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NO.69

 

タイトル: 「フランス語教育の基本の勉強をしませんか?」 文献リストづくりの提案  

担当者: 田中幸子


Péka
Pédagogieを考える会
NEWSLETTER 69
le 4 septembre 2001

みなさま、よい夏を過ごされましたでしょうか。
9月になりました。猛暑もようやく去って、朝晩は秋の気配が感じられるようになりました。新学期に向けて、そろそろ始動です…

■例会報告

「フランス語教育の基本の勉強をしませんか?」
文献リストづくりの提案  

田中幸子さん

 参加者は、途中退出者を含め24人。盛会。例会の雰囲気、白熱。

 日本語教師養成は多様化、多数化されているという指摘の後、「日本語教育能力検定試験出題範囲」、これは様々な対応能力を計る試験制度ですが、ここから「教授法」の章が紹介されました。田中さんは、フランス語教育への直接的な適用はもちろん限界はあるが参考になるものとして、その他に、
 -『授業技術講座』基礎技術編中島章夫著、ぎょうせい。
 -『日本語教育の方法』?コース・デザインの実際?田中望著、大修館書店、を紹介。

 そして「Pékaの例会の毎回半分を勉強会にするか?」という議論に入りました。
 田中さんから以下のことが提案されました。
 ○知識・用語の認識の違い、用語の空回りが散見される。また、発表で実践報告か多く、理論的言及が少ない。勉強の必要性あり。
 ○教育セミナーをやっていて、常に新しいものが加わっているの実感したので、学ぶ必要性を感じる。
 ○本を読む=コメント、ではなく内容理解・紹介にとどめる。解題的意見を加える。
 ○章ごとに担当者を決め、発表・レジュメ、5分で報告。他の者iは関連分野を紹介。
  やりかたとしては、
  -全員読んでくる
  -担当者一人が競んでくる
   ←どちらも大変か?
  .-1年を人数で細分化し後でまとめる形で精読する?

 こうした「文献紹介・読書会形式の例会」に対して、参加者から以下のような意見がまず出ました:
 ○「なせたくさんの本を読むのか。読むなら細かく読みたい。皆で読むことはむずかしいが、知識を共有できる。」
 〇ニューズ・レターの読書案内だけでよい?例会で読む?
 ○Pékaの沈滞ムードを活性化するためには、新しい人と古い人とのギャップを埋める=共通認識を作る必要。
 ○「論文の書き方は別にやれば良い。それよりも例えばコミュニカティブ・アプローチに関しての論議の方が意義があるのでは。」
 ○読んで何をする?理解、おしましい、にしないためには?
 ○アメリカの教授法に興味あり。フランスに留まらず、分野・視点をひろげては?
 ○言語教育という観点からは?

 善本さんからは、「実践報告のみに終わらせない本」も紹介されました。
-『外国語教育リサーチマニュアル』、ハーバード・W・セリガー/イラーナ・ショハミー著、大修館書店
 文法教育・コミュニカティブ・アプローチが、それぞれ勤勉タイプの学生・外交的性格の学生に向いていて、それぞれ成果が上ったという実践報告も挙げられている
-『心はどのように遺伝するか』、安藤寿康著

 飯田さんからは、基本文献として今年のテーマから、
-『コミュニカテイブ・アプローチ」?歴史と批判?
が提案されました。

 ここで10分間のグループディスカッションに入りました。以下は5グループに別れての討論内容をまとめたものです。

グループ1
-他の言語分野、特に英語の応用言語学・基礎文献を読んで報告し、議論のテーマを見つける。FLEは抽象的になりがちたから、現場との関連を探りながら。

グループ2
-目的は「共通認識を深めつつ、新しい知識をえる」こと。では具体的にどうする?例会の中でどうやる?
-毎回、次に読む本を決め、目次をコピーし配布。喋る人・聞く人にわかれない様に出発点を同じにしたい。全員、等しく参加するには毎回全員分担を決める。5-10ぺージを参加者数で割るのが妥当か。

グループ3
-10年選手が初心者に情報提供。蓄積した知識
を「伝達」。本を勧め共通認識を得させると同時に自分の知識も見直す。ではどんな本を選ぶか?発展性のある本を選ぶのが重要。

グループ4
-誰が基本文献を作る?各自が解題付で提出し、小グループ2-3人がまとめる。例会でどう扱うか?ひとつのテーマを決めて、本・記事を持ち寄り意見交換。例えばコミュニカティブ・アプローチ?精読したければ次回に回せば良い。

グループ5
一理論を勉強した後、実際に使用・応用し、フィード・バックする。つまり報告する。学生から理論的問いを受け、現場の教師が実践してみて報告する。

 最終的には第4グループ案が実行されることになりました。

 普段、授業で対面する学生達の大部分が無気力なので疲れますが、やる気満々のPékaも疲れます…また、無気力な学生達が、教師の話を聞いてないのとは違った意味で、Pékaの面々ばその熱心さ故にか、他人の話が「聞こえてない」、「通じていない」ことがあるのを実感しました。それは、
1.今回も問題となった、「墓礎的知識の共有がない場合」が原因であるのみならず、
2.「方針・信念」の違いからか、なぜか同じところで話が繰り返されてしまうからでしょうか。これは「くり返」されていくのでしょうか。互いに理解が、あるいは納得か得られるまで。あるいは得られないままで対話を放棄するか…

(T.Y.&M.H.)

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■Péka Info 1

 文献リストづくりにご協力ください。
 というわけで前回の例会でばメンバー各自がまず墓本文献と思うものをリストアップして、それを持ち寄るところから、はじめようということになりました。みなさんから寄せられたものについて、10月の例会で報告します。以下の形式で、主要参考文献リストをお送りください。よろしくお願いいたします。

宛先:harada_s@xxxxx.jp

-外国語の文献:
  Nom; Prénom; titre; édition; année; 1行コメント
-日本語の文献:
  著者名;論文名;雑誌名;出版社;出版年;1行コメント
*改行なしで「;」区切りにするとExcelの処理上都合か良いそうです。
*注意点として、フランス語表記に関してはアクサン抜き。添付ファイルとして送らず、メールの本文に入れて送ってください。
 締め切り(第1次)
 いちおう、9月25日とします。

■Péka Info 2
9月例会中止 次回は10月20日です。
 9月29日(土)に予定されていた例会は会場の上智大学がオープンキャンパスのため、中止となります。オーガナイザーの不手際のため、すでに予定を立てていた方には大変ご迷惑をおかけいたしますことを、お詫び申し上げます。誠に申し訳ありませんがご理解いただけますようお願いいたします。

■Péka Info 3
Péka のホームページ・リンク
Péka のホームページに、自分のホームページヘのリンクを貼ることを希望する方は、以下までご連絡下さい。
 m_inoue@xxxxxxxx.jp (mとinoueの間はアンダーバーです。)

次回のPékaは…
10月20日(土) 14:30-17:30
上智大学四谷キャンパス3号館5階 3-538 CALL教室
「フランス語教育の基本の勉強をしませんか?」2
 司会:田中幸子さん、原田早苗さん
 わたしたちが授業をつくっていくうえで、考え方の根本になっているものは何でしょうか。話すこと・書くこと・聴いてわかること・読みとること、ひとりでする活動・他と一緒にする活動、授業にはいろいろな要素が含まれ、どうやって授業のなかの活動をかたちづくるのかという考え方も、多様なものです。
 「教授法」「オーディオヴィジュアル」「コミュニカティヴ・アプローチ」…いろいろな考え方があらわれては消えたりしながら、ことばを学ぶ・教える場に影響を与えています。「ポストコミュニカティブ・アプローチの時代」ということが言われて久しい現在「わたしたちの授業の根本は何か」「教授法の考え方がいろいろあったのを踏まえたうえで、今、フランス語を教えているわたしたちが、現実に合ったものとして拠りどころにしている考えは何か」「これだけは譲れない、どうしても大切、と思っているものは何か」…そんなことを、出し合ってみたいと思います。
 前回の例会では、「参考文献を集めてみよう」とし、提案をしました。そして、それに対して、「参考文献をただ読むだけならば、Pékaらしくない」「やはり教育現場の実際的なことについて、みんなで考える場というとは、崩さずにやっていかなければ」という意見が強く出されたように思いました。
 そこで、上に述べたような切り口をまず、出発点として考えてみたらどうかと思います。みんなで創るPékaの活動の新しいサイクルが始められるかどうか。いちど試してみましょう。(田中幸子)

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