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NO.203

 

 

日時:12月16日(土)14:30〜17:30

テーマ:国際共修・交流授業と、エモーション
報告と司会:正宗鈴香さん & 姫田麻利子さん
◇日本の大学内でおこなわれる留学生とローカル学生の交流授業における活動の種類と、参加学生によるふりかえりを紹介します。

場所:慶應義塾大学SFC 東京サテライト 三田東宝ビル4階(港区三田3-1-7)

*Zoomでもご参加いただけます。
Zoomでのご参加を希望する方は、お手数ですが 12月14日(木)までに以下のリンク先からお申し込み下さい。例会前日にご指定のメールアドレスに招待URLをお送りします。
https://forms.gle/ByCsPmXsq7qB1qAP8


03/12/2023

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.203
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:12月16日(土)14:30〜17:30

テーマ:国際共修・交流授業と、エモーション
報告と司会:正宗鈴香さん & 姫田麻利子さん
◇日本の大学内でおこなわれる留学生とローカル学生の交流授業における活動の種類と、参加学生によるふりかえりを紹介します。

場所:慶應義塾大学SFC 東京サテライト 三田東宝ビル4階(港区三田3-1-7)

*Zoomでもご参加いただけます。
Zoomでのご参加を希望する方は、お手数ですが 12月14日(木)までに以下のリンク先からお申し込み下さい。例会前日にご指定のメールアドレスに招待URLをお送りします。
https://forms.gle/ByCsPmXsq7qB1qAP8

◇ 2023年度の年間テーマは「内省から挑戦へ DE LA REFLEXION AUX CHALLENGES」です。
◇この後の例会は2/17 14:30-17:30の予定です。
変更になる場合もありますので、例会案内をご確認ください。

◆ 2023年度の例会日程は、12/16, 2/17の予定です。
いずれも土曜日の14:30-17:30です。変更になる場合もありますので、毎回の例会案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告 (2023/10/21) //////////////////////////////////////////////

 10月の例会は、「FAUX DEBUTANTS(準初心者)にどう向き合うか−大学1年次クラスの現状と課題−」というタイトルで、司会兼報告者(大塚陽子)が調査報告(一部実践報告)を行なった(オンライン形式、9名参加)。
大学1年次フランス語クラスのFAUX DEBUTANTS(準初心者)とは、入学前にフランス語の学習歴があるが未習者(初修者)を対象とするクラスで学んでいる学習者のことである。彼(女)らが未習者用クラスで学ぶ理由は主に2つある。
1つは、学習歴のある者を対象とするクラスが設置されていないため、もう1つはそうしたクラスが設置されていたとしても、それはフランス語を第一外国語として学んできた「既習者」を対象とするクラスであり、レベルが合致していないためである。こうした準初心者に教師はどう向き合うべきか。提示された4つの問にそって報告と意見交換が行われた。

問1:準初心者は未習者と学ぶことについてどう感じているのか。
【報告】
報告者の勤務校(フランス語フランス文学を専攻とする学科)の2, 3, 4年生を対象に実施したアンケート調査の結果が報告された(無記名式・回答者101人)。回答者には、未習者用クラスに在籍していた準初心者15人が含まれている。
準初心者のうち12人は、1年次、未習者用クラスで学んだことに満足しているが、3人は準初心者クラスがあればよかった・準初心者クラスで学びたかったと答えている。もっと効率的に学べた可能性があると感じたこと、他の学生と温度差があり、新しい学びが少なかったこと、他の学生たちを待つような授業で退屈だったこと、が理由として挙がっていた。
一方、満足を感じている12人は、その理由として、入学前の学習で不足していた事項を未習者用クラスで埋めることができたこと、自信を持てるような安心できる環境で学べたこと、わかりやすい指導法が自分に合っていたことなどを挙げていた。

【例会参加者からの意見】
- 準初心者クラスがあればよかった/で学びたかった、と考えている学生たちは、既習事項を再度学ぶことに不満を感じていたことになる。これを回避するためには、より自由度の高いアクティビティを導入するなどの工夫が必要だろう。
- その活動において未習者が理解できないような表現を準初心者が使うことがあるだろうが、それをうまく利用して、(未習者に)理解できていないことを伝える表現や、別の言葉の説明を促す表現を教えたり、そうした表現を使ったコミュニケーションを取ったりするきっかけが与えられる。

問2:未習者は準初心者と学ぶことについてどう感じているのか。
【報告】
アンケート調査に回答した101人中、入学前にフランス語学習歴のなかった83人に対し、1年次のクラスに準初心者がいたかどうかについて尋ねた。「いた」と回答した学生29人に、準初心者が同じクラスで学んでいたことについてどう感じていたかについて尋ねたところ、準初心者と一緒に学んだことをポジティブに捉えている回答数は19、ネガティブに捉えている回答数は5、特に何も感じていないという回答数が3、無回答数は2で、大多数がポジティブに捉えていることがわかった。
また、準初心者は未習者から、憧れ・感動の対象、(学習の)援助者・頼れる存在、(学習意欲としての)刺激を与えてくれる存在、指導者のような存在というようにポジティブな存在であると捉えられる一方、不当な(ずるい)存在、(自分に)気後れを感じさせる存在、困惑の原因というようにネガティブに捉えられることもあることがわかった。
準初心者はクラスメートから様々な見方をされる可能性があり、そのことが準初心者によくも悪くも影響を与える。未習者に憧れられる存在、頼られる存在であれば、準初心者の学習意欲はより掻き立てられるだろうが、逆にその状況に満足感・安心感を覚えてしまい、積極的に学ぶことを怠ってしまうこともあるだろう。あるいはそれを重い、鬱陶しいと感じることもあるかもしれない。
また、クラスメートからずるいと思われないように、準初心者であることを隠したり目立たないように発言を控えたりする可能性も否定できない。様々な問題が起こり得ることを踏まえ、準初心者のいるクラスでは、教員による観察、配慮、工夫が大いに必要だろう。

【例会参加者からの意見】
- 準初心者がいたとしても、教師はクラスが未習者用のクラスであるということを忘れずに授業を進める必要がある。教師の対応が、クラス内で準初心者がどのように見られるかということに作用する可能性がある。また準初心者が未習者に教えたり情報を共有したりしやすい環境を整えるというのも教師の大事な仕事の一つだろう。
- 知識の向上だけではなく、クラスメンバーの関係作りを目的としたアクティビティを導入する必要があるだろう。準初心者ばかりが有利にならないように、考える活動、クリエイティブな活動(例:あなたにとってフランス語は何か、グループで学内を歩き、象徴する写真を撮ってくる)を行うといい。

問3:準初心者の伸び悩みはあるのか。
【報告】
同調査において、準初心者であった現3・4年生8名のうち現在B1レベルに達している者は2人のみであり、B2レベルに達している者はいなかった。一方、未習者であった者はB1、B2に達している。調査校においては、準初心者という特性は学力向上にあまり影響を与えていないように見える。
また、準初心者が未習者との差をどの時点で感じなくなるかということを把握するために、1年次の学習内容をどう感じていたかに関する調査も行なったが、準初心者の半数以上が1年次後期になると難しさを感じていたことがわかった。
1年次後期は準初心者にとって既習事項がほぼなくなり余裕が感じられなくなる時期、安心して授業が受けられなくなる時期、クラスの中で自分が特別な存在ではなくなり、これまでとは異なる努力が必要になる時期であると言える。1年次前期と後期の間に準初心者のそれ以後の学びを左右する大きな境界があると考えられる。

【例会参加者からの意見】
- 伸び悩みというのはどのクラス、どの学生にもある。また準初心者と言っても、フランス語を専門とする学科の準初心者と第二外国語クラスの準初心者とは、フランス語を学ぶことの意味合いが異なる。準初心者の伸び悩みというのは、大きな枠組み(マス)で捉えられる問題でもないのではないか。
- 準初心者と既習者の関係、既習者と帰国子女や家庭内でフランス語を話している学習者との関係など、学内・クラス内には多様な関係性やレベル差が生じていて、今後はそうした問題も考えていく必要があるだろう。伸び悩みと見られている中に、敢えて上位クラスに入りたくないために「伸びていない」と見せる学習者がいないとは限らない。
- 言語に関しては、様々な経路があり、様々な言語バイオグラフィーがあるという現実をクラス全体でまず共有し、各々が学びの先を考えるという経験を持たせることも重要であろう。
- 大学によっては、未習者用クラス・既習者用クラスが設けられていて、年度開始から一定期間、準初心者が自由にクラスを体験(行き来)できるような工夫をしている。ある程度柔軟性を備えた対応も必要になるだろう。

問4:準初心者にどのように向き合うことができるのか。
【報告】
報告者の勤務校では新しい試みとして、2023年度から1年次前期に「準初心者クラス」を設置した。このクラスに所属した6人は高校で2年間第二外国語としてフランス語を学んでいたが、フランス語の力については差があった。使用教科書や学習内容は未習者と同じ、進度も始めはやや早めであったが、前期終了時には未習者とほぼ同じになった。
クラスの雰囲気は大変よく、発言しやすく、学び合える環境になっているようであった。欠席もほぼなかった。団結力があり、授業外でも一緒に勉強したり、学内で開催されたフランス語関連の催しに、6人で協力して作成したフランス語のショートムービー(動画)を出品したりしていた。
前期終了時に実施したアンケート調査では、6人全員が準初心者クラスで学んだことを肯定的に捉えていたことがわかった。準初心者クラスの設置は半年間のみで、その後準初心者はインテンシブクラスか一般クラスに入る。準初心者クラスからインテンシブに入ったのは2人(未習者用クラスからは7人が移動)で、4人は一般クラスに入った。
準初心者は、入学前の学習経験により既習事項や既知情報があるために、未習者用クラスにおいて一定期間「特別な存在」になり得るが、その期間は長く続くわけではない。しかしその期間の他者(クラスメート・教員)からの見られ方が、準初心者のその後の学び方に多少たりとも影響を与える可能性がある。
また、準初心者は同じ境遇の仲間(別の準初心者)を求めている可能性もある。準初心者の心理面に寄り添う形で、半年間ほどの準初心者クラスが設置できるとよい。ただ、その設置が難しい場合も、準初心者がこれまでの学びや経験が活かせるような機会を持てるように教師が働きかけたり枠組みを提示したりしていくことが大切だろう。

【例会参加者からの意見】
- 準初心者クラスを設置していることを、高校でフランス語を学んでいる生徒たちが知ることができるような積極的な広報活動が必要ではないか。
- 準初心者と同様に既習者の伸び悩みもある。現在、高大接続を踏まえた多様な入試が行われているが、大学でフランス語を学びたいから入学してくるというよりも、フランス語を学んでいて入りやすいからという理由で大学に入学してくる学生も多い。入ることが目的で、入ってからの学びのヴィジョンを持っていないということかもしれない。
- 既習者や準初心者に対して、何を学ぶか、どこまで学べるか、この学びがどこに繋がるのかというような目標や見通しのようなものをより明確に示す必要があるのではないか。
- 既習者用クラスが大学によって用意されていない場合、教員個別に対応せねばならない。可能な限りのケアはしたいが、実際どこまでできるのかという問題がある。
- 既習者用・準初心者用クラスの設置を教師が大学側に積極的に働きかけていく必要があるのではないか。(ただし制度として導入するためには様々な問題が待ち受けるだろう・・・)
(Y.O.)

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