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NO.97

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 97
06/06/2006

 4月の例会では、「先生」たち、みんな実にいろいろな種類のしごとをこなしていることがよくわかりました。ふだん、ついつい自分が世界で一番忙しいように振る舞っている人も、以下の報告を読むと「参りました !」かもしれません。。。

例会報告

教師の仕事
2006年度年間テーマについて

鵜澤恵子さん


テーマ:環境



 4月15日、参加者は約20名。新しい年度のはじまりとあって、はじめて参加した方も5名ほど。神戸や名古屋からの参加もありました。

 Pékaでは授業のこと、学習者のこと、教案のこと、教科書のことなど、いろいろな観点から検討してきましたが、自分のことはあまり話題になっていないのではないでしょうか。そこで、「教師自身は何をするのかということを、語ってみよう」を、2006年の大きなテーマとして掲げました。
 「教師の仕事」と一言に言っても、それは大変広い範囲にわたります。いろいろな学校のありかた、仕事のしかたや立場、人間関係・・・・どこまでのことが教師に求められるのでしょうか。そこで、今回の例会では、それぞれが教師として、どんな仕事をしているのかを列挙してみる作業をおこないました。同時に、「教師の仕事」という大きな年間テーマのなかで、何をどんな形で扱ったら、Pékaに参加するみんなにとって有意義な例会を作ることができるのかについて考えるのも、今回の話し合いの目的です。

<教師の仕事>を、簡単に以下の3点に分け、自分のしていることを挙げてみました。
1) 授業と自分のクラスの学習者に関すること(授業中および授業時間外)
2) 職場で求められていること
3) 職場以外で求められていること
1. 授業と自分のクラスの学習者に関すること
1-1. 授業中は
<年度中ずっと継続してする仕事として>
- 理解度をチェックする。
- 雰囲気作りをする。/発言させることが苦にならないようにする。/やる気を起こさせるようにする。/クラスの中でペアや作業のためのグループを作る。/あぶれた人がいないか配慮する。/教室の調光や空調をチェックするなど、学習の環境を快適に保つようにする。  
- 授業の流れにメリハリをつける。/指示を出す。/指名する。/活動が上手く流れているかを管理する。/授業の中では臨機応変に微調整をする。/板書をする。
- 出欠をチェックする(必ずしも出欠を取らなくても見てわかる場合もある)。/そしてときには、学生の「躾」をする(たとえば「勝手にトイレに行かない」とか「携帯は切る」など(!!!)
- 学生どうしの人間関係を知る。欠席した学生が出てきたときフォローする。

<季節的なこととして、年度のはじめに>
- 学生の名前を覚える。/クラスのまとまりをつくる。/授業計画を説明する。/学生のバックグラウンドや学習履歴などを理解する。
- 試験監督をする。
-(試験をおこなう時期には)試験後のフォローを考えて実行する(模範解答を与えたり、理解度をチェックできたらそれによって明らかになった問題をさらに取り扱うなど)。

1-2. 授業時間以外では
<ふだん、年度中は>
- 学生に声をかける。/授業を準備したり計画を考える。/教材を準備する。/コピーをとる。/ネット上に教材をアップロードする。/教材の動作確認をする。/どこでどのくらい宿題を出すか考える。/同僚と連絡する(授業の進度や学生の様子について)。/フランス語クラブの指導をする。/フランス語検定の補習をする。/フランス語受験の補習をする。/ビデオレター作りをする。/出欠を管理・集計する。/相談にのる(個人的なことや学習の相談にのる)。/留学の相談にのる。/推薦状を書く。/交換留学の制度にかかわる仕事をする。/自分の健康管理をする。/着ていく服や自分をどう「見せる」かにも気をつかう。/時事ネタを仕入れる(話題)。/旬の話題に敏感であるようにつとめる。/教養を深める。

<季節的なこととして、年度はじめには>
オリエンテーションをする。/シラバスを書く・シラバスのコーディネーターとしての仕事をする。/学生数の調整をする。/教室の設備や携帯を確認したり教務と連絡を取ったりする。/成績をつける。/答案の管理をする。/テストを作成する。/卒業論文に関するフランス語の指導をする。/研修の引率をする。
2. 職場で求められていること
<年度中は>
就職指導の仕事をする。/課外活動の監督をする。/カリキュラムを作成する。/他教科のテスト監督をする。/定例の教材会議に出席する。/色々な会議に出る。/会合の設定(日程調整、議事録作成、意見調整)。/学習環境を整備する。/時間割を調整する(自分の出講に関して、またはコーディネータとして)。/高校などの学校訪問と体験授業を担当する。/フランス語を宣伝する。/研究成果を上げる(論文 発表)。/生徒指導(生活指導、髪形、服装等)。/セクハラに気をつける(「しない」「されない」)。

<季節的なこと>
-評価を出す。/成績会議に出席する。/教育実習校を訪問する。/実習生を受け入れ世話をする。/授業評価に基づく自己点検をする。/科研費の申請や研究予算の管理をする。/姉妹校とのやりとりをする。/フランス語コンクールや検定の引率をする。/会場の準備をする。/入試の監督や問題作成・採点をする。/入学式や卒業式などに出る。/保護者説明会に出席して説明したりコミュニケーションをとる。
3. 職場以外で求められること
<年度中>
- 勉強会に参加する。/自己育成をはかる。/学会の仕事をする。/品行方正にする。/健康管理をする。/自己研鑚につとめる(フランス語を習う、技術力を付ける)。/企業からお金を取ってくる(スポンサー探し)。/研究活動と教育活動のスケジュール管理をする。/
etc.
・・・・このように挙げていくうち、教師として毎日している仕事の多様なこと、そして分量の多いことがあらためて明らかになりました。
 これだけいろいろな仕事をしているなかで大切にしたいものは、どんな部分でしょうか?それは「生徒ひとりひとりを相手にするという仕事の根本はおさえておきたい」という点でしょう。それはわかっているけど・・・・ でも「わたしの仕事のほんとうの範囲はどこまでなのでしょうか?」という疑問も生まれてきます。
 さて、書き出した仕事群を眺めながら、次回からの例会の方向付けを考えました。次のような意見が聞かれました。
-「教師としてのスキルとは何でしょうか?」
-「体の使いかた、声の使いかた、コミュニケーションのとりかた・・・そうしたことが教師のスキルの基本であるように思えます。それをどのように考え、培っていったらよいのでしょうか?」
-「技術的なこともあるだろうが、学生がひとりひとり違っているように教師だってキャラはみんな違ってあたりまえ。どうもわたしは ”なめられキャラ”にはまっているようです・・・夢の教師像って何だろう。教師の個性ってどんなものでしょうか?」
-「たくさん引き出しがある教師とはどんな人でしょうか?誰にでも同じ教え方がうまくいくとは限らない。学習者の個人差に対応する教師テクとは?反応別の微調整を、みんなどうやってしているのでしょうか?」
・・・「教師の仕事」というテーマを、さらに深めていく切り口はいろいろありそうです。
(S.T.)

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Péka Info

2006年例会日程:
4/15, 6/17, 9/16, 10/21, 12/16
いずれも土曜日14h30-17h30
ピアソン・エデュケーション会議室の予定。


次回のPékaは...


6月17日(土)
14:30-17:20

ピアソン・エデュケーション
102/103会議室 (地階)
(杉並区高円寺南2 - 44 - 5
tel 03 - 3314 ? 8181
JR中央線高円寺駅徒歩5分
地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
http://www.pearsoned.co.jp/

2006年度 年間テーマについて
提案者:鵜澤恵子さん


 4月の例会では、それぞれの仕事の内容が多様である事がわかりました。あまりにも内容が盛りだくさんで、司会者が対応しきれず、時間が大幅に延長してしまい申し訳ありませんでした。後で、進行の仕方を途中で修正するべきだったと反省しました。(あー、授業の後と同じです…。)全体を眺めてまとまりを見つけ、ようやく各例会のテーマが見えてきましたが、遂に時間切れ!
 6月は、まず各例会のテーマを決定します。次に、例会1「私の仕事の本当の範囲はどこまで?」へと続きます。この件に関しては4月に流れの中で少し議論があり、最初のテーマとして取り上げることとなりました。教師として、職場の一員として、どこまでを自分の仕事と意識しておくべきか、また専任、非常勤という立場の違い、勤務校の特徴(小中高校、大学、語学学校)は関係するのかしないのか?日頃考えていることを言語化することにより、私たちの「仕事(の範囲)」をより明確にすることを試みましょう。そこから「私たち」=「教師」の姿も見えてくることでしょう。
 では、17日に!(鵜澤恵子)

       

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