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NO.58

 

タイトル:「ヒントの出し方・間違いの訂正の仕方」

担当者:鵜澤恵子/原田早苗

テーマ:構成、クラス運営

キーワード:ヒント、間違い、訂正


14/10/99

no.58

 新学期最初(というか夏休み最後!というべきか)のペカは、お彼岸だというのに30度を越す暑さの中で行われました。

■例会報告

「ヒントの出し方・間違いの訂正の仕方」

司会:鵜澤恵子さん
まとめ:原田早苗さん

 第三回目のテーマは「ヒントの出し方・間違いの訂正の仕方」。
そもそも「ヒント」とは何でしょう?外国語教育においては「学習者の理解を助けるもの (ex: 教材のイラスト、写真、オーディオやヴィデオなど)」、「学習者を導くもの」などヒントには色々な役割が考えられますが、今回の例会では「ヒントを出す=学生の発話に対する訂正の仕方」という見解に絞って進めていきました。 
この観点から考えると、ヒントとは、
@質問を理解させるためのヒント
(ex: Qui est-ce? という質問を学生が理解できないとき、続けてC'est Pierre ? C'est Paul ?と言い換えをする。)
A正解を導くためのもの
(これには正解が、a:一つしかない固定されているもの (ex:動詞の活用形)と b:自由なもの (ex:発話行為自体・体験談を語るなど) の2種類ある。)
 この定義の後、グループディスカッションが行われました。前半は「教師がヒントを出すとはどういうことか?」、「どういう時にヒントを出さない・出すか」、という疑問をグループに分かれて話し合い、発表し、それをリストアップしました(*後記リスト参照。筆者注:短い文にまとめるとニュアンスがよく伝わらないものがあります。疑問点は次回お尋ねくださいね (*^0^*)/ )。
「 1はヒントではなく、Evaluation ではないか」、「いや、間違いに気がつかせてあげればそれだけでもヒントだ」等々、外の暑さに負けないくらい熱い --実際冷房を2度ほど下げなければならないほどでした--ディスカッションが繰り広げられるのもペカならでは。
 後半は5名のメンバーが提供してくださった5種類の授業記録トランスクリプションを用いて、「リスト中のヒントにあてはまるものにはリストと同じ番号を振り分け、それ以外のもの(あらたにヒントと思えるもの)があったらピックアップする」という作業を行いました。5つのグループがそれぞれ一つずつ担当し、発表しましたが、教師・授業の作業内容や教材・学生等の複数ファクターの性質によってヒントの出し方にも傾向があることが分かりました。
 最後に原田早苗さんが「学習者の間違いの訂正の仕方(誤用訂正)の観点からのヒント」を紹介してくださり、前半で挙がったもの以外のヒントの紹介と説明をしながら今例会のまとめをしてくれました。
 結論として...一番大事なことを!
 「ヒントとは学生が「ヒントだ!」と受けとめた時に初めてヒントになる。」-前半、1の「エラーに気づかせる・エラーがあったことを指摘する」が「Evaluationかヒントか」という熱?いディスカッションをひき起こしたのも実は当然の事だったわけです。-つまり、教師の「間違っているよ!」という指摘は、学生が、@「あ、そうだ、間違えた」と自ら気がついた後に、A再び回答を試みて(正解でなくとも良い。再チャレンジする事が重要)、はじめて「ヒント」のジャンルに入れることができるのではないでしょうか。
  教師の思いこみだけのヒントはヒントに非ず。筆者のように学生たちに「センセ、さぶぅ?!」と言われるような駄洒落ヒントはかえって混乱と軽蔑を招くようです。くれぐれもご用心。もっとも、駄洒落のお陰で関西の某駄洒落好き教授は女子大生のアイドルと化しているそうです。(ヒントかなぁ??おそまつ。)

教師がヒントを出さないとき
・試験のとき
・正解だけを期待するとき
 (ex: spontanéitéを見たい)
・正解を与えてしまうとき
・時間的猶予を与える・与えられると き

教師がヒントを出すとき&その種類
1.エラーに気づかせる(ジェスチャー・表情によるものも含む)、エラーがあったことを指摘する。
2.他の学習者に確認する。
3.図式を用いる。
4.選択肢を与える(板書・口頭)。
5.例をあげる。(Mise en situation  状況説明など)
6.考え方を示す、考える筋道をつける。
 (訳読などでSVOを明らかにするなど)
7.正解の最初の部分・導入部を与える
8.参照箇所を示す。(本・テープ中の 要注目箇所を明示する)
9.エラーの箇所を明示する。
10.別の学生にモデルを示させる。
11.故意に誤ったモデルを出して訂正させる。
12.質問の仕方を変える・使用言語を変える。(ex: 授業のLangue véhiculaireが仏語なら日本語に切り替える・交える)
13.ジェスチャーによる意味の補足
14.学習者の発話を教師がただ繰り返すことで再考を促す。
15.もう一度学習者に発話を繰り返させることで自発的に間違いに気づくことを期待する。
* 14, 15は原田さんのまとめに出てきたヒントの一部です。一覧表をご要望の方は、
xxxxxx@sophia.ac.jpまでご連絡ください。
(A.N.)

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■Péka Info

ヴィンコ=アルド・ディッチ、
ジョズィアンヌ・シャピュイ=グラディッチ夫妻
講演会 のおしらせ
(JAVET代表・関東学園VT研究所長
クロード・ロベルジュ氏より)

 ヴィンコ=アルド・ディッチ、ジョズィアンヌ・シャピュイ=グラディッチ夫妻の来日がいよいよ実現します。両氏はヴェルボトナル法の創始者ペタル・グベリナ門下でも現在もっとも精力的に活動されているメンバーで、メソードの理論と実践に多くの経験を有し、特に両氏の開発した教育とリハビリに効果的かつ革命的なテクニックは注目を集めています。30を超える国々でのセミナー指導実績もあります。
 両氏の講演会と講習会は発話・言語習得に関わる方ならどなたでも参加できます。お誘いあわせの上、ぜひ足をお運びください。

東京 講演会
11月6日(土)13時?17時
11月7日(土)10時?12時、14時?17時
上智大学 L-812教室
演題:「言語活動における脳と身体の役割」
使用言語:フランス語(通訳付き)
参加費:4000円(2日間)
2000円(1日のみ)
主催・連絡先:上智大学国際言語情報研究所(Tel/Fax 03 3238 3493)
協賛:日本言調聴覚論教会(JAVET)
後援:在日フランス大使館、
   在日クロアチア大使館

■ Péka Info
Dictée avec le JT de France 2
(井上美穂さんより)
France2を使ったdictéeを2本作成しました。テーマは「東海村の事故」と「Kenzo引退とパリコレ」です。テキストは以下のような構成となっています。
Texte 1:
まったくの無地。学生はすべてを書き取らなければならない。
Texte 2:
texte 1と同じ部分を聞くが、部分的に文章が与えられていて、「穴うめ形式」のdictéeになっている。
Texte 3:
texte1と同じ部分を聞く。texte2と同じ穴埋め形式dictéeとなっているが、texte2よりもより多くの部分が与えられている。
Texte 4:
texte 1, 2, 3で聞く部分の完全なtranscriptionなので、答合わせに使える。
もしご自宅またはAVセンターなどで、France2を録画なさっている方がいらしたら、その録画とセットで使えます。上のdictéeをご希望の方は、井上までメールでご連絡下さい。


■ Péka Info
Attention!!
例会開始時間変更
次回10月23日と12月11日のペカは、会場の都合により、いつもより1時間遅く3:30開始となります。
なお会場は同じ日仏学院ですが、次回・12月例会とも207教室です。ご注意下さい。


■ Péka Info
え?もう?
12月11日の例会の後、恒例の忘年会が予定されています。つきましては、おすすめのお店情報をお寄せいただけませんか?会場の飯田橋からの移動が難しくない場所で、20人ちょっとの予約が可能なところ、もちろんお酒とお料理のおいしいところ!お店の情報、その他忘年会へのご意見(予算etc.)ございましたら、以下までお願いいたします。

次回のお知らせ

次回のPékaは...
10月23日(土)3:30 -
東京日仏学院 207教室

「息抜きの仕方」
司会:佐合桜子さん・西村亜子さん
授業の「かたち」を考える第4回目は
「息抜き」についてです。
授業のリズムに弾みをもたせるためには、
一時間の流れの中に、
また年間スケジュールを考慮して、
時には、「息抜き」が必要ではないでしょうか。
個性あふれる、いろいろな「息抜き」の
アイディアが聞けそうですね。お楽しみに。

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