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NO.173

 

 

 

*2018年度年間テーマ:
「ひろがる授業」


07/12/2018

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.173
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

12月の例会テーマ <スマートフォン>

日時:2018年 12月15日(土) 15:00 〜 18:00 
(通常より30分繰り下げての開始となります。)

場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第7会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。)

*どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

*2018年度年間テーマ:「ひろがる授業」


■□■

☆☆ 2018年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。


2019年2月16日(もしくは23日)。

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
======【2018/10/20 14h30-17h30 @白水社編集部3階会議室】

◆事務連絡
- 10月の例会は会場が取りにくい。11月1週目あるいは2週目に日程を移動することも検討するべきではないか。
- 論集EDFJ (ETUDES DIDACTIQUES DU FLE AU JAPON) に掲載する論文を募集中。

◆10月の例会テーマ <CONSIGNES>
今回のCONSIGNEというテーマは参加者の一人から提案された。
「授業を進める中で、今自分が何をやっているのかわからなくなるので定義づけたい。CONSIGNEとは何なのか、CONTRAINTEとは異なるのか、非常に曖昧な概念ではないのか」という思いから、このテーマを提案したということである。

1)そもそもCONSIGNEとは何か
CONSIGNEという語は、TRESOR DE LA LANGUE FRANCAISEによると、もとは軍隊の文脈で用いられた指示・指令を指す言葉である。
なお、かつてフランス語教師必読の書であったDICTIONNAIRE DE DIDACTIQUE DES LANGUES (1976) には、この語は掲載されていない。語学教育の中で用いられるようになったのは比較的最近のことであると推測できる。
フランス語教師にとっては教科書に書いてある学習者への指示がCONSIGNEの第一の意味である、という意見に対し、教科書に書いてあることのみならず、教師が授業の中で学習者に対して発する口頭での指示もCONSIGNEではないか、という意見が出され、これには多くの参加者が賛同した。また、授業は学習者同士でも学び合える空間であると考えると、教師から学習者へ発するもののみではなく、学習者間で使用するものもCONSIGNEといえるのではないか、という疑問も提出されたが、それに対しては、両者は分けて考えるべきだろうという意見があった。
例えば、EN FRANCAIS, S'IL VOUS PLAIT ! やVOUS REPONDEZ A CETTE QUESTION ! はCONSIGNEといえるが、
ECOUTEZ BIEN ! や REGARDEZ LE TABLEAU ! もCONSIGNEといえるのだろうか。
この疑問に対して、ECOUTEZ BIEN等はCONSIGNEというよりもEXPRESSION UTILEまたはDEMANDEと考えたほうがいいのではないかという意見が出た。
このように議論が進むうちに、CONSIGNEについて「授業をどう進めるかの指示」「それを聞いて学習者が何かをやる」「目的に達成するための言葉」「授業運営に関わるもの」「それがないと授業が成り立たない」「授業の方向を変えるもの、戻すもの」といったさまざまな定義が参加者の中から提案された。
また、「軍隊用語がもとであるということは、上下関係が前提となっている語なのか」、「教師と学習者間の上下関係を隠すために、わざわざ一般的ではない語を教育に導入したのか」といった興味深い考察も聞かれた。

2)学習効果を促すCONSIGNEとは
授業はフランス語を使う一つの社会であるという考えのもと、日々の授業をフランス語で行っていると、授業設計それ自体がCONSIGNEの塊になる。フランス語での効果的なCONSIGNEまたはEXPRESSION UTILEにはどのようなものがあるだろうか。
まず、あまり長くならずに直感的にわかる言葉がいいのではないかという意見があった。例えば、AVEC VOTRE VOISIN, S'IL VOUS PLAITよりも、PAR DEUXまたはPAR PAIREのほうが学習者にはわかりやすいのではないか。
また、フランス語を自分の言葉として発して欲しいのに、VOUS ECRIVEZ AU PASSE COMPOSEなどと言うと文法の問題になってしまうのでなるべく使いたくない、という意見があった。そこで、休み明けにQU'EST-CE QUE VOUS AVEZ FAIT PENDANT LES VACANCES ? IL FAISAIT BEAU ? などと言うのだが、学習者はそれを繰り返すことは出来ても概念化をするのが難しい。
複合過去と半過去に関して、文法用語を用いずに使い分けを学ばせる工夫の例としては、女性が歌っている動画を見せてELLE A COMMENCE A CHANTER, ELLE CHANTAIT等状況に応じて何が入るかを考えさせるという方法が紹介された。この試みに関しては、「複合過去か半過去のどちらかを入れる問題の場合、見方によりどちらも入りうることがあるのでは」という疑問が出された。
また、より大きな問題として、文法用語を使わない授業を受けた学習者は、他の学習場面で例えば「半過去で書きなさい」という指示が出たときに対応できなくなるのでは、という懸念が挙げられた。授業に文法用語を導入するか否か、導入するとしてどの程度導入するかは教師の裁量に任されており、大きな課題である。今後のPEKA例会の議題にもなり得るだろう。

3)授業での実践例
最後に、今回のテーマの提案者から自身が行う授業の報告があった。女子大の2年生プラス再履修者のクラス。今年度は17名が履修、そのうち来るのは15名、また再履修者は4名。副専攻の授業であり、学生たちは国文と英文が主専攻である。教科書は『フランス2020』(白水社)を使用。
まず前提として、国文と英文とで完全にグループが分かれてしまっている。これをなんとか交わらせようと報告者は苦労しているが、そこはあまり頑張りすぎないほうがいいのではないかという意見が多数出た。また、国文の学生は外国語そのものに強いコンプレックスがあるようで、それを解くのが非常に難しい。IL EST INTERDIT DE PARLER EN JAPONAISと言ったら泣き出してしまった。これに関しては、PARLONS EN FRANCAISなどと言って、減点法ではなく加点法にしてフランス語を話したら点を与える、という方法が提案された。

実際のアクティビテとして以下のものが紹介された。
1.黒板と学生の席が描かれている、教室内を俯瞰したイラストのプリントを配る。各席は空欄になっていてそこに書き込めるようになっている。VOUS VOUS APPELEZ COMMENT ? TU T'APPELLES COMMENT ? ELLE S'APPELLE COMMENT ? を導入し、クラスの全員が全員の名を聞いて、プリントに書き込んでいく。
2.男性も含んだ架空のアイデンティティを書いたカードを配り、国籍、名前を言えるようにする。
これを実行するために、ジェスチャーを交えてDEBOUT ! VIENS ICI ! などと学生に伝える。しかし、どうしても席から立って他の学生としゃべれない学生が一定数存在する。

この報告に対して、まず、教師がすべて用意してきたことをそのまま学生にやらせると学生は疲れたり飽きたりするのではないかという意見があった。単に質疑応答させるのではなくクイズ形式にする、あるいは、学生が名前を言ったら、CA S'ECRIT COMMENT ? AH, C'EST JOLI ! と言ってリラックスする時間を作る、といった方法が提案された。
また、架空のアイデンティティに関しては、有名人を使うとクラスに活気が出る、という方法も提案された。席から立たない学生の問題に関しては、教師が席の間を動き回りひとりひとりに教えていくといいのではという意見が出されたが、そうするとMISE EN COMMUNが難しいという問題も指摘された。

*例会後に、フランス語教育・学習関連のCONSIGNEに関する以下の二つの定義が報告された。

1. ? DISCOURS VISANT LA REALISATION D'UNE TACHE. COMPRENDRE UNE CONSIGNE POSE QUE L'APPRENANT EN DENOTE LES INFORMATIONS EXPLICITES (DONNEES ET STIMULUS), QU'IL EN REPERE LES ELEMENTS IMPLICITES (INFORMATIONS NON FORMULEES, ATTENTES DE L'ENSEIGNANT) AFIN DE SE FORMER UNE REPRESENTATION CORRECTE DE LA TACHE ET DE METTRE EN OEUVRE UNE PROCEDURE DE REALISATION.
UNE CONSIGNE PEUT ETRE REFUSEE OU DETOURNEE EN RAISON D'UN CONFLIT CULTUREL CONCERNANT LE THEME OU LE TYPE D'ACTIVITE. ?
DICTIONNAIRE DE DIDACTIQUE DU FRANCAIS - LANGUE ETRANGERE ET SECONDE (CUQ, 2003).

2. ? FONCTION ESSENTIEL DE L'ENSEIGNANT, ELLE ANNONCE AUX APPRENANTS LA TACHE A REALISER ET SON OBJECTIF, SELON DES MODALITES DE TRAVAIL EXPLICITES (DUREE, TRAVAIL INDIVIDUEL OU EN SOUS-GROUPES).
ELLE POSE LE PROBLEME, DONNE DES INDICATIONS PRECISES DE RECHERCHE ET DE PROCEDURE POUR APPORTER LA SOLUTION, VERBALE OU NON.
ELLE PEUT INDIQUER LES MODALITES D'EVALUATION. LA CONSIGNE DOIT ETRE DITE (ET NON LUE) PAR L'ENSEIGNANT. ? ECRIT ET GESTION DU TABLEAU - DE LA COMPREHENSION A LA PRODUCTION (DAILL et STIRMAN, 2014)

(M.K.)




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