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NO.91

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 91
30/05/05

 今年のために選んだ教材について、いい所、使いにくい所,そろそろ感じ始める時期ですね。
 今年度のPékaは、「教材分析」を年間テーマに選びました。
 その1回目、4月の例会は、盛りだくさんな内容で30名ちかくが参加しました。
 お花見の季節にふさわしい、元気な例会になりました。

例会報告1

今後のPékaに向けた雰囲気づくりと
2005年度例会テーマの確認

鵜澤恵子さん

テーマ:コミュニケーション
キーワード:グループ,クラス運営

 このコーナーの隠れテーマは、「お互いを知る」。はじめに、「Pékaとは何?」について。
 Pékaの呼び名は、「Pédagogieを考える」という意味です。pédagogieとは何か。「教育学」?「教えるための技能や技術」?・・・それもあるけど、それだけではない。「教える」方法にはいろいろあるし、そのときどき、ひとによって、また相手によって違ったりするけれども、なんらかの「やりかた」を選ぶのなら、そこにいくまでの考え方があるはず。そのことを考える場がPéka・・・という短いイントロのあと、2人組みのゲームをしました。
 「休日はどんな過ごしかたをするか」というテーマで、2人(AさんとBさん)が話したあと、AさんがBさんについて「○さんのいいところは、○○です。わるいところは、○○です。」と発表します(Bさんも同じくAさんについて)。このとき、「○○なのではないかと思います、ちがうかもしれませんが・・・」とぼかしたりせず、「○○です」と言い切るのがルール。 Bさんはひとことだけ「リアクション」します。まずペアで話をしたあと、順に発表しました。「発表」は、短い持ち時間のなかで「断言」しなければいけないし、どういう切り口で、どんな言い方をするか・・・ 思いがけず緊張の一瞬。それでも、それぞれのペアの「発表>リアクション」から、2人のあいだの雰囲気、それぞれの性格や持ち味のようなものまでうかがわれるようでした。
 ゲームのまとめとして、「Pékaはみんなが同じ立場で自分の意見を賛成も反対も含めはっきりリアクションをする場であり、意見の違うところがあったら、自分はそれについてどう思うのかを自由に言うことができる場である、「誰かの教えることを聞きに来る場」ではないということが確認されました。会長もいないし、サークルのようなかたちで、いろんな人がいろいろな役割を分担してやっている(例会の場所を決める、カンパの受付やニューズレターの編集発送をする、ホームページの管理、1年に1回出す論集・・・)」といった話もありました。

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例会報告2

私たちは、ふだんどんな規準で
  教科書を選んでいるのだろう?

姫田麻利子さん

テーマ:教材


 「教材・教科書」についてPékaの例会で何度も取り上げてきましたが、基本的な考えは「使いにくさを乗り越えて使い方を考える」というところに集約できます。一方、「使いにくさを乗り越える」ことに自信がついていることもあって、選ぶ規準についてはあまり話題にしないできました。
 今年度の年間テーマは「教材分析」。教材を選ぶ際の規準と、選んでしまった教材の使いにくさを乗り越える方法の両方を合わせてじっくり検討してみよう・・・という提案がありました。
まず、次のような質問シートをきっかけに話し合いを始めました。
-「教科書の選択を失敗したことがありますか?それはどのような理由で?」 ;
-「その教科書を選んだときの基準は何でしたか?」 ;
-「今年度どんな基準で教科書を選びましたか?」
 自分の考えをひとりでまとめてメモ書きしたあと、グループでシートを見せ合いながら話し合い、結果を、全体に発表しました。

<グループ1> 
 ひとことに「選択に失敗した」と言っても、いろいろなケースがあると実感。最初よさそうだと思っても、「クラスのレベルに合わない」、「使いにくい」と感じることがたびたびある。フランスらしい生き生きした材料が、バックグラウンドの知識のない学生には難しく感じられる。「会話用」とされる教材が、会話の授業に全く適さないこともある。部分的に「気に食わない」ところがあっても、なんとかやりくりしている。

<グループ2>
 「学生のレベルに合っていない」と使いにくく感じる。しかし、そもそも「レベルに合わない」とは、どういうことだろうか。教材のなかに「聞き取り」のexercicesが含まれていたり、ビデオがあったほうが使いやすいと感じる。必要に応じてプリントなどを作って補ったりしながらやっている。

<グループ3>
 問題数が多すぎてテーマが絞りきれずに授業が終わってしまうとき、教材が使いにくいと感じる。「何かひとつのことができるようになる」、それがはっきりわかればいいが、話題や問題が盛りだくさんであるほど、何ができるようになったのか、逆にわからなくなってしまうことがある。また、練習問題がブツ切れの文だったり、いろいろな表現が出ているが、それを使う全体の状況や文脈がわからない。そういう教科書は使いにくく感じる。

<グループ4>
 教科書を「作った」人間、「選ぶ」人間、「使う」人間の意図がズレてしまうと、使う教師が「使いにくい」と感じることになる。いずれにしても、「この教材を使ったら、こういうことができるようになる」と、教師と学生のあいだで納得して進めることが基本だ。

<グループ5>
 フランスで作られた教材には文法項目が一度にドっと出てきたり、逆に練習問題が少なすぎたり・・・困難も多いが、それをどうやって料理するかが楽しみ

 「教材分析」の基準とは何なのか。今回は個人的な経験をまず話題として、みんなで意見交換することが中心となりました。次回の例会でも、引き続き、「教材を選択する基準」について、考えていきます。

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例会報告3

日本で作られるフランス語教材、
ー出版社から見た近年の傾向

須山岳彦さん(白水社),
広沢浩一さん(第三書房),
山田仁さん(駿河台出版社)


  こちらからインタビューの形式で、3名の方に、-「どんなタイプの教科書が近年売れているのか」;
-「教員からはどんな要望があるのか」;
-「最近の教科書づくりのなかで難しいことは」などについて、話をききました。
 クラス数・学生数が減って部数全体が伸びないなかで、「文法にコミュニケーションをまぜていく」というやりかたの教科書が多く、ビデオや巻末の提出問題、切り取って使えるカードなど、いろいろな工夫をしている。
 「初級は接続法まで」という「約束事」が崩れてしまったいま、「中級」というものをどうとらえるかの定義が難しく、いろいろな時制が使いこなせるようになったうえ、テキストも読みこなせることを求めるとすると、2年生向けに展開させる教科書のありかたが非常にとらえにくくなった。そのうえ、「2500円では高すぎる、学生の教科書代金の負担を2000円に抑えたい」といった要望もあるので、たとえばCDを別売にしたり、webの問題と連動するなどの方法も始めているとのことです。
 難しい状況のなかで出版社としては、どうしても「手堅い改訂版を出してコストを下げる」という安定路線に入ってしまいがちですが、教員に向けて要望したいことは・・・「時間をかけてつくったテキストが欲しい」「2年目も続けて使いたくなるような教科書を作ってくれ!」・・・・そのほか、紙面では紹介しきれませんが、現実も夢も・・・いろいろ語っていただきました。
(S.T)

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Péka Info

 国際研究集会
「ことば・文化・社会の言語教育」


 2005年9月17日(土),18日(日)、井深記念ホール(早稲田)にて、言語教育におけることば・文化・社会をテーマに、海外諸地域の研究者を交えた研究発表,講演,ディスカッションが行われます。
 海外招聘講演者は、Claire Kramsch, Joseph Lo Bianco, Geneviève Zarate, コメンテーターにMichael Byram...という何とも豪華な顔ぶれです。
 現在、個人発表の募集も行われています(6月30日締切)。詳細は、以下をご覧ください。
http://kurosio.mine.nu/21web/conf/index.html


次回のPékaは...


6月11日(土)
14:30-17:20
明大駿河台校舎12号館12階
2121教室(AV1教室)


1)「私たちは、ふだんどんな規準で
  教科書を選んでいるのだろう?」
司会:田中幸子さん


2)フランスの出版社の教材を
       扱ってきた経験から
高田智子さん:伸興通商

 年間テーマ「教材分析」、4月の例会での話し合いをもとに、「教科書を選ぶ基準としてわたしたちはどのようなものを持っておいたらよいのだろうか」ということを、さらに深めていきます。Pékaの参加者の考える「基準」とは? また今回は、Didier, Hachette, CLE Internationalなどフランスの出版社の教科書を扱っておられる高田さんにインタビューします。

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