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NO.154

 

 

【例会のテーマ】
1) 学習者の産出における文法のエラーにどのようなフィードバックを与えたらよいか:

学習者の発話や作文に文法のエラーが含まれている場合、教師はどのような説明を与えれば良いのでしょうか。普段クラスで実践していること、または気を付けていることなどを紹介してください。

2) PEKAの論集、EDFJ第25号の執筆者・査読者について


07/12/2015

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.154
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時: 12月19日(土)14:30 〜 17:30
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第3会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。第3会議室は4階の受付横の廊下奥左手にあります。)
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

【例会のテーマ】
1) 学習者の産出における文法のエラーにどのようなフィードバックを与えたらよいか:

学習者の発話や作文に文法のエラーが含まれている場合、教師はどのような説明を与えれば良いのでしょうか。普段クラスで実践していること、または気を付けていることなどを紹介してください。

2) PEKAの論集、EDFJ第25号の執筆者・査読者について



☆☆ 2015年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。
2016年2月13日
いずれも(土)14:30〜17:30
(会場の都合により時間変更の可能性あり)
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■【2015/10/17例会報告】━━━━━━━━━━━━━━
テーマ:「講読の授業の組み立て」
本例会では、フランス語の「講読」、またはもっと広い意味で「フランス語を読む」という活動について話し合った。

◆「講読」の位置づけ:講読の授業では、何をしているのか、何を読んでいるのか?

ある大学では2年次で講読の授業がある。扱うテクストは文学作品や時事フランス語のテクストなど、担当する先生によって様々である。フランス語学習2年目の学習者にとって文学作品を読むのは少し難しすぎると思われる。物語より説明文や歴史に関するテクストの方が取り組みやすい。
ある講読の授業では、Presses Universitaires de Grenoble (PUG)が出版しているLE FRANCAIS PAR LES TEXTES I (Barthe, Chovelon et Philogone)を利用している。
この本には様々な分野のテーマを扱ったテクストが収録されている。それぞれのテクストは1〜2ページほどの量で、対話式のものもある。さらに、内容理解の問題だけでなく、文法や語彙の練習問題もある。

別の講読の授業では、TV5の7 JOURS SUR LA PLANETEを使用している。学生にはテクストを読ませる前に、ビデオを見せている。そうすることで、学生はまず耳でテクストに触れ、さらにビデオの映像からテクストの意味を推測することができる。また最近までは、短編小説も使っていた。
基本的に、授業では生徒に和訳をさせている。そうすることで、学生がどこで躓いているか、どこまでわかっているかを教師は知ることができる。
一方で、学生は和訳がわかったことで安心する。テストでも和訳を問題として採用している。

他の参加者によると、高校では、授業で扱ったテクストの和訳問題はテストで出さないようにしている。その理由は、生徒達の勉強が和訳を覚えることに集中し、フランス語に注意が向かなくなるため。
これに対し、読む量が多ければ、和訳を覚え切れるものでもないし、和訳を覚えることもそれはそれで勉強になっているといった意見もあった。

また他の参加者によると、大学3・4年生に文章を読ませても、結局文法や語彙でつまずいてしまい、うまくいかないという指摘があった。これは、基礎的な語彙・文法知識が身についていないためだと考えられる。
そのため、1・2年の授業をちゃんと組み立て直す必要があるのではないだろうか。

◆ リーディングと語彙について
テクストを読んで理解する上で、語彙知識は大きな要素である。
語彙習得分野の研究によると、あるテクストを何の助けも借りずに十分に理解するためには、そこで使われている総語数の約98%を知っている(例えば、100語で構成されているテクストのうち98語が既知語である)必要がある。
そのためには、どのようなテクストかにもよるだろうが、ワードファミリー(例えば、enseigner, enseignement, enseignant, enseignable, などは1つのワードファミリーとして数える)で少なくとも5000語レベルに達する必要がある。
その他、様々な読み方について意見交換があった。

◆ 多読について
ある参加者は、読書をしているとき、わからない語が出てきても辞書で調べず、飛ばしてしまう。
だが、多読をしていると、わからなかった単語が何回も出てくることがあるので、意味がわからずともその単語の音を覚える。それから意味を調べると、うまく覚えることができる。
逆に、一度調べた単語が文章の中で何回も出てくると覚えることができる。

◆ 音読の大切さ
講読に音読を取り入れてみるのも良いのではないだろうか。
音に関連付けて読ませることで、語彙や表現が頭に残りやすくなる。
しかし、実際に授業で音読をさせてみると、学生はあまり声を出さない。これは、学生が自身のフランス語に自信がないためもあるが、普段から内容のある会話のキャッチボールをする習慣がないためであると考えられる。

◆ シャドーイングについて
ある参加者は講読の授業でシャドーイングを実践していた。何人かの学生にとってはこのトレーニングが有益であったが、シャドーイングを始める前に文法の解説をしてほしいという要望もあった。
この報告に対して、予め読むテクストの和訳を渡しておき、意味を理解した上でシャドーイングをするのも良いのではないか、またそのことに関連して、与えられた和訳がフランス語のテクストのどれに対応するのかを探させることも有効であるという意見があった。
(ちなみに、フランス語の教科書 J’aimeではこのようなアプローチを採用している。)

◆ ある高校のLe Petit Princeを扱った授業
最後に、高校でフランス語を教えている参加者から、実践報告があった。
授業ではLe Petit Princeを扱っている。作品すべてを読むのではなく、重要な場面だけを抜粋し、文法や語彙の解説や文章理解に関する問題を付けたブックレットを生徒に配布している。
授業では書画カメラを使い、生徒に注目してほしい文をスクリーンに映し出す工夫をしている。そうすることで、生徒全員が同じ方向を見るように促すことができ、結果としてかなりの時間短縮になっている。
学生には予習をしてきてもらい、授業では主に和訳をさせている。
ブックレットは学生の文章の理解や文法・語彙の習得を助けられるようにとても良く構成されている。それ故、和訳の他にも様々なアクティビティーが可能ではないだろうかという指摘があった。

例会で挙がった提案として、以下の活動があった。
1) グループを作り、ある場面に関して制限時間内にできるだけ多くの質問を作る。そして、グループをばらし、他のグループの人と新しくグループを作り、メンバーに質問をする。(疑問詞を使う練習にもなる。)
2) 音読を取り入れる。すでに述べたように、音読をすることで、音が頭に残りやすくなり、語彙や表現の習得を助ける。音読の上手さを競わせたり、対話文はペアで音読させたりすれば良い刺激になる。
毎回同じやり方で授業を進めると、学生が飽きてしまう可能性もあるため、時にはこのようなアクティビティーを取り入れてみるのもいいだろう。

◆ まとめ
一口に「講読の授業」と言っても、生徒が一行ずつ和訳していく活動だけでなく、フランス語を読むための様々な方法・工夫が考えられることがこの例会で確認できた。
特に繰り返し強調されていたことは、読むという活動を音に関連付けることの重要性であった。
また、「どのようなフランス語力をつけさせたいか」という明確な目標を忘れずにしっかり念頭に置き、それに応じた講読の授業計画を心掛けたい。

(Y.M.)



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