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NO.82

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 82

01/12/03

12月に入り、また慌ただしい季節がめぐってきました。
今号の最後に、忘年会の案内があります。
ご出席される方は、お早めにかならずご連絡ください。

例会報告1

methode TAXI! :
Robert MENANDさん

キーワード:教材、教科書

 めったにお会いできない教材著者の方のプレゼンテーションに皆さん熱心に聞き入っていました。いつもよりフランス人の参加者もずいぶん多かったようです。後の質疑応答は教材の実際の使い方に関する具体的な質問も次々と出て、とても有意義な時間でした。

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例会報告2

電子メール交換に見る「文化」
小松 祐子 さん

テーマ:文化
キーワード:コミュニケーション、宿題、問題点

   小松さんは、「インターネットを活用した授業」を担当しています。対象は大学のフランス文学科の2年生以上の混合クラスです。その授業の外活動として、マルチリンガルネットワークという英語以外の言語によるメル友紹介サイト:http://rose.ruru.ne.jp/multiplication/ m-net.htmlを利用して、学生にフランス語話者との電子メールのやりとりをさせています。また、その結果を教師に毎回転送させ、コメントやアドバイスをしているそうです。今回のPékaでは、そのやりとりのメールに見られる「日本とフランスの文化」を探してみようということになりました。
まずは、前回までのPékaで話題となった
の2点に注目し、5グループに分かれて別々のメールのテキストを分析していくことにしました。以下がそれぞれのグループから出てきた「文化と思われるところ」です。
グループ1:
・日仏で乗馬に関する考え方が違っている。日本では観光地で乗るが、仏ではバカンスで乗馬など。
・メールの相手に年齢を尋ねるか?
・20歳で「年寄り」と感じるかどうか?
・音の響きの感じ方(ペットの名前)
・誕生日のケーキは丸い・四角い?
・相手の家族形態を考えているか?(両親が揃っているとは限らない)
・一般的に趣味的話題・食文化が多い
グループ2:
・週刊誌的なフランスの観光名所の羅列。
・パリ旅行・東京旅行の感想。
・パリでは犬が散歩している?
・メトロの音楽家
・松田聖子などの有名人について
・映画・スポーツ・バカンス
グループ3:
・日本語の名前について(男女の区別)
・仏はグルメの国のイメージがある
・天気の話題(日本の梅雨について)
・日本・フランスの時間の制度
・映画・音楽の話題
グループ4:
・日本人と仏人の「ステレオタイプ」
・絵画の趣味の違い(日本人はミレーのように美術の教科書的なものを好むが、仏人はよりモダンなものを好むことが多いのでは?)
・絵画の描写(calmeは日本的では?)
・盆栽について
・美術と食についての話題が多い
グループ5:
・日仏の料理について
・食生活のイメージとそのギャップ
・漢字について
・メール中の日本語独特の擬音語
・日本の大学祭について
以上のように、それぞれのグループで様々な意見が出ましたが、小松さんのお話では、まず内容としては、趣味的話題(映画、音楽、スポーツ、バカンス)、パリ旅行、食文化など表面的話題がほとんどとのことでした。また、気になる点としては、自分の意見を書く際にjeを使わず、onで書いてしまうことや、目的の質問をするまでの伏線が全くなく、話題展開が唐突すぎることだそうです。
指導法に関して、小松さんは、実際の学生のメールにおいて作文の添削は行わず、内容についてのコメントのみを送るようにしているそうです。作文の授業との連携が可能であれば、高垣由美「中級の作文:文からテキストへ」(2002)Rencontre 15, pp.49-53. に見られるように以下の6項目を参考にしたらよいのではないかという提案がありました。
1)冠詞などの名詞の限定詞の使い分け
2)時制の使い分け
3)代名詞の使用とその使い分け
4)接続表現
5)呼応表現
6)語順
さらに、この活動の評価は、
1)メールを出す努力をしているか、
2)定期的なメール、
3)メル友を探す努力をしたかどうか、
4)知っているフランス語を使えたか
などの点を考慮し、全体の評価の2割程度の比重で加算しているそうです。
最後に、学習者中心のアプローチという点からの参考文献として以下のようなものがあげられました。田崎清忠「現代英語教授法総覧」(1995)大修館書店, p.268.
この活動の本当のねらいは、「フランスの様々な文化を知る」というよりは、時としては、教師側から「日本について」や「アメリカの文化」について相手に訊いてみることなどという課題を与えて手助けを行いつつではありますが、1通のメールの中でどのように話題を自然にかつ論理的に展開していけるかを学ぶということのようです。「紙の手紙ではなく手軽な電子メール」だからということで、学生のメディアのとらえ方が予想と違っていたという可能性もあり、教師側の理想が必ずしも学生には伝わらない場合も多かったのかもしれません。参加者の中から、これらの学生の普段の日本語のメールと比較してみるともっと詳しいことが分かるという意見も出ました。
それでも、フランス語による自己表現の場としての機能や、自分で調べて自分のために学習するという学習者中心の学習という点を考えると十分に活用されているといえるでしょう。それぞれの学校によってインターネットの設備も差がありますので、まだまだ難しいというところもあるでしょうが、機会がありましたら、皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。

(K.T.)

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Péka Info 1

Jacques Montredon氏 講演会のお知らせ

12月12日(金)13:30?
上智大学四谷キャンパス
中央図書館9階 L-911室

上智大学外国語学部フランス語学科主催にて、
Université de Bensançon Franche ComtéのJacques Montredon氏の講演会が行なわれます。
 テーマは以下です。

“Pourquoi un dictionnaire de français composé par les étudiants eux-mêmes?”

- Le sens ne peut être éprouvé qu'à la faveur d'un acte ou d'une expérience (Gadamer). En composant son propre dictionnaire à partir du contexte ou le mot ou l'expression a surgi et en decrivant le cheminement qu'il ou elle a suivi pour le ou la comprendre, l'étudiant ou l'étudiante en langue étrangère déploie une activité qui nourrit le sens et conforte la mémoire.

どうぞ、ご参加ください。

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Péka Info 2

忘年会のご案内   

12月13日(土)例会後 18:00 -
盛 屋 (03-3295-0399)

 JRお茶の水駅(新宿寄改札)から明大前通りをまっすぐ南へ下って行くと、リバティタワーの向かい側に、カザルスホールの入っているお茶の水スクエアという一郭があります。この一郭が切れた角を左へ折れて(この角の反対側は、明大小川町校舎と呼ばれる小さな建物)、二つめの道(角にギョウザ屋がある)を右に曲がると看板が見えます。焼き鳥がメインのお店ですが、今年も特別に鍋を用意してくれるそうです。

参加する方は、12月10日までに、必ずご連絡ください。
(お鍋の都合があるのです!)

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次回のPékaは...

12月13日(土)
14:30-17:20

明大駿河台校舎12号館12階
2121教室(AV1教室)

「文化」の評価はどうしていますか?
林 精子さん


アメリカのフランス語教育における「文化的側面」の評価基準例をご紹介した後、みなさんは、どのような「文化」を扱い、それらをどのように評価に盛り込んでいるか、話し合いたいと思います。

 お使いの教材をひとつお持ち下さい。

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