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NO.123 |
<戯曲を読む授業の工夫について>
- 例会報告
<語彙の学習>
06/09/2010
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PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.123
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■戯曲を読む授業の工夫について、実践報告をします。
FLEスタージュで学んだことを活かし、教室の雰囲気づくりからスタートして、
学生たちに戯曲に対する当事者意識を持たせられた実感までのプロセスについて
紹介し、意見交換をしたいと思います。
フランス語を教えるための方法論が、日本語で行う授業の活性化にとっても有用
であることことの実例としてお聞きいただければと思います。
(間瀬幸江)日時:10月23日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン桐原 B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5
JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。
■■■【2010/9/18例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━<年間テーマ:学習の習慣を知る。変える。>
語彙の学習
〜鵜澤恵子さん今回の例会は、授業において「覚えておいてください」で済ませてしまいがちな語彙の学
習がテーマでした。中国の都市名を記憶するという実践を通して、語彙の学習方法につい
て考察しました。I. 中国の地図を見ながら都市名を記憶する
まず、参加者全員で地図を見ながら都市名を記憶する活動を行いました。配布された地
図は2種類でした。1)ローマ字のみで都市名を表記(ex. Sijan)、2)ローマ字+漢字
で表記(ex. 西安、Sijan)です。記憶活動後、2人1組になり、いくつの都市名をローマ
字で覚えていたか確認を行いました。
1)ローマ字表記のみのグループは20個中2〜3個程度の都市名を記憶しており、以下
のようなコメントを述べていました。
- 場所+地名で覚えた
- 似ている名前を関連付けて覚えた
- 発音が合っているかわからない
- 読みにくい
2)ローマ字+漢字表記のグループは5〜6個程度の都市名を記憶していました。そして、
以下のような意見を述べていました。
- 漢字読みになっている
- 前提知識が役に立っている
- 漢字に引きずられて、ローマ字を覚えない
- 発音が日本語と近いものは覚えやすい
- 綴りから音を考える
我々にとって、中国の都市名を記憶することが難しかったように、初習学習者にとって、
フランス語の単語を覚えることは容易ではないのではないでしょうか。II. グループに分かれ語彙の指導について話し合い
次に、フランス語の授業で学習者に対して、「覚えてください。」と言う時、「何を覚えて
ほしいのか?」、「なぜ覚えてほしいのか?」、「実際に覚えてきたか?なぜ覚えてきたか?
覚えてこないか?」をそれぞれ振り返り、話し合いました。動詞の活用・重要な語彙や表
現を学習者に覚えてもらうために、ゲーム、exercices structuraux、特定のテーマに沿っ
た語彙探索など参加者は様々な活動を行っていました。記憶してほしい項目は今後フラン
ス語を学習する上で重要なものであり、多くの参加者が学生にはテストや次の授業で扱う
など強調し、覚えるように促していました。III. 記憶のメカニズムについて
授業のエピソードを交えながら、以下の記憶のメカニズムに関して考察しました。information acquisition
情報 → 海馬 → 必要 → → 側頭連合野
↓ (指令)↑ ↓
不必要 ↑ ↓ 思い出した !
前頭葉 (assimilation)情報(information)が海馬で必要か不必要か処理され、必要な場合は側頭連合野に保管さ
れ(acquisition)、必要な時に前頭葉からの指令で保管された情報を取り出します(その時、
「思い出した!」ということになります)。鵜澤さんは、前日の授業でTout le mondeにつ
いて学習したのにもかかわらず、意味を思い出せない学生たちに前日勉強したことを伝え
るとすぐに意味がわかったそうです。このエピソードから学生たちは語を記憶はしている
けど、うまく思いだすことができないのではないかと感じたそうです。IV. 授業エピソード1:Dialogueを覚えてくるように指示
前回の授業で学生にDialogueを覚えてくるように指示したところ、覚えていた人と覚え
てこない人がいたそうです。覚えてきたことを前提に、ロールプレーで学習者の
comportementsを観察したり、人称を変更してDialogueを再構成する活動を行いたかった
そうですが、覚えていなかったため、うまく活動を導入できなかったそうです。
その後も、職業に関する語彙の語尾を意識させるために覚えてくるように指示したところ、
学生はみんな覚えていなかったそうです。そこで、覚える活動を導入したそうです。2人
1組になって片方が男性形を言う、他方が女性形を言うというように。そこでまず音と形
を頭に入れてから、Qu'est-ce qu'il fait dans la vie ?などコミュニケーション活動に
移ったそうです。V. 中国の都市名を再度覚える
記憶する上で発音の重要性に着目し、二回目は都市名をローマ字読みで統一してから、記
憶するという活動を行いました。休憩後、答え合わせしたところ全体的に1度目より正答
数がアップしていました。その理由として、以下のようなことが挙げられました。
- 発音を決めたから。
- 二回目だから
- 工夫したから(送り仮名を振った)
このことからわかるように、記憶するためには発音を安心させることが重要なのではない
かという提案がなされました。VI. 授業エピソード2:好き嫌いを言う練習
学生に嗜好を表現させるために、場所、食べ物・飲み物、余暇、スポーツに関する単語
を覚えてきてくださいと指示したところ、ほとんどの学生が覚えてきたそうです。2人で
単語を言い合うという活動を行った後、嗜好を表現するコミュニケーション活動を実施し
たそうです。この場合、学生が鵜澤さんの授業に慣れ、「覚えてきてください」の意味を学
習者が理解したこと、フランス語の発音に既に慣れたこと、語彙のテーマが身近だったこ
とが関係しているため、学生は単語を覚えてきたようです。VII. 語彙習得を促す活動例
- テキストの中に学習者に覚えてもらいたい語彙や表現があった場合、読解での意味理解
にとどまらず、学習者に音読させ、表現の定着をさせる。
- スポーツの記事を読み、victoire/defaiteに関する単語を抜き出すという活動では、学
習者が知らないものを見つけるのは困難なので、サポートとして、仏仏辞書の定義を提示
してあげれば、同意語や派生語からある程度類推し、語彙を抜き出し、リストを作成でき
るようになる。その後、スポーツ記事の見出しを作る活動へと移る。VIII. 練習なしで中国の都市名のテスト
参加者全員、練習なしでもかなりの正答数をあげることができました。IX. まとめ
「覚えてください」と言われても、やはり覚えるのは学習者にとっては大変です。特に意
味も発音もわからないものを覚えるのは困難なことです。語彙リストを配布すれば、確か
に意味は分かるようになりますが、発音がわからないので、定着につながらないのではな
いでしょうか。フランス語の音と結び付け、日本語の発音を消していくことが重要なよう
です。そして、テストや次の授業で扱うなどある程度負荷をかけないと学生はなかなか覚
えて来ませんので、やはり授業内で音読させて、発音を定着させる活動が重要となるので
はないでしょうか。X. 例会実施後の鵜澤さんより補足
1)「覚える」内容が最終の到達点ではない。
覚えてきたかどうかをテストのような形ではない方法でチェックする。例えば、グルー
プでのミニACTIVITEでチェック。チェックその物が目的というより、それぞれが「覚えた」
事を供給する事により他の人の「覚えなかった(忘れた)」事をその場に提示する。つまり、
「覚えながら(忘れながら)覚える」。「忘れた」ということを覚えておく事は、「覚える」
のひとつ前の段階なので、「覚える」につながる。
いくつ覚えたかということよりは、「覚えた事が増えた」事を評価する。教師としては「覚
えるのは大変、でも頑張ればできるよ。」という視点に立つ。「努力をしたらだんだんでき
るようになった」という結果はモチベーションにつながる。学習者は「増やす」が強調さ
れると、お互いの「忘れた」部分に介入してもいいと思うのか、例えば「クラスの前で演
じる」というような場面でも、自分が覚えたことを供給(教える)するようになる。(最初
は、教師も率先して「教える」。または学習者に「教える」ように促す。)2)「覚えた事は使える」という事を授業で体験する。
「覚えた」内容を「使う」ACTIVITEを行う。「使う」の意味は、単に「繰り返す」とい
う事ではなく、「話者が自分の意図を反映させてPRODUCTIONを行う(ASSIMILATIONのレベ
ル)」という事。例えば、「シナリオに基づいて演じる」であっても、シナリオどおりでな
く、相づちを打ったり、(自分が大事だと思う)単語を強調したり、体の動きや視線の向き
を考えたり。また、教科書中に既に準備されている ACTIVITEであっても、例えば「好み
を言う」であれば、自分の考え(脳内のイメージ)をフランス語で表現する(「文を作る」
ではなくて)、それに対して、別の人がリアクションをする("MOI AUSSI"や "POURQUOI ?"
など)というように。「自分」と「フランス語」が直結したときに、初めて「使えた」とい
う実感が湧くのではないか。教師としては、「使うために覚える」ことを強調する、つまり
「使う機会を準備する」ことを考える必要がある。
実際は、「使いながらも覚える」ということになっているわけですが、「自分として使う(フ
ランス語が自分の意志と直結している)」時に最も記憶が定着するし、それが「上手く/楽
しくできた」ら、「学習のモチベーション(フランス語に対するモチベーションとは別に)」
にもつながるようです。3)発音をかなで書くことについて。
(例会の主旨からは少し外れますが、中国の地名をかなに変換して覚えた人がいました。)
かなを書くときは、誰かの発音を聞いて、それをかなにするので、読みのお手本がないと
言えなく(綴りを読めなく)なってしまう。また、書くときには、音が正確に浮かんだと
しても、それを表す綴りがわからなくなってしまう。
「(イメージを表す)日本語の音とフランス語の音を対応させてはいけない」ということは、
例会のまとめでも述べましたが、「覚える」ためには、「正確に何度でも」ということが求
められると思います。そのためにも、授業の場で「覚えるべき内容」が何度も扱われる必
要があります。結局、時間的なことを考えると、「フランス語で授業をする(日本語が使わ
れる時間をなくす)」事が最も効率が良いのではないでしょうか。
(R.M)*************************************** PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter 配信システム:まぐまぐ http://www.mag2.com/ *PEKAの活動について詳しくは http://peka.cool.ne.jp/ * PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。 郵便振替口座 00120-1-764679 PEKA *************************************** ◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter のバックナンバー・配信停止はこちら ⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。
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