Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.87

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 87
18/10/04

おいしいはずのrecetteをもらっても、試してみるとなんだか一味足りない...
おいしい料理をさっと作れるようになるためには、
やっぱり毎日の、自分なりの工夫・試行錯誤が大事...って教案の話ですけど。
教案づくりトレーニング3回めの報告です。

例会報告

シャンソンを活用した授業の教案について

富田今日子さん


テーマ:実践
キーワード:教材,練習,発音

 富田さんはまずはじめに、シャンソンに関する教員へのアンケート結果の報告を行い、ご自身が使用されているシャンソンとその使用法を紹介されました。その後、例会参加者への「課題曲」を鑑賞したあとに、教案作成を行いました。参加者は22名。皆さんのモチベーションの高さがうかがえました。

1. アンケート結果報告

 アンケートは日本人教員13名、フランス人教員5名に対して行われたものです。
質問項目は以下の通り:
 1)どのような歌曲が授業に適しているのか?
 2)どのような時にどのような曲を聞かせるか?
 3)シャンソンを学生に聞かせるのか?歌わせるのか?
 4)どのくらいの頻度でシャンソンを使用しているか?
 5)どのくらいの時間を割いているのか?

 印象に残ったのは、教材としてシャンソンを積極的に利用している教員が少ないという点でした。また、クラスの雰囲気を変える目的でも、頻繁に使用されていないことがわかりました。その理由は「時間に余裕がない」「学生の趣味に合わない選曲をした場合逆効果になる」という外的な理由以外に、「曲を自分で用意しないといけない(手間、コスト)」「選曲が難しい」「教師自身が歌詞を理解できない(言葉遊び、2重の意味、文化的背景など)」教師自身に起因する理由も挙げられていました。富田さんは、誰もが使用できるシャンソン・ライブラリーがあるといい、という点を強調されていました。
 またこのアンケートの結果から、日本人はシャンソンの一部を、フランス人はシャンソンすべてを使う傾向がある、と富田さんはまとめていました。その理由として、日本人教員は受け持ちの大半が基礎クラスなので、発音など部分的な練習をすることを主な目的にしているためであり、フランス人は、シャンソンをまるごと使うことで文化的なことに話を発展させられるからではないかと考えていました。また、使用するシャンソンから学ぶことをactualité, culture, modeなどと、教師自身がexploiterする視点が必要だと喚起していました。

2. シャンソン使用例の紹介

 次に、富田さんが実際に授業で使用されているシャンソンを聞き、その使用目的を説明されました。

1) ≪ Elaeudanka téïtéïa ≫ Serge Gainsbourg
 −フランス人の名前を覚えた時期に使用
 −前舌音に注意を喚起させる
 −何が歌われているか考えさせる
 −e vocaliqueの練習
 −alphabetの練習:歌から聞き取ったものを書かせる
 
2) ≪ Il était une fois ≫
 −綴りと発音の練習 :oiが[wa]になる
 −同音異義語がある:fois / foix / foi / foie
 −1行が何音節か考えさせる
 
3) ≪ Dafunkamanau ≫
 −各行の最後の単語だけを白抜きにして、語群として用意しておく。聞こえた順番に語に番号をふらせる
 −音に重点を置くため、歌詞の解説はしない。
 
4) ≪ Pierre ≫ Barbara
 −天候の表現を習ったあと
 −歌詞に関する質問をし、だいたいの情報がつかめているかを確認する:寒いか?/対話か独白か?/誰のことか、男か女か?/何についてか?

5) ≪ Diego, libre dans sa tête ≫
 −3種類のプリントを使用する
a 白紙:
 −曲を聞いた印象を聞く:triste, sombreなどと答えさせる
 −繰り返されている言葉、知っている言葉を聞く
 −歌詞をdictée:近くの人たちとつきあわせたあと、曲についての情報(Qui? Quoi ? Comment ? Pourquoi ? )を話し合わせる
b 部分白抜きプリント:
 −@のプリントで自分が聞き取った物と比べる
 −歌う:まず、曲に合わせて。次にアカペラで。
 −歌詞の内容についてdiscussionさせる:フランス語なのになぜDiegoなのか?内容が好きか嫌いか?
c 部分白抜きプリント(Aと同じプリント):
 −穴埋めの部分に自分の好きな言葉を入れてもらう


3. 実際にシャンソンを使用した教案作成

 以下の4曲を鑑賞。西川さんのお薦めの映画風ビデオクリップも鑑賞。
1) ≪ La complainte de l’heure de pointe ≫ Joe Dassin
2) ≪ Black trombone ≫ Serge Gainsbourg
3) ≪ Comme toi ≫ Jean-Jacques Goldman
4) ≪ Ne me quitte pas ≫ Jacaues Brel, Natacha Atlas
 
 上の4曲のうち1曲を選び、2〜3名で教案を作成しました。教案作成時のポイントは以下の4点が指示されました。
 @いつ教えるか?
 A何を目的に使用するのか?
 B何人のクラスで使用するのか?
 C何分使うのか?

◆グループ1(常盤さん+Gaëlさん):
曲は(4)を選択。
 −歌詞そのものは扱わない。
 −自分の好み(好きか嫌いか?)を学生に言わせる。

◆グループ2(鵜澤さん+Gillesさん):
曲は(3)を選択。
 −複合過去、半過去の用法を説明する。
 −登場人物を詳述させる:どこに住んでいる?どの時期?
 −文化的側面を説明する:Prénomからホロコーストのこと

◆グループ3(飯田さん+Philippeさん):
曲は(1)を選択
 −交通手段の説明:vélo,auto
 −地名の説明。併せて、歴史的なことも:Waterlo,Napoléon,Austerlitz
 −Parisの代わりにTokyoの地名を入れるactivitéをやらせる

◆グループ4(西川さん+Frédéricさん....):曲は(4)を選択
 −発音に注目:鼻母音、リエゾン、韻→二人の歌手の発音の違いに注目させる
 −否定命令文: ≪ Ne me quitte pas ≫の適切なイントネーションを考える

◆グループ5(姫田さん+小松さん):
曲は(1)を選択
 −交通手段の勉強をしたあと使用。30分で。
 −かわいい地図と、monumentsの絵をつけておく
 −地名の部分を白抜きし、別に語群として挙げ、聞こえた順に番号をつけさせる
 −Refrainの音節を数える:イントネーション、長い文章を読む訓練。
 −歌を聴いて、絵を描かせる:その絵に関する質問をペアで行う

 教案作成時間が短く、4点すべてについて話し合うのはどのグループでも難しかったようです。また、時間の都合で全部のグループの発表が聞けなかったのが残念でした。しかし、課題曲の中からでも、思いがけないアイデアを膨らます皆さんの発想力には感心させられました。どんな材料からでも授業が組み立てられるのが真の「教師」というものなのでしょうね。
(T.M.)

上へ


次回のPékaは...

次回のPékaは…

10月30日(土)
14:30-17:20

明大駿河台校舎12号館12階
2121教室(AV1教室)


Comment essayer de développer les competences orales
avec des débutants non-spécialistes en vue d’une autonomie
en français, à travers divers supports pédagogiques (dialogues, poèmes, textes de civilisation, …) ?

M. Philippe Callens
& M. Gaël Crépieux

ぜひご参加ください。



Quelle pédagogie adopter avec des étudiants qui choisissentle français comme option et dont l’apprentissage se limite à quelques heures par semaine ?
Pour pouvoir répondre à cette question, nous analyserons ce qui motive nos étudiants dans le but de mieux satisfaire certaines de leurs attentes tout en restant conscient à priori de leurs besoins et de leurs difficultés.
Ensemble, nous dégagerons les problemes que nous avons rencontrés lors de l’apprentissage du français avec des débutants non-spécialistes et nous tacherons de voir comment procéder pour les rendre moindres si ce n’est les resoudre.
Enfin, nous proposerons un travail d’analyse de divers supports, extraits ou non de manuels, afin de mettre au point un plan de leçon et de trouver des activités qui nous permettraient d’exploiter ces mêmes supports en favorisant la communication orale en classe.

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU