、という印象はあったそうです。それと関連すると思われる西山さんお話は、フランスの言語政策とその中枢を担ってきたCREDIFの歴史について。研修生の多くが、フランスの言語政策のcolonialismeと自国の発展のためにフランス語を教えざるを得ない自分の立場というものを常に意識していることを知って愕然とし、西山さんはいろいろ調べたとのこと。
第二次大戦後、発展途上国に「文明」を示すために(あるいはフランス語を教育して現地人をツカいやすくするために)français
élémentaireの概念がU.N.E.S.C.O.を中心に生まれる。?1952年français
élémentaireの研究センターがSaint-CloudのÉcole
Norma1eの附属機関として設立される。?この流れと平行して国外のフランス教育機関の経営建て直し、外務省からの派遣増加、Boursierの増加。?旧植民地、南欧、トルコからの移民、およびハンガリー動乱後の移民の職場適合のためのザグレブméthode輸入。?1959年français
élémentaireからfrançais fondamentaleへ。français
élémentaire研究センターはコミュニケーション言語学者、心理学者、技師などをあつめ、CREDIF(Le
Centre de Recherches et d'études pour la Diffusion du Français)となる。BELCの前身BEL設立。?60年代に入って、科学、法律、地学などのtermeの収集。1966年BEL-BELC(Bureau
pour l'enseignement de la Iangue et de la civilisation françaises
à l'étranger)。?1974?高度のテクノロジーを持つ国としてのフランスヘ。「フランス語を話すところではフランス製品を買ってくれる」という暗黙のスローガンの下の言語政策...(D.Coste,
Aspects d'une politque de diffusion du français langue
étrangère depuis 1945, Hatier,1984)
フランスにとって日本は中国とインドの入りり口という位置づけ。テクノロジーは輸出できないので、AVのソフトやDELF/DALFのCD-ROMなどの市場としてのみフランス経済の視野に入っている。あるいは核廃棄物処理の分野での協力関係として、テクノロジーを買うためのフランス語、という意識がどうしてもある他のCREDIF研修生の中で、modeあるいはstyleとしてのフランス語という認識を持っていたのは日本人とロシア人だけだったということ。
当日のPéka出席者は上のスローガンに、驚愕、疑問を通り越して言葉を一瞬失ったようでした。というのも、私たちは、「フランスモノはデパートで買うけどお、フラ語なんて単位が来たらもう知らなあい」といった感じのシャネラー学生たちをたくさん見かけるからです、けれど、フランスの言語政策とシャネラーたちとの間で、「なんというか…」と沈黙してしまっては、Pékaではないわけで、なんと次回は「私はなぜフランス語を教えるのか」というテーマでディスカッションを行います。4月にふさわしいテーマです。プラス、常盤僚子さんが「日本人フランス語学習者の読解におけるテキスト情報とテキスト外情報の役割について」発表してくださいます。ぜひご参加ください。
(姫)
■Péka Info
会計報告
1995年度の会計報告は以下の表のとおりです。次年度繰越金のうち50万円は「中川氏基金」です。これを運用して利息をフランス語教授法セミナー参加者の援助金とするという話し合いもありましたが、折からの低金利により現在保留の状態です。また、これを除いた金額のうち30万円はEDFJ
no.5の刊行に必要と思われます。そのため、Pékaの財政は数字に現れているほど余裕のあるものではありません。今後も皆様の御協力をお願い致します。
なおフランス語教授法セミナーですが、1995年度につきましては計画はされましたが、参加者が一定の数に満たなかったため中止となりました。こちらのほうは、今後セミナーの運営費に使われるとしても、とりあえずまとまった額となっておりますので、中川氏基金とともに有効利用の道を探っています。御意見のある方はお聞かせください。
(会計係鵜澤)
■Péka Info
住所録送付について
前号のNewsLetterでお知らせいたしましたように、新しい住所録をお送りいたします。前号でデータの更新をお願い致しましたが、思いもかけず多くの方からご連絡をいただきました。ありがとうございました。
という訳で、できるかぎり最新のデータを使用したはずですが、それでもまだ精確さに欠ける点があるかも知れません。少なくともご自分の欄はご覧になっていただけたらと思います。もし誤りが見つかりましたら連絡係の野池までお知らせください。NewsLetterで対応したいと思います。
最近様々なメディアで「インターネット」が話題になっていますが、流行はともかく、そのE-mail機能は便利ですので、今後Pékaでも多くの方がAdressを持つようになるでしょう。少し先取りしすぎかも知れませんが、E-mail
Adressの欄を設けました。新しくadressを取得された方もご連絡を。
(連絡係 H.N.)
次回のお知らせ
●日時:1996年4月13目(土)14h30?17h30
●会場:上智大学四谷キャンパス7号館12階第1会議室
●テーマ:「私はなぜフランス語を教えるのか」(土屋良二さん)
「日本人フランス語学習者の読解におけるテキスト情報とテキスト外情報の役割について」(常盤僚子さん)
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