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NO.99

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 99
11/10/20066

 9月の例会は、夏休み明けということに加え、ふだん一緒に考えたことのないテーマだったこともあり、みんないつもよりちょっと元気でした。秋も深まりつつあり、またまた忙しい季節ではありますが、がんばりましょう。
 ワークショップのお知らせもお見逃しなく。

例会報告1

フランス語教師は、どんなアピールをしようとしているか?

左合桜子さん、小松祐子さん


テーマ:その他



 教員の仕事は、授業を行うことだけではありません。できるだけ多くの人にフランス語に興味を持ってもらって学習者を集め、ひとたび集まった授業の登録者に対してはその興味がますます高まるように工夫をしなければなりません。例会では、この点に関して役に立つ意見が多数出され、大変参考になる内容となりました。
 まず第1部では、20分程度をかけて、学習者の意欲を高めるために、普段自分たちがどのような工夫を行っているかを、グループに分かれて話し合いました。その際に、次の3点に留意して話し合いが行われました:
1.フランス語という言葉に関して、学習者にどのようなアピールを行っているか?
2.仏語圏の文化に関して、学習者にどのようなアピールを行っているか?
3.その他、学習者にどのようなアピールを行っているか?

 次の20分の第2部で、グループで話し合った内容を、代表者がまとめて発表しました。以下にその内容を提示します。

1.フランス語という言葉に関するアピール方法

・日本語の外来語にあるフランス語を紹介し、身近な日本語の中にもフランス語が存在していることを示す。
・よく「フランス語は音が美しい」と言われるが、それはアピールにはならない。それよりも、つづりと発音が一致しているという点を示したい。
・文法規則がしっかりしている。
・文字にアルファベットを使用しているので、抵抗なく学習に入れる。
・英語よりも簡単なので、英語が苦手でも大丈夫であると告げる。

2.仏語圏の文化に関するアピール方法

・授業内容を、「このことは昨日の新聞やニュースでもやっていましたね。」と関連づける。
・フランス製のお菓子や文房具などを配布し、雰囲気を盛り上げる。
・フランス語で調理実習を行う。農学部があれば、その大学が作った食材を使う。
・ファッション・料理・映画・文学・スポーツの話をする。
・例えばエッフェル塔やルーブルなど、日本人が持っている一般的フランスのイメージを、上手に利用する。
・フランス地理や歴史をとりあげ、日本との発想の差を伝える。例えば偉人の名前を、公共施設や道路につけることが多い点など。
・考え方に客観性があることを伝える。
・例えば一旦通過した法案でも、民衆の反対があれば撤回されるようなRevolutionに象徴される国であることを伝える。
・日本で知られているマンガのキャラクターを使う。

3.その他の分野に関するアピール方法

・大学入試に有利である。
・英語圏からの知識だけでなく、複眼的な視野を得ることができる。
・理数系で先進の分野がフランスにある。そしてフランスへの留学はあまり競争が激しくないので、比較的確実に留学できる。
・留学の学費が安い。

 各代表者の発表が終わったあと、アピールポイントに関して次のような議論が交わされました。フランス語のアピールポイントというと、一般的には料理やファッションが考えられがちですが、大学3年ぐらいの大人になると、それ以外の魅力に気づく学生もいます。例えば、フランスが持っている客観性や複眼性です。具体的な例をあげると、何かの話し合いをしている時、その場にいるメンバーに不利になるような意見、つまり「身内の理論」以外の意見を述べる人がほぼ必ずといっていいほど存在することがあげられました。このようなフランスの魅力を、大学1年の時点で伝えることができないだろうか、という意見が参加者から出されました。それに対する答として、そのためには教師自身がその魅力に引き付けられているという態度を随所に見せながら授業を行えばよいのではないかという意見が出されました。
 第3部は、参加者が持ち寄った資料の検討でした。普段どのような資料を配布して、学習者にフランス語をアピールしているのかということです。以下の資料が検討されました。
・短期大学のシラバス
・文学部2年生向けのシラバス
・新入生向けオリエンテーションでの配布資料
・掲示板に貼る授業の広告
・高校の第二外国語の紹介
・学部1年生に向けたフランス語授業の紹介文
・登録を決めた学習者への配布資料
 それぞれの資料を持ってきて下さった方に対し、その資料の優れている点、そして同時に改善点に関し、参加者から意見が出されました。

 最後に、フランス語のアピールを行う「場」が検討されました。普段の授業はもちろんのこと、そのほかに以下の場でのアピールが可能であるとなりました。シラバス・学外のコンクール・文化祭での発表・履修登録前の模擬授業・掲示板・ホームページ・高校2年生が模擬授業を行い、それを受けた高校1年生が履修希望の外国語を選ぶシステムと、教員には様々な場が用意されていることが確認されました。
(M.I.)

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例会報告2

大学推薦入試について、高校教師の考えること

川勝直子さん



キーワード:高校


 川勝さんがこのテーマを例会に持っていらっしゃるきっかけとなった出来事がまず紹介されました。フランス語学習に非常に熱心であった高校生が推薦入試で不合格となる一方で、さほど熱心でない学生が合格するという体験をし、何とか前者のような学生の学習意欲の高さを推薦状で大学側に伝えることができないかと悩まれたそうです。
 次に、高校の先生方を集めて推薦状に関する座談会を開いた時の内容が発表されました。座談会では、大学は推薦状のどこをポイントとしてみているのか、検定やコンクールの結果意外にはどのようなことを書けばよいのか、推薦に教員がどれだけ時間をかけるのかで合否が決まるのではないか、といった疑問や意見が出されたそうです。これらの疑問や意見に関して、例会参加者から忌憚のない意見が出されました。また、推薦状の内容に関しては、高校時代の成績や生活態度のほかに、大学に入って何をやりたいのか、なぜその学部学科を選んだのかという点を強調したら良いのではないかという意見が出されました。
 生徒のフランス語学習意欲の高さを、推薦状で大学に訴えたいという熱心で真摯な高校の先生方の態度が直接に感じられる貴重な経験となりました。
(M.I.)

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Péka Info

Michel Boiron氏, Yves Canier氏
ワークショップのお知らせ

Michel Boironさん(CAVILAM, Vichy)は2001年度のPékaフランス語教育セミナー、Yves Canierさん(CLA,Besançon)は2006年3月のフランス語教育国内スタージュで、ワークショップを担当していただきましたが、11月にお2人がそろって来日され、下記の予定で、ワークショップが開催されることになりました。今回はとくに初級者クラスでのdocuments authentiques(シャンソンとdocuments écrits)の使い方についてお話いただく予定です。まだお2人を知らない方はぜひ!、もう1度聞きたい!という方はもちろんぜひとも!お誘いあわせの上、ご参加ください。参加費は無料です。どなたでもご参加いただけます。

11/26(日) 13h30-18h00,
大東文化大学 信濃町キャンパス
(JR信濃町駅ビル3F :
改札を出て券売機に沿って進み、
右側にあるオフィス入口エレベーターより
3Fへお上がりください。)

- Approches pédagogiques de la chanson contemporaine pour le niveau A1
(par M. Michel Boiron)
- Utilisation de documents authentiques écrits pour le niveau A1
(par M. Yves Canier)


次回のPékaは...


次回のPékaは…

10月21日(土)
14:30-17:20

ピアソン・エデュケーション
102/103会議室 (地階)
(杉並区高円寺南2 - 44 - 5
tel 03 - 3314 ? 8181
JR中央線高円寺駅徒歩5分
地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
http://www.pearsoned.co.jp/


留学指導について
(田中幸子さん)

学習者の個人差に対応できる教師
(各務奈緒子さん、安藤博文さん、
神谷貴美子さん)



  学習者も人間、「二十四の瞳」とか「十人十色」という言葉が表すように、クラスの中にはさまざまな学習者がいます。今回はその個性に対応する際の問題点を整理したいと思います。前半ではどんな学習者がいるのかということをタイプ別に分けていきましょう。後半はタイプごとの対応策・解決法について考えていきます。こういう学習者にはどう対処するか?といったbrain stormingもあわせて行いたいと思います。(安藤博文)

       

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