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NO.67

 

タイトル:フランス語学習者のためのインターネット・リソース

担当者:小松祐子(さちこ)

テーマ:環境、コンピュータ

キーワード:インターネット、サイト、リソース

タイトル:CALL教室での文法読解の授業

担当者:井上美穂

テーマ:環境、コンピュータ

キーワード:CALL、聞き取り、インターネット


14/04/01

no.67


今年度も始まりました。皆さんお変わりありませんか。大学や高校では新しい学生を迎えて忙しい日々が続いていると思います。いつもフレッシュな気持ちでクラスに向かいたいものです。今回、Péka号はインターネットの大海原へと船出しました。案内役は小松祐子さん。フランス語学習に役立つインターネット・サイトの島々を巡りました。

■例会報告

フランス語学習者のためのインターネット・リソース

小松祐子(さちこ)さん

テーマ:コンピュータ
キーワード:インターネット、サイト、リソース

1.インターネット利用は何のためか
 小松さんはまず「インターネットはフランス語学習に役立つか?」という問いかけから始めました。総合的学力、読む力、聞く力、書く力、話す力、文法、語彙、発音、文化的知識、異文化交流の9項目のうち、当日の例会参加者が特に役に立つと思ったものは語彙、文化的知識、異文化交流、次に読む力、書く力、総合的学力、文法力、聞く力の順で、発音と話す力に関しては否定的でした。この傾向は1999年にこの調査を行ったベルギー、ルーヴェン大学のTommy Segersの結果と同じでした。このアンケートから見ても、語学学習においてインターネットが利用される理由としては、まずそれが豊富な情報源であること、そしてコミュニケーション手段として有効であることが考えられます。

2.インターネット・リソースの定義と分類
 ここで扱うリソースressourseとはデータ、練習問題のような学習活動、辞書のような道具さらにはコミュニケーション自体も含む広範な分野にまたがるもので、 種類で分ける(データ、練習問題、辞書など)、あるいは役割で分ける(FLE、教育一般、リファレンス、autoformationなど)といった分類が可能ですが、小松さんは学習者の立場から次のように分類しました。
- a. FLE学習用サイト:フランス語の学習ができるサイトで、練習問題(自動添削機能の付いたものと付いていないものがある)に答える、他のサイトを閲覧して答を探してくる、クイズに答える、ゲームをする、といったactivitéがあります。
- b. FLE学習用リファレンス:フランス語学習のための道具が用意されているサイトで、FLEリンク集、辞書、検索エンジン、参考書、図書館、留学情報などがこれにあたります。
- c. 一般サイト:FLEと直接関係はありませんが、フランス語によるあるいはフランスに関する情報を提供しているサイトで、テレビ・ラジオ・新聞といったメディアのサイト、文化関係のサイトなどが含まれます。
- d. 文通、チャット:実際にフランス語を使ってコミュニケーションを行うサイトです。

3.学習目的別リソース
 それでは具体的にはどのようなサイトがあるのか、目的別に幾つかのサイトを紹介してもらいました。
 @ 読む力をつける:テキストを読んで内容理解、発展的練習問題を行えるサイト。
●Documents authentiques(DA)としては、テキストのみのものとそれに理解を助けるヒントが付けられたものがあります。
- Lire Français (http://www.lire-francais.com/) :
Sud-Ouest紙の記事に内容理解の選択式練習問題、質問にフランス語で書いて答える
応用問題、テーマを発展させて理解を深める問題の3段階からなっています。
● FLE学習者用にdocumentsが作られたサイトにはつぎのようなものがあります。それぞれ理解を助ける様々なactivitésが用意されています。
- Chloé (http://www.ur.se/chloe) :
北欧のラジオ局によるフランス語の音声教材。テキスト(transcription) 付き。
- Polar FLE (http://www.polarfle.ovh.org/) :
学習者のレベルによって4段階設定されている教材。絵による難語の解説が面白い。
- Reading French (http://fis.ucalgary.ca/RF/RF.html) :
学習ストラテジーの利用を学習者にすすめるもの。
● Activités ludiquesのサイトとして
・Bal du Prince (http://www.captage.com) :
「パーティーで王子様を誘惑しよう」というロールプレイゲーム。質問に答えながら人物を作ってゆきます。
A 聞く力をつける:これも内容理解と発展練習のできるサイト。
● DAにヒントが付けられたものとして
・Funambule (http://www.funambule.com/cgi-bin/tv5.asp) :
TV5の放送に練習問題をつけたもの。
・前述のChloéとPolar FLE も聞く練習が含まれています。
● Activités ludiquesとして
・Say it in French (http://culturel.org/ALF/) :
カナダのフランス大使館文化部作成のゲームです。
B書く力をつける:実際にフランス語を書くサイト。チャットはFLE初級学習者には無理ですが、電子文通は可能です。
●テーマを決めて書いた作文を送るサイトとして
・L’Odysse (http://fis.ucalgary.ca/odyssee/
(ただし添削無し)
●書いた文を添削してくれるサイトとして
・Accord-Académie  (http://www.accord-academie.com/correctiontextes.shtml)
(民間語学学校による)
・Orthonet (http://www.sdv.fr/orthonet/corrigeons.html)
●作文モデルを収集できる辞書のようなサイト
・Ecrivain public virtuel (http://admi.net/epv/) :
手紙の文例集を集めたもの。
・Cours autodidactique de Français Ecrit  ( http://cafe.umontreal.ca/redaction/index.html) :
フランス人が書く力を付けるために利用するデータバンク。
C話す力をつける?インターネット上でこの分野の可能な練習は、モデル文のリピート練習、Actes de parole の学習と応用、マイクを利用した通信による学習が考えられます。
・Situation d'oral (http://french.chass.utoronto.ca/situations/) :
テーマ別に音声ファイルがまとめられています。
D文法:学習コース(単独に扱うもの、総合的に扱うもの)、と様々な練習問題のサイトがあります。
● 学習コースとして
・Tex’s French Grammer (http://www2.lamc.utexas.edu/frgr/overview.t)
● 練習問題には
・French Grammer Central (http://globegate.utm.edu/french/globegate_mirror/gramm.html)
・大阪大学岩根先生の文法問題 (http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~iwane/minitest/index.html)、
・同、活用問題 (http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~iwane/katsuyo/index.html)
E語彙力をのばす?様々なゲームを通じて楽しみながら語彙を増やそうというサイト。
・QUIA (http://www.quia.com/french.html) :単語当てゲーム。
・フランス語遊び (http://www2u.biglobe.ne.jp/~t_asami/index1.html) :
日本で作成されたサイトで、絵合わせから語彙をのばそうというもの。
・Lexique (http://cweb.middlebury.edu/cr/lexique/) :
テーマ別の語彙を体系的に学習するサイト。
F発音を学ぶ
・Documents théoriques としてはhttp://www.linguistes.com/phonetique/table.html では音声学的知識を得ることができます。音声ファイル付き。
・ジュネーヴ大学のサイト FIPSVox (http://www.latl.unige.ch/) :
文章を打ち込むとその読みがイントネーション付きの合成音で聞けます。
・Internet Speech Analysis System via electric-Mail by INSAS/M (http://sp.cis.iwate-u.ac.jp/sp/paste/indexj.html) :
学習者が発音したものを音声ファイルで送るとグラフにして送り返してくれるサイトです。
G文化的知識を増やす?FLE学習者用に作成されたサイトは案外少ないようです。
・Civilisation française ( http://www.cortland.edu/www/flteach/civ/)  :
多くの画像を見ながら練習問題をこなし、フランスの文化について学んでいくもの。
H異文化理解を深める?電子文通のパートナーを紹介してくれるサイトがあります。
・tandem( http://www.enst.fr/tandem/)

4.インターネット・リソースを見つける
 こうしたリソースを個人で見つけようとすると、膨大な数のサイトの中から探し出すのが大変です。手がかりとなるリンク集には以下のものなどがあります
・Mario Tome によるもの(http://thot.cursus.edu/rubrique.asp?no=10391):
レペルトワールの評価付。

5.今後の課題:
 今回の小松さんの報告で、インターネットの世界にはFLE学習に利用できる数多くのリソースがあることがわかりました。また、利用方法もまだまだ可能性が広がりそうです。しかしこうしたリソースは、見つけるのにも、その内容のを見極めるのにもきわめて時間がかかります。日本人の学習者向けにサイトの評価を付けたリンク集、レペルトワールを作成する必要があるというのが小松さんの結びの言葉でした。この小松さんの報告はhttp://web10.freecom.ne.jp/~skomatsu/peka2001.htmのページにも載っていますので、参考にしてください。

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■例会報告2

CALL教室での文法読解の授業

井上美穂さん

テーマ:コンピュータ
キーワード:CALL、聞き取り、インターネット

 後半はCALL教室のシステムを使った文法の授業を井上さんが紹介してくれました。英語科の選択必修のクラスで、授業の構成は、文法説明、文法問題、クイズ、読解練習、ビデオの聞き取り問題からなるもので、これをコンピュータ上で行うものです。文法問題には添削機能が付き、読解練習では各学生の学力レベルに応じて、辞書で引く単語数が制限されます。井上さんは各自が授業で引いた単語数、読む行数、設問数、正解数をもとに次回の単語数を決め、1人1人に対してきめ細かな配慮をしています。また、聞き取りにはF2のニュースや日本のアニメのフランス語版を取り入れるなど、学習者を飽きさせない工夫も随所でなされていました。毎週これだけ中身の濃い授業の準備をするそのパワーに参加者は皆圧倒されました。ただ、コンピュータに向かう作業は、従来の直接対面型とは異なったコミュニケーションを要求するもので、それが学習者と教師の集合体としての教室という場になじむものなのかという点は今後も考えてゆかねばならないでしょう。
 なお、今回取り上げられたものではありませんが、井上さんが公開しているホームページ
( http://www.call.sophia.ac.jp/~inoue/pub/2001/2001.htm)
では様々な練習問題を見ることが出来ます。

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■Péka Info

2001年度のPéka例会日程は
以下の通りです。
4月28日、6月16日、9月29日、
10月20日、12月15日

次回のお知らせ

次回のPékaは...
4月 28日(土) 14:30-17:30
上智大学四谷キャンパス
3号館5階 3-538 CALL教室

「Pékaホームページを作ろう!」
井上美穂さん、小松祐子さん、西村亜子さん、根岸純さん、土屋良二さん

いよいよPéka ホームページを具体化することになりました。たたき台として実際にWeb上に作ったページを見ながら、皆さんと一緒に内容の検討と補完をしてゆきたいと思います。あなたならどんなPékaをホームページに載せますか?

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