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NO.209

 

 

日時:12月21日(土)14時30分〜17時30分
場所:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館 820号室(ハイフレックス)
*11号館は1階にファミリーマートがある建物です。エスカレーターで8階までお上がりください(エレベーターはありますが、8階には止まりません)。

テーマ:教師としての引き出し─作文編─(EDFJ 34号の編集会議もおこないます)

早稲田キャンパスへのアクセス:
https://www.waseda.jp/top/access/waseda-campus
キャンパスマップのリンク:
https://www.waseda.jp/inst/student/assets/uploads/2020/08/15_campusmap_2020.pdf


7/12/2024

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.209
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郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:12月21日(土)14時30分〜17時30分
場所:早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館 820号室(ハイフレックス)
*11号館は1階にファミリーマートがある建物です。エスカレーターで8階までお上がりください(エレベーターはありますが、8階には止まりません)。

テーマ:教師としての引き出し─作文編─(EDFJ 34号の編集会議もおこないます)

早稲田キャンパスへのアクセス:
https://www.waseda.jp/top/access/waseda-campus
キャンパスマップのリンク:
https://www.waseda.jp/inst/student/assets/uploads/2020/08/15_campusmap_2020.pdf

◆ 今後の例会日程は、News Letter no.206でお知らせしたものと異なり、以下の通りとなります。
12月21日、2025年2月15日。
ぜひご予定ください。

 

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■■■例会報告 (2024/10/26) //////////////////////////////////////////////

◆ 教師としての引き出し−発音編−

<発音矯正について>
今回の例会では、予め共有されていたRamjattan(2024)の論文を軸に展開する予定であったが、初めに参加者から挙げられたeuの発音に関する疑問について話し合った。
フランス語は舌で筒を作って発音はせず、舌を盛り上げて発音する(英語は筒状になる)。日本のフランス語学習者は英語を既に学んでいるため、英語とフランス語では舌の使い方が異なることを教えるのは有益かもしれない。フランス語の発音の基本は、唇を丸くすることであるため、極端ではあるが、常におちょぼ口で発音する練習をしてもいい。
発音は音素単位で教えた方がいいのだろうか?フランス語を学ぶ日本語母語話者であればeuとou(例:deuxとdouze)、uとou(例:surとsous)、鼻母音などは区別するための指導が必要だろう。違いを聞き分けるための手始めとして、aの2種類の音を聞かせると、違い(特に舌の位置の違い)が分かる。そのあとで、uとouの違いに取り組むのも良い。
並行して、教科書に載っている発音台形の仕組みが分かれば母音は教えやすい。発音は、学習者のやる気次第で上達するため、日頃から発音に注意を払う習慣を身につけさせることが重要だろう。
イントネーションについては、フランス語は音程が低いところから始まって、徐々に上がっていき、文末でストンと落ちる。長い文においては、文末に至るまで「上がって落ちる」を何回か繰り返し、最後は落ちる。日本語母語話者は、文頭から音程が高くなる傾向にあるため、注意が必要である。
動詞の活用を発音するときは、語尾を上げないようにアドバイスしたほうがいい。例えばvenirの活用で、je viens, tu viens… の
viens のイントネーションを上げて発音練習すると、それが癖になってしまい、Je viens de
Paris.を発音するときviensでイントネーションを上げてしまう。
イントネーションは、すごくうまくなる人と、そうでない人がいる。長くフランス語をやっている人ほど、イントネーションの矯正は難しくなる。

<Ramjattan(2024)に関する議論>
(Ramjattan, V. A. Imagining an anti-racist pronunciation pedagogy. ELT
journal 78(3), 318-325)
英語でもフランス語でも、学習者は発音に「ネイティブスピーカー信仰」を抱いてしまいがちである。良い発音を身につけるには、ネイティブの先生の発音を聞いていればいいと思っている学習者はいる。また、話し手の見た目が聞き手に与える影響もある。例えば、同じ英語のネイティブスピーカーでも、白人が話す発音の方がきれいだという印象を与えやすい。
だが実際は、発音指導においてネイティブ教員の方が非ネイティブ教員より優れているということはない。
教師としての立場では、発音は完璧でなくとも学習者が日常生活の中で支障のない程度の発音を身に付けられればいい。だが、目標言語が話されている社会で発音が差別の対象になってしまうのであれば、発音矯正に時間と労力をかける必要があるだろう。
教師の発音指導は、「オールマイティ」な発音体系を身につけることを目標にするのがいいのではないだろうか。フランス語圏のどのフランス語からもかけ離れていないフランス語なら、応用が利く。言語は時代によって変わるが、それでもスタンダードなフランス語を教えるほうがいいだろう。
フランス語圏のフランス語はフランス語であり、外国人が話しているフランス語は外国語(としてのフランス語)である。「外国語のフランス語」を身に着けてしまうと、後々矯正が困難になってしまう。学習者が「発音は間違っているけれども通じる発音をした場合」注意が必要である。例えば、BIEN
SUR を BIEN CHOU と発音した場合、文脈があれば通じるが、他の場面で SUR を使うときに問題が起こるかもしれない。
Ramjattan(2024)で提起されている「発音による差別」は、社会的な問題であり、教育的な問題とは区別する必要があることを確認した。特に、英語は発音と階級が結びついているため、明瞭性と理解性をおさえた話し方でも発音による差別が生じやすいのではないだろうか?
一方で、学習者側の問題として、フランス語をネイティブのような発音で話せないことによって自信がなく、コミュニケーションを恐れてしまうことがある。日本人はできないことにこだわる傾向があり、「私はフランス語が下手だから、相手に理解されないだろう」と考えてしまう人は少なくないのではないだろうか。これは謙遜や自信の無さからくる思考であると思われるが、逆に相手に偏見を持っているとも言える。
非フランス語話者のフランス語をネイティブが理解するには、その人がどの程度、非ネイティブの人とフランス語でコミュニケーションを取ったことがあるか、経験の量と質による。
その他、Ramjattan(2024)の内容について、理解性を担保するために「補償的戦略(伝わりづらい発音は言い直す、ジェスチャーをつける等)」や聞き手側の歩み寄りの重要性が共有された。

<発音と聞き取りについて>
発音と聞き取りには密接な関係がある。口の形や舌の位置がわかるとより聞き取れるようになる。ディクテがいつも0点だった人が、発音を学んだのでできるようになった事例が共有された。他にも、聞き取れるかどうか、スピードへの慣れや声の高さが影響する。
「音が聞き取れる」と「内容が理解できる」は区別しなければならない。後者は、発音以外の知識を使って補って実現している可能性が高い。フランス語の経験が長い人は、経験と知識によって理解できることが増えるが、初学者は経験がないため、少なくとも発音体系を教えてしまったほうが良いのではないだろうか。
(Y.M.)

 

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