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NO.75

 

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 75

10/10/02

過ごしやすい季節となりました。
9月の例会は、新学期がすでに始まっている方、まだ夏休みの方と皆さん状況は
まちまちでしたが、さわやかにスタートしました。

■例会報告

「タスク中心の言語教育」
小松祐子さん、常盤僚子さん、室井幾世子さん

1、tâcheとtask

 小松さんを中心に、tâcheとtaskの言葉をみなさんがどのように使っているのか、その言葉の意味することをbraine stormingしてみました。
 まずtacheを日常使う人がいるかを確認したところゼロ。そこで「やってもらうこと」として使っている表現は何かということで洗い出してみました。
・宿題 … 家で
・activités
・exercices
・授業内活動 … 教師間、上記の総括?
・練習/課題など

 授業中に使っている言葉を確認したところ、exercicesが1名、activitésが9名でした。では、これらをどのように使い分けているのでしょうか。それぞれの単語について以下のような意見がでました。
activités:友達同士で自由にやるもの。作っていくもの。場面があるもの。応用練習のように最終的な形式が決まっていないもの。
教室活動としてやること。

exercices:学ぶ内容に焦点があること。決まった方法でドリルのように繰り返すもの。基礎知識に関わること。教科書に載っている問題。
Petit Robertによると
activité : 1. ..., Faculté d'agir, de produire un effet.
exercice: 4. Activite reglée, ensemble de mouvements, d'actions s'exercant dans un domaine particulier.
ということで、皆さん、定義に近い形で使われていることがわかりました。

 では、再度tâcheは何か。これについては「何か到達しなければならないこと。目標を必要とすること」なのではないかという意見が出ました。実際、"1.Travail determiné qu'on doit executer. ... 2. Ce qu'il faut faire; conduite commandee par une nécessité ou dont on se fait une obligation. "というPetit Robertの定義を見ても、「仕事」や「任務」といいった「義務感」が強いものであるというイメージが把握でき、また小学生についてはtâcheを用い、それ以上になるとdevoirになるということから、単語レベルではtâcheとは「これをしなければどうしても次の段階に進めないもの」なのではないかとなりました。
 次に言語教育の中でのこれら3つの言葉の使われ方をChristian PURENらによる Se former en didactique des Langues, 1998 (ellipses)で見てみました。すると、lexiqueにあげられているのはtâche(定義:activité définie par un objectif ; un dispositif et des modes d'évaluation)のみ。そこで、授業実践分析のページ(p.91)中でactivitéとtacheの使われ方の相違を検討してみると、tacheは "Paramètres de description des tâches "など包括的に使われていることなどから、「課題」や「作業」という意味合いがあるのではないか、また英語から輸入された用法では、英語の影響を大きく受けた構造主義の影響ではないかとの意見があがり、英語圏/英語教育での使われ方を次に検討しました。
 英語教育用語辞典(大修館書店、1999)によると、タスクとは「外国語教育においては、言語習得を目的として行う課題や作業」のことを指し、例としてはjigsaw taskやinformation taskなど、やはり作業を指すように使われていました。
 一方、Bouchard(1985)は、exerciceは言語の要素の練習、activitéは場面の中で使うもの、tâcheは会話として本当らしい活動のみならず、正当化される相互作用的な活動でもあるとしており(Francois Mangenot, Quelles tâches dans ou avec Les produits multimédia ?, 2000, ENS Editions, p.67)、言語教育活動のなかでの非現実性は特に問題にしてないと確認できました。ここでは、ある活動をexercice、activité、tacheに分割できるレベルのものではなく、目的や状況によっても異なる捉え方ができること、またこれらの階層化される傾向が指摘されました。

2、task based language teaching

 以上の単語の用いられ方の検討を軸に、task basedとはどういうことかについて、常盤さんが調べてくれました。英語教育分野で使われているtask based language teachingについて、Long, M. H., Crookes, G., " Units of analysis in syllabus design - the case for task " in Crookes, G & Gass, S. M. Tasks in a pedagigical context :integrating theory and practice, 1983, Multilingual Matters.によるシラバスの比較をもとに検討してみました。
 シラバスには4種類2系統あるようです。いわゆる「伝統的な」手法は:

Synthetic syllabuses:言語体系を前もって分析し、学習者が個別の構造や機能を別々に学習し、それを後で統合できるという考えに基くもの
=Type A syllabuses:「学ぶべきこと」や目標言語に注目し、誰かが前もって学習項目を選択、分割、学習目標を設定して、学習者以外の人によって導かれるもの

 このシラバスに問題としては、学習の仕方が線的であることや規範がひとつに限定されがちで、言語習得のプロセスとの検討が必要であると指摘されています。

 他方、いわゆるtask basedなシラバスは:
Analytique syllabuses:言語目標を「かたまり」として提示し、学習者に言語規則を発見する能力があり、また自らlinguistique universalにアクセスできると仮定する
=Type B syllabuses:言語習得のプロセスに注目し、学習項目を前もって選択、配列せず、学習目標は学習者と教師の交渉によって決まられる
 こういったシラバスは、たとえばイマージョン法などで活用されているようです。この分類に入るtask-based language teachingについては学習内容の決定が学習者の人数やレベルに大きく左右されること、また内容が学習者が中心になって決定できても、その方法が教授者によるため学習者の直接的な自律性をもった学習にはならないこと、そしてタスクの取り扱いの困難さなどが指摘されました。
 実際にみなさんが使っているシラバスはどれか確認したところ、基本的には「伝統的な」手法を利用しているようでしたが、Type Aに代表されるものを壊す方法でType Bを使用しないと授業が成立しないという意見もありました。

3、Jeux et actovités communicatives

 最後に、Francois Weiss, Jeux et activités communicatives dans la classe de langue , 1983, Hachetteから、室井さんが状況ごとに分類してくださったさまざまな活動を紹介してくださいました。しかしながら、時間的な余裕がなかったこともあり、ざっと紹介していただくだけで終わってしまいました。
 そこで、12月の例会の際に、「使える」「自慢の」Jeux et Activitésをみんなで持ちよって、検討しようことになりました。

(M.H)

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■Péka Info

Pékaホームページ 引っ越し!

Pékaホームページは以下のURLに引っ越しました。引き続きよろしくお願いいたします。

http://peka.cool.ne.jp/

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次回のPékaは...

10月19日(土)
14:30-17:30
上智大学
7号館 1215会議室

1.夏期スタージュ報告

左合桜子さん、
本間真由美さん、他


2. 「悩み相談室!」
司会:土屋良二さん

授業をしながら、
「こういう風にしたいのに、なんだかうまくいかない...」
「みんなだったら、こういう時どうしてるの?」
 なんて思うことはありませんか?
 今回は日頃の悩みをうち明けあって、時間の許すかぎり参加者全員で検討したいと思っています。
お悩みのある方も、
また実践経験豊富な方、
みなさま
ぜひご参加ください。


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