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NO.168

 

 

「発音をどのように教えるか」

*2017年度年間テーマ:
「能動的な学習を喚起する授業づくり」


08/02/2018

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.168
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時 : 2018年 2月24日(土) 14:30 〜 17:30 
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第5会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。)

*2月の例会テーマ :「発音をどのように教えるか」
2016年に発音のアトリエを行った(cf.「何を発音として教えるのか」ETUDES DIDACTIQUES DU FLE AU JAPON 第26号)。今回はその続きとして、フランス語を発音する事への学習者の能動性を喚起する方法を探る。具体的なフランス語の学習事項をピックアップし、それを学ぶ時に必要な発音に関する ACTIVITES や説明を皆で考える。

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。
*2017年度年間テーマ: 「能動的な学習を喚起する授業づくり」



■□■

☆☆ 2017年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。

2018年 2月24日(土)

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
======【2017/12/16 15h00-18h15 @明治大学(駿河台校舎)】

●今回のテーマ <学習者の能動性を喚起する授業をしているか?>
年末のためか通常より多くの参加者が集まり、「教師は学習者の能動性を喚起する授業をしているか」をテーマに活発な意見が出された。今回は大学の授業を担当する参加者が多く集まったため、下記に取り上げた意見において「学生」と記されているのは大学の授業の場合と理解されたい。

1)前提となるキーワードの共有:PARTICIPATIF, ACTIF, ACTIONNEL, AUTONOME
能動性とはそもそも何を意味するのか。全員での議論のために、まず前提となるキーワードがフランス語で共有された。PARTICIPATIF, ACTIF, ACTIONNEL, AUTONOMEの4語が出されたが、それぞれの語の定義を確認し、PARTICIPATIF, ACTIF / ACTIONNEL / AUTONOMEと分けて考える方向で合意した。

2)学習者は能動的 (PARTICIPATIF ET ACTIF) に学習できるのか?
学習者はPARTICIPATIF, ACTIFな学習ができるのだろうか。大学の教室を一つの社会とみなし、学生がそのルールに従って社会的に行動する者(ACTEURS SOCIAUX)として機能している成功例が報告された。
<成功例>
ルーティンから自律性AUTONOMIEへ:
普段の授業進行を定型化したところ、学習の進め方が習慣化され、クラスがグループでルーティンに沿って学習していくような自律的集団となり、PARTICIPATIF, ACTIFな学習をするようになった。
教師の介入がなくても、グループ内で教え合い、相互批評、フィードバックをするようになった。
グループ内での訂正も教師が示したモデル(VOUS ETES D'ACCORD AVEC CA ?「これでいいですか?」などと呼びかける)が定着し、それを学生が模倣して相互訂正が習慣化された。

3)<積極的に参加しない学生>問題をどうするか?
大学での授業を担当している参加者が多かったため、大学の授業でよく目にする問題について話題になった。学生はグループワーク等により自律的な集団になりうる一方で、全ての学生をグループワークに参加させることが難しいこともある。

- コミュニケーションを目的にした授業で、ペアワークやグループワークを多く用いて授業を進めるが、自分は関係ないという態度の学生がいたり、学生同士が助け合わないことがある。全員が参加しなくてはならないと自覚させるにはどうしたらいいのか。
また、グループワークを嫌がる学生にはどうしたらいいのか。事態を収拾するためにフラッシュカードを使う等、結局は教師/学習者間の問答にしてしまうことがある。
- 全員が動き回ることのできるスペース的な余裕があれば、全員が教室内を移動しないとできないタスクを与えるのはどうか(インタビューや該当者を探すゲームなど)。文章を読むような単調なことも、体を動かして読む順番を交代するACTIVITEにするなど。
- 必修のために履修している学生もいるが、遊びの要素のあるLUDIQUEな授業には参加している。
- グループに多少責任を与えることも大事。
- ACTIVITEの目的や評価方法も事前に与えるといい。

4)グループ分けにまつわる問題と様々な工夫
能動的な学習ということでグループワークでのACTIVITEが想定される中、グループ分けの方法をめぐって意見、報告が出された。

- あえて好きな人同士で組ませる。
- 余った学習者は教師と組む。
- 番号を言わせて、同じ番号の人と組ませる。毎回やると習慣になる。
- 4月から授業の15分前に行き、学生が教室に入ると自分でトランプのカードを取っていく仕組みを作った。学生がひいたカードの結果でグループを作る。教師は指名もグループ単位で行う。その結果、毎回新しいグループで学習することになり、クラス全員が仲良くなった。全員が打ち解けて、勝手に勉強会や合宿をするほどの団結力が生まれた。クラスではLINEグループが活用されている。(大学、クラス人数:18〜27人程度)
- はじめにクラスの学生にAからZの記号を与え、そこから毎回グループ分けをする。はじめは教室内で男女が分かれて座っていたが、2〜3週間後には男女の壁がなくなり、クラス全体が仲良くなった。授業前に、学生同士が自発的にフランス語で話しているのを目撃した。(大学のインテンシブクラス、15〜25人)

5)全員の参加は難しいのか
- 大学の授業において学生全員を参加させるのは難しいと諦めかけている。教師が指示を出すのは当たり前だが、どこまで介入するかが問題だ。また、クラスの雰囲気によって結果は分かれる。言語に興味がある学生が多いとPARTICIPATIFになるが、PARTICIPATIFなクラスよりも、授業中にモチベーションの低そうなクラスの方が成績良好なこともあるので、PARTICIPATIFであるというだけで甘んじるべきではない。
- モチベーションの対象がテストに対してか、授業に対してかはそれぞれ別だと思う。
- 小テストにより教室外での勉強を促し、自律的学習に導くのも難しい。どうやって言葉に興味を持たせるかが課題。
- 無理にACTIVITESを続けていくと中だるみする。

6)モチベーション問題
- ACTIVITESは例えるなら注射を打つような外在的なモチベーションを与えるので、最初は興味津々でやり、眠気も飛ばし、クラス全体が仲良くなるが、そのうち指示を聞かなくなるなど暴走してしまう。クラスの自主性を学生に任せてきたのでいまさら教師からのトップダウンを押し付けるわけにいかない。
- 内在的なモチベーションを高めたい。
- 学習者は自分ができたと思えば授業にのめり込んでくるので、小細工は必要ない。外国語を本当に身に付けるためにはどうするかという教授方法に関する教師の確信を学習者と共有させ、これまでにやった勉強とは違うという手応えを感じてもらえるように努めている。

7)「日本人同士で外国語を話すのが恥ずかしい」問題
- あまり教えた経験はないが、学習者目線で話すと、クラスメイト同士で会話練習する場面が多いとやりにくかった。日本人同士でフランス語を話す恥ずかしさがある。実際ペアで話してみても、自分たちが正しく話せているのか確証がない。
人数が多いと教師からのフィードバックが間に合わないと思うが、こうしたやりにくさをどうしているのか質問したい。
- 特に初級で声が小さい、フランス語の発音をわざとカタカナ的発音にしてしまう傾向がある。
- 帰国生も公立高校で英語をネイティブライクに話すといじめにあうので、わざとカタカナ発音することがあるなどと新聞記事になっていた。日本の外国語教育現場で見られる現象かもしれない。
- 正しさのパターンを共有すれば恥ずかしさはなくなるのでは。
- カタカナは教室で禁止すべき。ORALが完成するまでは筆記具を禁止している。考えないと参加できない状態で話させている。辞書に関しては、使わないが使用は禁止しない。前置詞などは日本語がないと説明が難しいこともある。

8)日本語をどう介在させるか。
最後に、発音問題から教室での母語使用問題に話題が発展した。

- 現在では目標言語だけで教えるのではなく、必要に応じて学習者の母語を使ってもいいはずだ。
- フランス語で授業をしている途中に “ENTRE PARENTHESES”(ここからはかっこ内です)や “JE PEUX PARLER JAPONAIS ?”(日本語を話していいですか)と言って、ここは日本語で解説する特別コーナーだと設定した上で、日本語による解説をしている。
- フランス人教師だが、料理学校なので日本語を使う必要がある。学習者の母語を使うかどうかはクラスの能力、教えるフランス語の性質、目的による。学校からの要請にもよる。

 上記のように、学習者の能動性を喚起する授業のあり方をめぐり話し合いは多岐の項目にわたった。限られた時間内で結論を出すことはできなかったが、他の教師の様々な実践を知ることができ、各々が刺激を受けた有意義な時間となったのではないだろうか。以下の参加者の発言をもってまとめとしたい。
「学習において、同じ活動ばかりを繰り返すと学生は飽きるし、疲れてしまう。ところが、同じことを学習するにも常に発見や喜びがある授業を目指して、同じ手法ばかりではなく、やり方を変えれば学習者の気分がリフレッシュされ、単なる繰り返しではなく、他の学習活動をやっているような気分になるのではないか。子供が遊びのうちにものごとを覚えていくように、遊びの中で言葉を使う活動を取り入れれば、学習者もより言葉を覚えるのではないだろうか。」

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●本例会で行われたその他の話し合い、連絡事項:
EDFJの例会報告等の執筆者及び査読者の決定。

(HN)




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