Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.194

 

 

◆ 6月のテーマ:教室での学習とオンラインでの学習(司会:小西英則)

 


04/06/2022

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.194
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時 : 6月18日(土)14:30〜17:30
Zoomで行います。

◆ 6月のテーマ:教室での学習とオンラインでの学習(司会:小西英則)

◎事前申込をされた方だけに招待をお送りします。
参加ご希望の方は、お手数ですが 6月16日(木)までに以下のリンク先からお申し込み下さい。
https://forms.gle/ByCsPmXsq7qB1qAP8

◎例会前日に、ご指定のメールアドレスに招待URLをお送りします。


◆ 2022年度の例会日程は、以下の通りです。
4/16(土), 6/18(土), 9/17(土), 10/15(土), 12/17(土), 2023/2/18(土)
変更になる場合もありますので、詳細はニューズレターやHPでご確認ください。

 

上へ


4月のテーマ:
1. 年間計画を決める。
2. 2021年度にうまく行ったこと・行かなかったこと、楽しかったこと・悩んでいること、チャレンジしたこと・これからしたいこと等を共有する。

例会開始時の参加者は5名で、最終的に9名が参加した。世間話を交えながら参加者数減少に対する様々な推測を話した(新学期で多忙、テーマが自分の仕事に即座に役に立たないので興味が薄い、オンライン授業の悩みがなくなった等)。参加者数が少ないことから、特定の司会者を設定せず、それぞれが順番に2021年度に問題と感じたことについて語り、必要に応じて各自がコメントすることにした。

<2021年度の問題>
Aさん:教員の仕事が一段落し、在職間に蓄積した書類や書籍を読み返している。20年前の言説が非常に充実していて興味深い。ICT技術の長足の進歩の一方で、教育に関する基本的な考え方は不変だと感じ、過去の資料はどこかで見返してみると良いという気づきを得た。その一方で、社会の変化に伴う学習者や学習観の変化が重大だと感じた。

Bさん:オンライン授業に何ら問題ないと思っていたが、今年の4月から対面授業に戻った時にフランス語を継続する学生が大きく減少した。前学期にZoomを利用して発音の個別指導を厳しめにしたことがやりすぎだった可能性に思い至り反省した。オンラインでの履修者の戻りが悪い現象は他大学にもあるのか、またその理由を知りたい。

Cさん:去年については反省することは特にない。今年度はオンラインから対面に学習環境が変わったため、今はその対応で頭がいっぱいだが、ポジティブな反応しか感じていない。オンラインでも困ったことはない。

Dさん:クラス人数が以前の約2倍の30人まで増え、ペアワークのペア数が多いと運営が難しい。去年は対面とオンラインの両方だったが、オンラインのビデオ顔出し問題(学生がビデオをオフにするため顔が見えず、学生の顔も覚えられない)に悩んだ。今年やっているハイブリッド授業でも、会話練習が困難。

 これらを受け、現代の学生の個人情報に関する概念の変化(アクティビテでも「自分について語る」作業で個人情報を出したくない、オンラインでは顔出しをしない等)に議論が及んだ。
ある教員は学生が自分達の本当の話をすることを基本にしているため、初回授業で教師が授業で知り得た学生のプライバシーに関する守秘義務は守るという文書を学生に配布し、個人情報が守られていることを示すと同時に、意図的な環境づくりをして気軽に自分について語れるように配慮をしているという(どうしても言いたくないことにはC’est un secret.という表現も教える)。
それに対し、ここ数年で急速に個人情報の概念が変化し、授業で自分のことを話すことへの疑問を持つ者さえいるという報告も出た。プライバシーの多様性も考慮して架空の設定ではダメなのか、どこまで本当の話をするのか、個人情報に関してデリケートな配慮をしても以前のようなやり方では通用しなくなりつつあるとの意見も出た。
さらに、学生のモチベーション自体への疑念(フランス語に対する学生の興味とモチベーションの低下)へと話は移行し、試験対策だけを勉強と考える傾向について参加者の議論が発展した。

Eさん:昨年の失敗は特にない。学習観の変化については、学生から見たフランス語の価値の暴落、大学における語学学習の意義の無効化(語学はYouTubeでも学習できるという認識)と関係があるのではないか。オンラインで語学の授業を履修することへの敷居が下がった反面、対面での履修にコストが高く感じられ、継続履修者減少となったのだろう。その一方、インターネットで知り合ったフランス人の友達とやりとりするためにフランス語を勉強したいという新しいモチベーションも出てきた。
また、対面でも学生が各自のデバイス(PCやスマホ)を用意して参加することが当たり前になった。ICT化の利点は多人数対応ができるほかにも、できるだけ教員が関わらない自律した学習を中心にした授業運営ができることにある。教員/学生の関係性よりも学生/学生の関係性を作り、クラス外で学習するような関係につなげたい。

 これを受け、他の参加者との議論はグループワーク運営問題に及んだ。グループ活動ではやったフリなどして遊んでしまう、教師はグループワークやペアワークでお互いの間違いを指摘しあったり、訂正し合うよう指示するが、学生はそうした行動は心理的に難しいため実行しない。グループワークの運営には競争性、タイムコントロールによる緊張、グループ替えなどサボらせない対策は多いが、現代では競い合うことをあまり好まないという報告も出た。

Fさん:以前は学生が自己解決していたようなこと(プリントを無くした、忘れものをした)を教師に直接要求する傾向があるが、クラスメイト同士で解決するように言っている。語学の授業は大学での人間関係を作る場所としても機能するので、グループワークでの無駄話は3割程度なら許容している。
去年は対面とオンラインで対応した。学校によってコロナ対策が違うが、対面授業前の消毒作業などが大変だった。教室内で自由に移動することも難しくなったが、対面の方が良いと感じる。一方、学生にはオンライン授業の方が人気で、オンラインで100人以上のクラスを担当し、仏検対策をラジオ講座のようにやっている。仏検対策4級までの容易さに対し、3級は難易度が上がる。全員のレベルをどう向上できるか悩んでいる。

 これを受け、他の参加者とはオンデマンドに関する議論に及んだ。

Gさん:Zoomを使う授業では様々な問題(カメラオフ問題、指示が理解されずブレイクアウトルームでの活動が機能しない、インターアクションに時間がかかる等)がありコミュニケーションをとるのが大変だった。2つの同じレベルの授業で同じ教科書を用いたが、人数・適性・モチベーションなど全ての面で対照的で、履修者27人のクラスは運営が困難だった。スポーツ専攻学生のクラスで、教室には来るが参加しない学生が多い。毎回ゼロから始める感じで、既習事項が定着しない。このタイプの学生には対面の方がやりやすかった。

Hさん:フランス語を学ぶ日本人学生と日本語を学ぶフランスの大学生とで日仏ミックスのグループを形成し、協働作業で研究発表をするプロジェクトをした。グループ形成の方法は学生がやりたいテーマをPadlet上に提示して募集・応募という形にした。学生間の連絡手段は各グループでの自主性に任せ、教師は関与しなかったが、学生間のコミュニケーションがうまく取れていなかったことが発表当日に発覚した。グループごとに発表を見せ合って感想を言うという平和的なものを予定していたが、思いがけないトラブルだった。
このことから、日仏のグループ活動でどんなことが文化的ギャップになるかが浮き彫りになった。それぞれの語学のレベルの差はあったが、スケジュール管理、グループ内のフリーライダー(参加しない学生)に対する意識の違い、プロジェクト活動に対する個人参加のリズム、反論への対応(日本人は反論を嫌がり、フランス人は反論を含めて反応することをよしとするなど)、呼び名問題など文化的なことを原因とする衝突が大きいように感じられた。
このプロジェクトで日仏双方の学生がお互いに嫌悪の感情を持って終了したのではないかと危惧したということに関して、参加者からは今回の活動が失敗に終わったように見えても、異文化間での協働において良好な関係を阻害する要因がわかり有意義な活動だったとも言え、今回のことを踏まえた改善点を考えてまたやるべきだという意見が出た。

 上記のように、昨年度の体験をそれぞれが語っているうちに例会の残り時間が30分となった。昨年の4月の例会と同様にGoogle Jamboardを使用して、それぞれが付箋にアイデアを書き、集約することにした。
時間的制限のため、年間テーマと、6月と9月の例会のテーマのみが決定され、10月以降の例会のテーマはMLでの協議として持ち越しとなった。以下が暫定的決定事項である。
<年間テーマ:多様性にどう対応するか>

6月:教室での学習とオンラインでの学習(担当:小西)
9月:授業形式の多様性について考える(担当:澁谷)
10月以降のテーマ候補(未決定・順不同):
◯継続履修を希望する(半年後、2年目に続けたくなる)学生を増やす
◯文法を教える順番
◯文法構造を教える際に学生の持つ英語文法の知識をどう活用するか
◯現実の世界の男女の区別なしにフランス語が教えられるのかを考える
◯初心に戻る
◯伝わるということをどのように考えるか
◯レベルの高い文章をどう読ませるか(読解のレベルアップをどう測るか)

(H.N.)


***************************************
PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka-web.sakura.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
***************************************

◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
  のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html 
  このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU