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NO.152

 

 

 

「文法とコミュニケーションを両立した実践例の紹介」


10/09/2015

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.152
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時: 9月19日(土)14:30 〜 17:30
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第3会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。第3会
議室は4階の受付横の廊下奥左手にあります。)
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

文法かコミュニケーションか、二項対立的にとらえられがちですが、本当にそうでしょう
か?
みなさんは実際の教室活動のなかで何を、どのようにやっていますか?実践例を紹介し
てください!



☆☆ 2015年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。
10月17日、12月19日、2016年2月13日
いずれも(土)14:30〜17:30
(会場の都合により時間変更の可能性あり)
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■【2015/6/20 例会報告】━━━━━━━━━━━━━━

6月のテーマ:「教科書をどう活用するか?」

 6月の例会では、年間テーマとして挙がった「文法の位置づけ」とも関連づけながら、
教科書の活用法について話し合いました。
まず今回初めての例会参加者に今回の例会に期待することを尋ね、続いて、参加者
各自が使用教科書について簡単に情報提供することから始めました。

●今回の例会に期待する点
- 教科書に依存しているので、むしろ、どのようにして教科書を使わない授業をするか。
- 初めて教授法を勉強する。スタージュには参加した。他の方がどのようにしているのか
知りたい。クラスの盛り上げ方について知りたい。
- フランス語はまだ教えた経験がないが、教えている方の話を聞きたい。

●各自の使用教科書についての情報
- 現在使用している教科書
- 選んだ理由
- 使用学部/学科/専攻などと、クラスの人数
- 使用後のギャップ、効果、不足していると感じる点、感想など

以上を材料とし、前半は、教科書と授業について自由にコメントし、後半は、ある参加者
が実際に使用している教科書について、この教科書を使用しつつ、不足を補うにはどの
ような工夫が必要か、具体的な案も考えながら意見交換しました。
参加者のコメントを以下にまとめます。

I. 教科書と授業について
●教科書選択
- 帰納的な教科書、演繹的な教科書の編集方針の違いが根深い?
- 勤務校の制度上の問題がある。例えば、「総合フランス語」「文法」「コミュニケーション」
などが開講されており、これらのクラスで同じ教科書を使用して連携しながら授業を行い
たくても、開講科目が異なる場合、制度上、同じ教科書を使用できない場合がある。

●文法 vs コミュニケーション?
- 文法の教科書は、2年次にまとめ用として使用するのにはよいのではないか。
- 文法は、フランス語を少しやってみてからでないとわからない。レヴェルが上がると文法
的な説明が増える。例えば、精読の際は、動詞の時制を考えることが必要。
- 最初はオーラルで始め、2年目で文法の面白さがわかればよいと思う。しかし、授業を
コミュニケーションベースでやればやるほど、文法にかんする質問が多く来る。
- 文法がよくわからないと言われる。「では、文法を学んで、英語は話せますか」と訊くと
「いいえ」という答え。フランス語でも同じですと言って納得してもらう。
- コミュニケーション重視ということが何を意味するのか。文法をやらないのではない。専
門課程で勉強するのなら、文法をやらないわけにはいかない。

●コースデザイン
- コースデザインにもよるのではないか。学生の学習時間にもよる。
- 専門課程はやりやすい。第二外国語だとどうなるかわからない。
- 学校からコミュニケーション重視でと言われた場合、文法をどうするか。

●ステップアップするのに必要な時間
- 語学のワンステップには150時間が必要。年間授業数にあてはめてみる。週2コマ2
年間が保証されていればよいのではないか。
- 社会人の場合は100時間に満たないうちにやめる場合がある。
- 学習対象者が専門課程の学生でない場合は、教師が計画を立てて何ができるように
なるのか考える必要がある。

II. 具体例に即して
現在、教科書は単純な構成のものを使用している(使用教科書は、『ル・フランセ』(白
水社))。文法項目をもっと絞り、ヴァリエーションをもたせたい。できるだけ記憶の定着の
手伝いをしたい。

例) 当該レッスンでの習得事項が、「ETRE、AVOIRの活用/否定文/疑問文/指示
形容詞」の場合…
案1) 背中に紙を貼り、自分について、Je suis chanteur ? Je suis professeur ? と尋ね、
相手が応答するアクティヴィテを行う。
案2) まず、je ... を言う。次の人は、je ... tu ... を言う。その次は、3つ、そして6つの
活用を言うようにまわしていく。
案3) 活用だけなら、メロディーをつけて歌わせる。どちらが早く言えるか競わせることも
できる。ゲームをしながら覚えることも可能。書籍あり?
案4) 教科書の練習問題をアレンジする。

●文法が問題になるときとは?
- productionになったとき。新しい単語が出てきたときに文法がわかっていないと使えな
い。
- 復元力が重要。習ったかたちは知っている。その知識を使って何か他のことを表現す
る際に問われる。

●そもそも…
- 日本の教育現場での教え方に問題がある。パーツとパーツとを組み合わせて作らせる
やり方には感情が入らない。「自分がこれを言いたいから言う」という方向に持っていきた
い。
- 新しい文法事項を学習したとき、その場ではわかったつもりでも、実際に自分が言いた
いことを言おうとすると、文法的に正しい表現にならない場合がある。
例えば、モデル文では男性形が使われていたのに、自分にあてはめて言うなら女性形に
しなければならなかったことを忘れていた場合など。
この場合、正しい表現ができるようにするには、今、学ぼうとしている文法事項のみならず、
過去に学んだ文法の知識も思い起こさせる必要がある。

●授業での工夫
- 会話を覚えさせて「来週までに覚えてきてね」と言うと、結構覚えてくる。
- 中途半端にその課を終えて、次の授業で取り上げる。前の週に説明して翌週に練習
するなどの工夫。
- 教師が規則を説明するのではなく、学生に規則を考えさせ、ボードに貼り、正解を探
させる。
- 学生に「教える役割」を担わせる。教えさせる。協同学習が参考になるのでは。
- 文法書(文法説明を主とした教科書)にはあまり説明がない場合がある。教師の価値
が出る。
- グループで、ペアで、と練習形態を変える。
- 文法規則をコミュニケーションの授業で振り返らせる。タスクをやるときには学生は焦っ
て確認するはず。書かせる作業がじつは文法に一番向いているかもしれない。仏訳では
なくフランス語での作文をやらせる。
- 習ったような文を書かせる。自分の言いたいことを書かせる。

●タスクの導入
- プレ・タスク(モデル文)からタスクへ。制限を付ける。一方、タスク自体、あまり大きくな
いものをやる、プレ・タスクがないものがよい、という意見もあり。

●文法がわかるとは?
- いろいろなレヴェルがある。この教科書だと、本当にわかっているのかどうかわからない。
教科書外での工夫が必要。
- (左のページに文法説明があるので)左のページを隠してやらせる。
- わかっていることでないと話せない。

***
授業のアイテムとして教科書のウエイトは大きいです。参加者各人の教科書選定理由と
使用後のコメントは興味深く聞きました。
どの教科書を使うかよりも、忘れてはならないのは、いつ/どの段階で/何が必要なのか
を考えることであり、この授業で身につけさせる技能は何なのか常に意識することなのだ
と参加者のコメントを聞きながら感じました。(S.C.)



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