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NO.32

 

タイトル:正しい研究会の参加の仕方 

担当者:白井春人

テーマ:研究会、実践、教材

キーワード:ランコントル、講読、中学と高校のフランス語、教師、役割、書く力、演劇

 


Péka Pédagogieを考える会

NEWSLETTER 32

le 10 juin 1995

 

102東京都千代田区紀尾井町7-1

上智大学外国語学部

田中幸子研究宝tél.03 3238 3742

郵便振替口座00120-1-764679 PEKA

 

■例会報告

 正しい研究会の参加の仕方 (白井春人さん)

 今日の担当は白井さんで内容は2本立てというか、2段構え。前半は、白井さんご自身と多くのペカのメンパーが、参加者及ぴアトリエの進行役として参加した、RENCONTRE PÉdDGOGlQUE DU KANSAÎの報告説明。後半はそこで行われた白井さんのアトリエの再現でした。

 まずは326(日曜日)に大阪大学言語文化部で行われたRENCONTRE PÉDAGOGIQUE DU KANSAÎについて概要が説明されました。今年で9回目であること、地震の影響で規模が1日に縮小され、アトリエも90分から60分に縮小されたこと。統一テーマとしてgrammaire et communication 1es médias dans l'enseignement du français が設けられた各アトリエの説明があり,journée よりもamicale な感じがするのは気のせいでしょうか」という問題(!)発言もありました。

 それからは、各アトリエについての白井さんの報告があり、参加しなかったメンバーの質問や参加したメンバーの意見があり、なるほど研究会はただ参加するだけではなくて復習すれば、より意義あるのではと思いました。刺激的発言を拾ってみましょう。

 井元秀剛さんのアトリエ「購読の授業におけるdiscotexteの活用」は、従来型の購読の長所(効率がいい・知的レベルに応えられる・教師が周到な準備ができる)を生かしつつ、短所(興味が低下する・予習をしない・表現運用力はつかない)を克服するために、クラス全員に分担させて訳文を提出させ、応用説明にdicotexteの例文を活用し、文学作品へ導入を図り、テストの応用問題にも使うというものでしたが、「例文が難しすぎる」(これは、教師の労力が大きいことと合わせて、井元さんもおっしゃっていたとのこと)「翻訳だけの授業でよいのか」「通信教育とどう違うか」「阪大の学生にもそんなにやらせなければいけないのか」「教師の努力を生徒に示せば生徒はついてくるものだ」「ペカでは聞くことのない今時珍しい講義型の授業でかえって新鮮、若い人でもああ言う授業をする人がいるのか」と、ペカらしい反応が参加者からありました。

 次は、矢崎里弥さん、伊賀山かおるさんの「中高の一外としてのフランス語教育の問題点」で、内容は入試の現状と、現場の紹介で、内容的にはペカでは常識に近いことで、報告者の白井さんも当事者であり、実に要を得た説明があり、当日も「もう少しこちらに目を向けて貰ってもいいのではと言う話に終始」したアトリエで、「フランス語の業界にいて一外でやっている高校自体を知らない人がいるかも」しれない現状では「アトリエの存在自体に意義」があるということでした。「この問題には学会レベルでの運動が必要」ということでしょうか。

 白井さんが参加されたアトリエの紹介の最後は、山崎吉朗さんの「ISM構造化学習法のフランス語教育への適用」とこれもペカでも行われたフランス語教育へのコンピュータ利用のアトリエで、「機械をさわっては、なかなか思い通りに行かないなあ、ヴィデオを見ては、ああ子供たちのほうがうまいなあ、と参加者が感嘆の声を上げる」ものだったとのことです。

 

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 ここからは,白井さん以外のRENCONTRE参加者が出たアトリエの報告でした。

 まずは小石さんが「大変面白く非常に目新しい」と、中井珠子さんの「テクストを書く訓練」を紹介。これは従来のフレーズ単位の作文を論理的文章を書く練習にしようとするもので、往々にして個人的になりがちなので、Bienvenue en Franceを使って、クラスで共通の話題について、全員で時間内に一つの文章を作り上げる授業だそうです。そしてこの発表はjournée pédagogiqueの発表の続編にあたるとのこと。

 次は鵜澤さんから「一種の教師役割論」として紹介された、Annie JOURDAINさんの Relation entre l'écrit et l'orale à l'aide de techniques théâtres。「教師の姿として興味深いものがあった」というそのテクニックは、教師が別の人格になって、一種演劇的に授業にあたるというもので、授業でも教師はanimatriceに徹し、表現も学生が出し、板書も学生にさせ、最終試験では、1年間にやったことをまとめさせて、これだけのことをやったと学生に認識させるそうです。特別な人間だからできることではなく、努力によって可能になることで、教師としての自分を常に反省し、一日の終わりにはその日にやったことをメモし1年後に読み返すというJOURDAINさんは「凄い迫力の人」だったとのことです。

 ほかにも、animateurご自身により、曾我祐典さんの「フランス語の待遇表現」、小石悟さんのLire l'imageがありました。

 研究会は出るだけでは何もならないとは、よく言われることですが、もう一度内容を考え直すことが必要であると、このような機会をもつと痛感しました。それと、ペカやjournée の発表と連動したものが多いので、いろんな機会に発表に接することが大事なのではと思いました。

 後半は白井さんのアトリエ「高校生によるフランス語劇の準備」の再現で、実際の上演のヴィデオを交えての話でした。

 これは暁星学園の高校生が、関東のカトリック学校でフランス語を第一外国語として教えている学校の集まり「フランス語教育連絡協議会」の行事r「フランス語フェスティバル」で昨年6月にモリエールの『町人貴族』を上演したもので、「相手の言っていることがわからないまま自分の科白だけを暗記することのないよう」前年の文化祭での日本語上演に始まる周到な準備(この説明に「壮大な計画」と外野より声あり)を経て、直前の修学旅行でもロビーで練習して漕ぎ着けたものです。

 語劇の上演がフランス語力の向上に結びつくかについて、「それなりに使えたという達成感」「長ゼリフを覚えていたので就職試験で使えた」という話のあと、「人による。フランス語力がのびた子もいるが、主役は実力が伸び悩んだ」という結論が述べられたところ、「暁星の高校生としての基準に合わないだけで、彼のフランス語力にはいいに決まっている」という反論がありました。語劇の効果としては「声が大きくなって、体が動く」が挙がりました。

 ヴィデオ上映は好評(「女形きれいだね」「もっときれいな子出てきますから」「はまっちゃったらどうするんだろう」「ああほんとにきれい」「化粧したらお母さんそっくり」「アップはないのかな」「あんまりアップにはしないほうがいい」と話題は偏ってましたが)で、劇が終わったときには拍手がありました。今年のフェスティバルは終わってしまいましたが、来年も6月に予定されていますから皆様もお誘い合わせのうえどうぞ。(ここで宣伝をするのは報告者も関係者だからです.)

(K.M.)

 

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Péka Info

 Pékaの運営について

 前号でお知らせしましたように、発表の後Pékaの運営について話し合いがもたれました。時間の関係で突っ込んだ議論にまでは発展しません

でしたが、いくつかの問題点が指摘されるとともに以下の四つのPéka Infoに掲げた点が決定されました。なお、次回の例会の最初に議論の続きをやることになりますので、奮ってご参加ください。

 

Péka Info

 年間スケジュール決定!

 今号も諸般の事情で遅くなってしまいましたがm(__)m,NewsLetterが届くのが遅く、例会の日程がわかったときには既に他の予定が入っていることが多いので出たくても出られない」との批判に答えるため、これからは4月の例会でその年度の例会の日程をまとめて決めることにしました。早遠今年度のスケジュールが決まりましたのでお知らせします.今直ぐagendaに書き移しておきましょうφ(^^.

  第2回 1995617

  第3回      930

  第4回     1021

  第5         1216

  第6回 1996224

 

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 教授法セミナー再開!

 昨年度休止していたセミナーをこの秋に再開することになりました。詳しい日程はあらためてお知らせすることになりますが(学会に出席された方は既にご存じかも知れません)、興味のある方は小石さんか田中さんまでお問い合わせください。また、近くの方にもお知らせください。

 

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 住所録の配布について

 ご要望が多いので住所録を同封いたしました。昨夏のアンケートに回答のなかった方は外してあります。情報に誤りがある場合にはお知らせください。

 

Péka Info

 ニューズレターの名称について

 長い問熱い(?)議論の対象となっていました標記の件ですが、昨夏のアンケートの結果も考慮して現行通り«NewsLetter»で行こうということで一応の決着がつきました。

 予想外の結末ですが、当初の出発点だった名称が英語だという問題点は解消されていません。誰をも説得できるアイディアをお持ちの方は御一報を.

(以上5H.N.)

 

次回のお知らせ

●日時:1995617() 14h30?17h30

●会場:上智大学四谷キャンパス117号館第2会議室

●テーマ:1高校生用自主制作教材について

●発表者:白百合学園の皆さん

なお、発表の前に運営についての話し合いの続きを行います。

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