Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.183

 

 

9月のテーマ <前期をふり返る・後期に活かす>
できるだけ多くの方にご発言いただく例会にしたいと思います。
Zoom例会でもそういう進行がうまく行くか探ることも目的です。

*2020年度年間テーマ:
「教科書をよく知ろう」


08/09/2020

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.183
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時 : 9月19日(土)14:30〜17:30
9月の例会も、Zoomで行います。

◎事前申込をされた方だけに招待をお送りします。
参加ご希望の方は、お手数ですが9月17日(木)までに以下のリンク先からお申し込み下さい。
https://forms.gle/BN8XiQ96k9vBe9M8A

◎例会前日に、ご指定のメールアドレスに招待URLをお送りします。

◆9月のテーマ <前期をふり返る・後期に活かす>
できるだけ多くの方にご発言いただく例会にしたいと思います。
Zoom例会でもそういう進行がうまく行くか探ることも目的です。

■□■ 2020年度例会日程 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
メモをお願いします。

例会日程は従来通り年6回いずれも土曜日の午後で、10/3, 12/19, 2/20としたが、
会場の調整により日程変更の可能性もある。

 

 

上へ


■■■ 例会報告////////////////
////////////////////【2020/06/13@Zoom】

前回に引き続き、オンライン会議システムZoomを使っての開催となった6月の例会であったが、4月のときと同じく多くの方々にご参加いただいた。
参加者の皆さんもZoomの使用に慣れたようで、前回において感じられた、そこはかとない緊張感も今回は感じることなく(私だけであろうか?)、これまでの例会のような和気あいあいとした雰囲気の中、活発な意見交換が行われた。

◆6月のテーマ「遠隔授業と、誤用訂正・フィードバック」

今回の例会では、オンライン授業が始まって1ヶ月の時点での成果を、澁谷与文さんと小松祐子さんが報告してくださった。今年のような状況においては特に、誰もがオンライン授業の実践報告を大なり小なり欲していたはずである。
そのような注目の中、お二人が披露してくださった授業活動の内容や貴重な情報の数々は、筆者である私にとって大変ありがたいものばかりであった。そして、当日の例会に参加されていた方々にとってもまた同様であったと拝察する。私の心許ない記憶を頼りに、その内容を以下に報告していく。

1)例会前半では、発表者の澁谷さんから、オンライン授業での筆記活動に対するフィードバックとその共有の具体例が披露された。
Zoomの使用をベースにし、これをほぼ繋いだまま、他のアプリ/ソフトを併用するという形で授業を行なっているとのことだが、開始1ヶ月の時点でのひとまずの感想を報告するところから本発表は始まった。
中でも、Zoomにおいても基本的にはオーラル主体の授業、インタラクティヴなアクティヴィテなどを、対面授業時とそれほど差がなく行なえるのではないか、という発表者の見解は、個人的に大変興味深いものであった。
加えて、通信環境に起因する問題、たとえばタイムラグなどの問題はあるものの、少人数のクラスであればあるほど、上述のような問題の大部分も生じにくくなる、という経験もそこで語られた。
しかし、筆記を必要とする活動については、何かしらの工夫を施す必要があると考えた発表者は、試行錯誤の末、Googleフォーム(アンケートやデータを集計するためのソフト)とGoogleドキュメント(MSワードのGoogle版)、そしてGoogleスプレッドシート(MSエクセルのGoogle版)を連動させての、筆記のアクティヴィテの実践的な使用を思いついた、という。
小さなトラブルやアクシデントが生じやすいZoomの画面共有機能の使用をなるべく避けるため、というのがそのきっかけだったようだが、Googleの知名度や普及度、そしてデータなどの共有や他のソフト/アプリの連携面などにおける汎用性の高さや使い勝手の良さが、最終的な選択の決め手だった、とも語っていた。
そして話題は、学生たちによる記述解答の集計方法、そしてエラーのフィードバック方法へと移っていった。
そこで発表者は、Googleフォームを介してクラス全員の記述解答を集計し、これらをGoogleスプレッドシート上に自動抽出してすべて並べ、綴り字の間違いや文法的なエラーなどの原因を協働作業で観察および分析させ、その結果を全員で共有し、エラーに対するフィードバックもこれを基に行なっている、という実践例を披露した。
ちなみに、教室で書く活動とオンラインで書いたものを入力し直す活動との間では、エラーの性質に差がほとんど生じなかった、とのことである。
発表者の報告によれば、上記のようなアクティヴィテを行った際、アクセント記号の取り違えや句読点の書き忘れ、語順のミス、母語の影響による語彙選択の間違いなどが、対面授業時と同様、多く観察されたという。そこにはタイピングミスなどのような、オンライン授業独特のミステイクやエラーが混ざりはするものの、それらはある種の「ノイズ」のようなものと見なすことができるゆえ、対面授業と同質のエラーがやはりメインであるように感じている、とのことだった。

このような実践例を紹介するにあたり、まずはZoomとGoogleフォームの連携の仕方(GoogleフォームのURLをZoomと同時に開いているGoogleドキュメントに貼ることで誘導)が説明され、次にオンライン上での記述解答の集計方法がいくつか挙げられたので、以下に記しておく。
- 記述解答を写真に撮らせ、これをメール添付で送らせる(実際問題として「授業活動中に」こういったやり取りを行うのはかなり困難、とのこと)。
- MSワードなどのファイルに解答を書かせ、これをメール添付で送らせる。
- Googleフォームなどの集計ソフトを利用して提出させる。
- GoogleドキュメントやGoogleスプレッドシートに直接入力させる(特に中級以上のクラスでは、筆記するプロセスを省略することで作業時間の短縮も期待できる、とのこと)。
なお、GoogleスプレッドシートやGoogleフォームを導入する利点について、発表者は次のようなものを挙げていたので、例会前半の報告の締め括りとして付記しておく。
- Googleスプレッドシートをこのように使うことで、出席している全学生の解答を「匿名性を保ったまま」可視化することが可能。
- 集計した解答をすべてリスト化し、これを提示することで、解答例が増えるので、より多くの他者による解答と自分のものを比較することが可能。
- Googleフォームを使用することで、集計した解答についての統計も作成可能。
- Googleフォームを介して、解答に対する個別フィードバックも可能。

2)例会後半では、発表者の小松さんから、初級フランス語のオンライン授業で、学習者の活動(特に練習問題)に対して行っている具体的な指導例が紹介された。発表者はまず、大学が提供するMoodleとZoomを併用してのオンライン授業へと移行してよかったと思うことを、次のように述べた。
- 学生たちの出席率や宿題提出率が100%になった。
- 学生たちの授業への集中度が高くなった(特に反応がきわめて良くなった)。
- 授業における教師側の体力的負担が無くなった(大きな声を出す必要がなくなった、歩き回る必要がなくなった、など)。
- 教科書の他に、MSパワーポイントなどを駆使することで、以前よりも丁寧な授業解説ができるようになった。
- 授業中/授業外活動において、個別にきめ細かなフィードバックができるようになった。
- 授業形態の変化を迫られたことが、かえって授業運営そのものを見直すきっかけとなった。

だがその反面、以下のような問題も生じている、とのことだった。
- 成績評価がこれまで通りには行えず、評価方法自体が容易でなくなった。
- 授業活動の準備や工夫などが、より必要となった。
- 学生と直接会えないのが(対面授業でないと伝えられない要素もあるだけに)残念である。
- 学習者側の、いわゆる「顔出し」の問題等々も考えねばならなくなった。
次に、教科書をベースにしたオンラインによる授業活動についての報告が行われた。
- Zoomの画面共有機能を用いて、教科書をキャプチャしたイメージを授業時に提示し、コメント入力機能を利用して、大事なポイントなどを直接書き込み、即座に学生とこれを共有(何かしらの画像資料を見せる際、著作権の問題があるので、フリー素材といえども充分に注意が必要、という参加者からの指摘があった)。
- 教科書の練習問題については、Moodle上で授業外に取り組ませ、授業内でそれらに対するフィードバックを実施。黒板がわりにMSパワーポイントを使用し、正答例や誤答例をスライドに並べて可視化し、クラス全員でこれらを観察・分析(これにより、きめ細かい指導が実現)。
- 小テストや期末試験については、教科書に掲載されている問題を参考にして作成したものを出題し、Moodleで自動採点(Moodleにフィードバック・コメントを仕込んである)。

このあと、発音や聴解面について言及された。発表者は、適当なタイミングで(たとえば動詞活用など、口頭練習や復唱が必要なとき)学生側のミュートを必ず解除させて発音練習を行い、他方、聞き取り練習についてもZoom上で音声を聞かせつつ行っている、とのことであった。
さらにはZoomの代表的機能の一つである「ブレイクアウトセッション」も会話練習などで積極的に活用している、という。その具体例の一つとして、ブレイクアウトセッション中に作成・使用した文をZoom内のチャット機能を用いて送信させ、それらをMSパワーポイントに次々と「コピペ」して可視化した上で、これらの成果を皆でチェックし共有する、といった工夫が披露された。
その際、こういったアクティヴィテの実践を通じて、Zoomのチャット機能を用いる手法は効果がかなりあると実感しているので強くお勧めしたい、と発表者は述べていたが、これは私にとって大変刺激的な意見であった。
さらに、授業外活動(主にeラーニング)にも活用できる実践例にまで話は及んだ。フランス語を「自分の手で書きながら学ぶ」ことの重要性を日頃から感じている、という発表者は、フランス語による解答を学生たちに手書きをさせた上で、これを「写メ」させ提出させている、という。
他にも、パソコン内にある音声認識アプリ/機能を利用し、そこで作成したログファイルを提出させる、といった方法や、音声認識サイト(一例として、Speech to Text Webcam Overlay)を利用して発音課題を提出させる、といった方法が発表者から紹介された。機械とは言え、発音練習の指導にかなり効果的である、という見解もこのとき添えられていたが、実に興味深いものである。

以上の発表を筆者である私はその場で傾聴していたわけだが、エラーの修正やフィードバックについて、否、そもそも筆記活動について、オンライン授業で出来ることがこれ程あるとは正直、思っていなかった。オンライン授業のさらなる可能性に気づかせてくれた発表者のお二方には感謝しきりである。
今年は「オンライン授業元年」ということもあって、新しい授業活動の構築につながる情報に、皆さんも渇えていらっしゃるのではないだろうか(少なくとも私はそうだ)。次回の例会での発表や意見交換も実に期待大、である。
(ty)



***************************************
PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka-web.sakura.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
***************************************

◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
  のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html 
  このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU