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NO.45

 

タイトル:フレッシュな風 

担当者:高瀬智子・礒脇幸恵

テーマ:構成、クラス運営

キーワード:学習者、モチベーション、教材

 


Péka Pédagogieを考える会

NEWSLETTER 45

le 20 septembre 1997

 

102東京都千代田区紀尾井町7-1

上智大学外国語学部

田中幸子研究室 tél.03 3238 3742

郵便振替口座00120-1-764679 PEKA

 

■例会報告

 フレッシュな風 (高瀬智子さん・礒脇幸恵さん)

 数日来、雨模様のうっとうしい天気が続き、急に涼しくなりましたが、皆様お元気でしょうか?今回のPéka-NewsLetterの遅れはひとえに私、レポーターの原稿の遅れによるものです。平に、平にご容赦願います。

 さて、前回6月の例会では、フランス語の教師として、それぞれ一年目一高瀬智子さん一と、二年目一礒脇幸恵さん一のお二人による実地(?)報告でした。

 高瀬さんは、この4月から大学で初級の文法を教えているのですが、学生時代に家庭教師をしたときの経験から、文法の教科書に沿ってやるだけの授業は面白くないのではないかと考えて、フランス語あるいはフランスに興味を持たせられるような情報やそのための材料を幅広く提供しようと努めています。「コンビニで出会うフランス語」などを拾い上げてフランス語を身近なものと感じさせたり、devinetteなどのゲームで遊びの要素を取り人れたり、映画や美術展のチラシを用意したり、シャンソンを聞かせたり、もちろんそれ以外の資料も駆使して色々なactivitésを準備したり。「これでもか、あれでもか」といった感じで、学生のmotivationを引き出す工夫をこらしているのには感心します。教科書の進度一その週に学習した文法事項一に合わせてこれらの資料を処理するわけですから、並大抵の努力ではないでしょう。清新な熱意あればこそ、ですね。白井さんがいみじくも言ったように、「+αのネタをこれだけ探してくれば学生は喜ぶ」でしょう。

 質疑に移って、組んでいる先生との分担や教科書の選択の理由、Chansonのフランス語部分の処理の仕方やテキストとactivitésの時間配分などについて活発な質問が飛ばされましたが、後期になって文法事項が複雑になってきたときactivitésに割く時間をどう取るかが問題になるのではという指摘があり、それに対してactivitésから入って教科書はまとめに使うようにしたらよいという提案がありました。

 ともかく、たった3か月弱でこれだけの資料を用意しかつ授業に応用しているという高瀬さんには圧倒されるとともに、自分はどうなのかと反省させられました、参加者の希望として、高瀬さんの準備した資料を希望者が参考にできるようまとめておいてもらい、最終的にはPékaライブラリーに入れようということになりました。

 さて、二番手の礒脇さんは教師二年目、大学で中級講読コースを担当しています。事前にフランス語を選んだ理由などについてアンケートをとり、また6月中旬にそれまでの授業内容や授業の進め方などについてのアンケートをとるなど、授業構成の手掛かりやより良く修正するための反省点を客観的にとらえようと努めています。前年度のクラスは反応がよかったのに今年度はそれほどでもないで、学生の興味をいかに引き出すかに腐心したようで、テーマの選定を考え、また時事を取り入れて今村昌平監督のパルムドール受賞に合わせて「カンヌ映画祭」を取り扱った課を読んだりと工夫したそうです。これに関して映画の話をしたり、映画のチラシや自分が好きで定期講読しているフランスの映画雑誌などを回覧したりするようになってから、学生が興味を示すようになり、彼らとのコミュニケーションがスムーズにいくようになったとか。

 また、前年度のクラスは喜んで受け入れた発音矯正を嫌がるなどの、学習者のそれまでの学習習慣との相違による抵抗(?)にも出会ったようです。なお読み物のテーマについては、最初にアンケートをとって選べばよかった、興味があると予測したテーマ(スポーツ)が案外そうではなく、自分が不案内で関心も薄いものは学生の興味を引けないなどの反省も出ていました。

 質疑に移って、ベテランの先生方から「話すペースに区切りがなくて質問等さしはさむ余地がない。回りを見ながら話すようにしたらよい」とのコメントや、教科書の文章がリライトであってauthentiqueでないことや、講読だからといって訳させる必要があるのかといった疑問点が出されました。また、礒脇さんの真撃な取り組み方にみなさん触発されたとみえ、これだけの資料があるのでそれを使って購読にとらわれないactivitésを入れる、レジュメなどグループ・ワーキングでする作業を組み入れ、その作業の多様化を図る、学生自身に質問を作らせる、vrai ou fauxテスト、小さいクイズを最後に出して平常点とする、授業を聴いていないと出来ないactivitésを最後にもってくるなど、たくさんの提案が出されました。

 最後に、善本さんの「一年後に二人のcomptes-rendusが欲しいね」という言葉にみな大きく頷き、総意となりました。

(S.S.)

 

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Péka Info

 次回について

 Pékaのみなさんも、自分の授業や他の先生の授業、学校の同僚の授業など、いろいろ観察した経験がある方が多いのではないでしょうか。

 今度のPékaは、倉住修さんによるワークショップ「Classroom Observation - a theoretical framework and its application」です。  

 「え?どうしてタイトルが英語なの?」……今回のワークショップは、「フランス語」を少し離れて、別の視点から、授業観察observationを考え直してみることが目的だからなのです。animateurの倉住修さんは、岡山市生まれ、上智大学外国語学部英語学科、同大学院言語学専攻修士課程を経て、アメリカ、カリフォルニア州、Monterey Institute of International StudiesのTESOL修士課程卒業し、現在は高崎経済大学および慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスで非常勤講師として英語を教えています。高枝や地方公務員の国際化対応研修所で英語とコンピュータを指導したこともあるそうです。専攻はTESOL(英語教育)。

 倉住さんが、「これまでやってきたobservationが、果たして特定の視点を持って行えていたかどうかをチェックする理論的枠組を提供したい」ということで、このワークショップを引き受けてくれました。単に問題意識を持っているとか、自分なりに考えてobservationをやったというだけではなく、既存のobservationのアプローチ(今回はDonald Freeman, Jerry Gebhard, John Fanselowのモデルを統合して5種類紹介いたします)に照らし合わせてみてほしいということです。この場合大切なのは、これらのモデルが個々の授業の評価のみならず「カリキュラム」の中での1パートとしての授業評価という観点を提供してくれることです。またsystematicな観察を行えるようにobservation sheetの記入の際の基準(description, inference, evaluation)にも触れていくということです。倉住さんの<おことば>「このワークショップが「学び」の場となるよりむしろ「発見」の場となることを願っています」。

 刺激的なディスカッションの場となることは間違いありません。皆さん奮ってご参加ください。

(S.T.)

 

Péka Info

 茨城大学教官公募について

 メ一ル・アドレスを公開なさっている方はすでに御存知のことと思いますが、茨城大学の神田大吾さんから別紙のようなメールが届きました。せっかくお知らせいただいたことでもありますので、神田さんの許可をいただいてこのような形で皆さんにお知らせすることにいたしました。メールにもありますように、所属学科が違いますので神田さんが直接タッチなさっているわけではありません。でもせっかくのお知らせですので、皆さんよく御覧になって奮って応募なさってみてはいかがでしょうか。

(H。N。)

 

次回のお知らせ

●日時:1997年9月27日(土)14h30?17h30

●会場:上智大学四谷キャンパス6号館3階311教室

●テーマ:

  Classroom Observation  - a theoretical frame - work and its application(倉住修さん)

  みんなでPékaを評価しよう(田中幸子さん)

   なお、上記「次回について」をご参照下さい

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