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NO.166

 

 

- ブザンソン研修で何を学んできたか
- 能動性を喚起する授業を自分でやっているか(前回テーマ : APPROCHE ACTIONNELLEに関連して)

*2017年度年間テーマ:
「能動的な学習を喚起する授業づくり」


13/10/2017

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.166
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時 : 10月21日(土)14:30 〜 17:30
会場 : 明治大学駿河台校舎研究棟2階 第8会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。)

<10月の例会テーマ>
- ブザンソン研修で何を学んできたか
- 能動性を喚起する授業を自分でやっているか(前回テーマ : APPROCHE ACTIONNELLEに関連して)

*2017年度年間テーマ:
「能動的な学習を喚起する授業づくり」

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。


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☆☆ 2017年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。

10月21日(土)、 12月16日(土)、2018年 2月17日(土)(24日(土)にずらす可能性もある)

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
【2017/9/16 14h30-18h
@アンスティチュ・フランセ 東京(飯田橋)107教室】________________

●9月例会テーマ:< 授業(クラス)が能動的であるか >
例会テーマに入る前に、連絡事項として、茂木さんがホームページ管理料をカンパとして支払ったとの報告があった。
また、自己紹介の折に、舌先で顎を押すようにして(舌の先前方に力を入れて)話すと声が良く通るので喉に負担をかけなくてすむ、という発言があった。しかも、これは母音の力を重視するフランス語の発音に役立つということで、参加者それぞれが簡単な言葉を発して効果を確認した。

9月例会テーマ趣旨

◇「能動的な授業(クラス)」とは何か。9月16日のPEKAでは、参加者それぞれが発言する方式でこの問題を検討した。
そもそも「能動的」という概念が良く分からないというところから出発し、「能動的な授業」の定義として、「能動的」の対義語が「受動的」なのか、「言われなくてもやること」を言うのか、また DES COURS ACTIFS なのか、それとも ACTIVE LEARNING のことなのかという問題提起があり、始めに"ACTIVE"というキーワードに着目して議論が進められた。

1. ACTIF もしくはPARTICIPATIF である「参加型の」授業のことではないか。また授業には内と外があり、外の代表的なものとして "DEVOIR"「宿題」が考えられる。
2.「宿題」や「テスト」に代表される強制的なことをしない、学習者が「自主的に」進める授業のことではないか。その際、昔の授業型への対立概念としての「アクティブ(能動的な)・ラーニング」が参照される。

◇以上を受けて、授業(クラス)における"ACTIVE"とは、教員からの強制的な課題との割合の問題ではないかという発言、"CONSIGNE"「指示」と "ACTIVE"であること、もしくは"ACTION"「活動」は両立するのかという発言、また「(学習)したくなる」動機付けがあれば、授業は「能動的に」「充実感のある」「楽しい」ものになるのではないかという発言があった。
様々な教室内の事例としてアンスティチュや高校、大学の例が挙げられた。

- 30年前のアンスティチュ(旧日仏学院)
"LE TRAVAIL A LA MAISON"という表現は、家でやってもやらなくても良い、やってきたら教員が添削するという本来自由なものだが学習者には「宿題」として捉えられていた。
- 大学で週1回20人の語学クラス
成績と結びつけない「宿題」は、5人くらいしか提出しない。
- 高校・大学
提出を強制する「宿題」は、パーセントを決めて、提出頻度・内容で成績評価に反映させるが、最悪なパターンとしては単位を取るだけのためのものになる。
- アンスティチュ
「宿題」をして来ない学習者にペナルティを課すことをしないが、宿題をして来る動機付けとしてクラスで答え合わせをする。

◇ "ACTIVE"というキーワードをめぐっては以下のような発言があったので箇条書きにまとめる。

-「宿題」であるかぎりACTIVEにはならない。
- 能動性を喚起するための手段としての強制要素として「宿題」や「テスト」が考えられる。
- "AUTONOME"「自主性」は「能動性」そのものではない。DEVOIR POUR PROF に陥っている可能性を考える必要がある。
- 小学校での「宿題」は、"CONTRAT"「約束」である。
- 学習者によっては、「頭の中の能動性」(学び方そのもの)を教える必要がある。
- 授業で教えたことを組み合わせてできる活動として、動詞の語尾変化活用や地図を使った作業などを指示する。
- 学習の「動機付け」"MOTIVATION"の一例として、朝礼で名前が揚げられるなどの"EVALUATION"「評価」が考えられる。
- 日本の小学校で行われている読書感想文の宿題("COMMENTAIRE", "RESUME"とは違うものであることに留意)では、個人的な印象が評価されがちで道徳的な活動になってしまうという問題点がある。場合によって歴史などについて調べる生徒もいる可能性があるが、読む楽しみを奪う活動である面を否定できない。
- 高校の事例として、フランス人留学生から聞いた意見についての発言があった。日仏の高校生の勉強法の違いとして、日本では「一夜漬け」が行われているのに対して、フランスでは毎日復習が行われている(小学校では強制的なDEVOIR だが、それ以降はあたりまえにするもの)。「強制」なのか「自由」なのか「責任」"RESPONSABILITE"なのかなど。
- 語学授業、トレーニングとして、言葉を教えるというレベルとしては強制が必要であり、その中に能動性がありえるのではないか。
- 大学の授業で使う表現を、口頭で使えるように、また理解できるようにする。例えば、「活用を覚えて来て下さい」という指示を出し、次回の授業で使うなど。
- 小テストの形を利用して、学習期間三ヶ月くらいで以下のような表現を言えるようにする。"JE NE SAIS PAS." "JE NE CONNAIS PAS." "CA S'ECRIT COMMENT ?" 
- 大学の2年生の場合、教室内で「先生、JE NE COMPRENDS PAS.」という発言がある。これは、教員とのRAPPORT SOCIALが見られる事例であり、学生自身がACTEUR SOCIALになるという意味での「能動性」が発揮されているのではないか。
- 嫌だと思いながらやることが「強制」であると考えた時、楽しくやっていれば、「能動的」なのではないか。また一方で、ACTIVE はEXERCICE AMUSANT, INTERESSANT, PARTICIPATIFではないという発言もあった。
- 大学でTACHEの部分でしかACTIONは出来ていない。学生間の対話がフランス語にならない。学生間で作業するための表現を教える。例として以下のようなものが挙げられた。"AVEC MOI, S'IL TE PLAIT." "ON TRAVAILLE COMME CA." "JE COMMENCE." "JE NE COMPRENDS PAS." "PROF A DIT."

◇授業での使用教科書の具体例として、『新・彼女は食いしん坊!』(藤田裕二著、朝日出版社)、『PETIT CHEMIN』(大塚陽子著、白水社)が取り上げられた。授業や教科書においてCOMMUNICATIFであることとは、一人称と二人称を用いた内容のことである(三人称の場合はDESCRIPTIFとなる)。同様に、たとえビデオを使っても、COMMUNICATIFになるとは限らない。また教科書の例文が使いづらい場合は、簡単な例文を口頭で提示し教科書に戻れば良い。部分的に能動的であれば良いという発言があった。

◇まとめ
今回の例会では、「授業が能動的であるか 」というテーマをめぐって参加者が自由に発言し、それに対する応答が別の参加者から続くという形で議論が行われた。「能動的」をどう定義するかという問題を中心に、実際の授業時に起こる問題が検討された。次回以降この問題を検討するための問題整理の場になったように思われる。また今回のニューズレター執筆に当たっては、例会での発言を出来るだけそのまま収録する方針を取ったことを申し添えたい。
(K.Y.)




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