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NO.148

 

 

12月の例会は盛りだくさんです!
1)研修報告: 2014年ケベックス・タージュ参加者、松村さんからの報告

2)アトリエ:「初学者のコミュニケーション能力をいかに引き出すか?〜授業で何を使うか?色々なアイテムの活用法〜」
-- 2014年の連続テーマ「初学者のコミュニケーション能力をいかに引き出すか?」をめぐり、10月までの例会では、「会話授業の構成法」「評価の仕方」についてディスカッション形式で意見交換をしてきました。その中で、例えば「コミュニケーションとは、話すこと?あるいは”振る舞い”も含めてとらえるのか?」「評価の目的とは:Institutionのため?学習者のため?」など、授業づくりの根幹となる問題について共に「考える」機会を得ました。
-- 12月の例会では、「初学者」「コミュニケーション」というキーポイントはそのままに、日ごろの授業で活用している道具・資料・技(ワザ?)など、具体的なアイテムを持ち寄り、ミニ・アトリエ形式で意見交換をしてみたいと思います。「これ、使ってみたらどうなるかな?」というようなものも含め、沢山のご参加をお待ちしています!

3)PEKAの論集、 EDFJ 第24号 執筆者・査読者について
4)2015年3月のRPKへの参加に関して


13/12/2014

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.148
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時:12月20日(土)
   14:30〜17:30
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟2階 第8会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。第8会議室は2階です。)

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

☆☆ 2014年度例会日程 ☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。
2015年2月14日
いずれも土曜日の14:30〜17:30ですが,会場の都合により時間変更の
可能性があります。
場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■【2014/10/18 例会報告】━━━━━━━━━━━━━━

<初学者のコミュニケーション能力をどう評価するか?>

「初学者のコミュニケーション能力をいかに引き出すか」というテーマの中で、「評価」という着眼点を提案して下さった9月の例会参加者の意向を引き継ぎ、10月の例会では以下3点についての意見交換が行われました。
A) 会話のモデル文の再生のみではないことを初学者が言えるようにするには?
B) 大学での30人を超えるクラスでは、個人を評価する時間がとれないという問題がある。どう対処するか?
C) 授業時間内に「平常点」として評価することのメリット:テストの瞬間のみでない恒常的な評価ができる?

以下に意見交換の概要を報告します。
◆<A) 会話のモデル文の再生のみではないことを初学者が言えるようにするには?>

初学者には、モデルとなる表現も必要だが、その「再生」のみでは、表現が身に着いたとは言えない。まず自分の言いたいことを単純でもいいから言えるようになる、というのがポイントではないか?

◇その例として:高校のクラス(30人)での試みが紹介された:
学習したモデル表現 "Il fait du tennis." "Elle fait de la natation."をもとに、「自分のしているスポーツについて」言ってみる活動。
→ 学習者から、テクストに載っている表現以外のスポーツや楽器など、別のものについてどう言うのか、という質問が相次いだ。
→ モデル文と「自分」の接点が見つけられるような活動によって実際のsituation de la communicationに近づくのではないか?

◇別の参加者からは、モデル表現の用い方について発言があった。
- 文法説明は特にしないで、表現そのものを使って、例えば、過去にしていたことを話すなら、Je faisais...を用いて口頭で言ってみる。
- 文法の説明をするよりは、モデル文をたくさん提示して、学習者に規則性を意識させることを促す。
- 発話より先に文字を見てしまうと、発音と文字の違いをうまくつかめない場合がある。
(これは、文法の説明に時間がかかると、結果的に学習者がモデル表現を別の形で「使う」時間を浸食してしまうこともある、という点に気付かせてくれる発言ではないか、と筆者は感じた。文法説明が授業の中で重視される傾向に関しては以下のような指摘もあった。)
- 文法の理解=語学力という狭い考えのもとに授業を作ったり、参加したりする人が多いのかもしれない。

◇また、モデル表現を使って、初学者が自分について話せるかをインタビュー形式のテストで確認するという方法と、その際のポイントが紹介された。
- 学習した表現に対応する具体的テーマ(自己紹介・家族について 等)をもとに質問に答える、という形式
- 確認ポイント:質問がわかるか? 会話として通じる発音か? 基本的文法がつかめているか?
- フランス語を話す時に相応しい態度か?(例:相手の目を見て話しているか?など)
- 相手に自分の意志を伝えられるか?

◇上記のような確認(評価につながる)方法のもとにある授業構成の基本形についてのコメントもあった。
- imitation / exploitation / fixation / expressions libres という構成が表現を身につける基本なので、expressions libresに至らないと「評価」はできない、と考えられる。
- こうした評価には、具体的かつ自由度のあるテーマ:週末に何をするか、などをテーマとして設定する。

◇さらに、教師と学習者のインタビューの他にも、学習者間でモデル表現を「自由に使う」というシチュエーションを設定し、同時に「評価」の機会とする、という方法も紹介された。
- 学習者同士で、クラスで話す(2人の学習者の会話をクラス全員が聞くという形式)理解できる発音で表現が用いられていればポイントをプラスする。
→ 順番が後になる学習者が有利になる?いい相手に当たるかどうかでも会話の質が変わってしまうと「評価」としては不公平な部分も生じる?
→ レポートなどで別の評価観点も加える必要あり?

◆話し合いはここから、B)〜C)に移行していった。

<B) 大人数(30人以上)のクラスで授業中の「評価」の機会・時間をどうとるか>
<C) 恒常的評価のメリット、あるいは何をどう評価するのか>

◇まず、「評価」に関して、自分たちがどういう姿勢で向き合っているかを確認する発言があった。
- 「評価」とは? 点数をつけること?個人としての力がついたかどうか?

◇そこから、授業の中で行われている色々な評価の機会、方法についての発言が継いだ。
- 普段学習者を見ていると、試験のみで評価しなくてもおよその理解度として評価は可能。
- 点数をつける必要性に応じて、プラスαのために試験をする。
- (質問に答えるのみでなく)質問がうまくできるか、も大事な評価の1つ

◇ここで、参加者の中からある質問が出た:「普段の授業での評価について、予告はするか?」
→(高校での授業)評価するという予告をすると、間違えることを怖がる傾向にあるので、予告はしない。
→ コミュニケーションのクラスではその場でやる作業が多いので、その中で自然に理解度が評価される。
- 授業中の評価に関しては学習者が「特別な機会=テスト」という認識を持たない状態で行っている場合が多いように思われた。また、評価の方法によって、学習者の反応にも違いがあるという指摘もあった。

◇学習者に持ち点を与え、間違いがあったら減点、という方法をとってみたところ:
→ 簡単な文しか言わないことになった
→ 逆に、自分のレベル以上のことを言おうとする学習者にはプラスをする、という基準も必要と感じた。

◇これに続いて、授業中の「評価」での留意として参考になるであろう指摘があった。
- 複数の教員で評価をおこなう場合には、教員間でのコンセンサスがないと難しい。
- 点数での評価に換算せず、ABCでの評価で充分ではないか。

◇「自己評価」の位置づけに関する意見交換もあった。
- 自己評価を採点に含めるか?ポートフォリオを利用する?
→ ポートフォリオは学習者が自分で学習をコーディネートするためのものなので評価に転用するものとは性格がちがうのでは?
→ 学生の性善説は信じるべきではない?
→ 自己評価をさせた上で、なぜその評価なのかを学習者に説明させる。という方法も可能。
→ 学生に授業の感想をかいてもらうと、そこからも自己評価につながるものもあらわれる?
→ 学習者が「自分ができる」と感じることも、評価の上で大切。
→ 点数をつけるのは、Institutionの問題があるが、本来は本人がどのくらい伸びたかを見極めるのが評価ではないか。

◇そして、何をどう評価するのか?コミュニケーションとattitude /comportementについての意見も交わされた。comportementをコミュニケーションに含まれるものととらえるか?によって評価の観点は異なってくることが見えた。
-フランス語を話すときのattitudeについての評価、というのに少々抵抗がある。
-モデル文のやりとりのみで手いっぱいの状態だったが、フランス人と関わるときにはやはり、目を見て話したり、分からない時にPardon?と聞きかえしたりすることができるか、などは大切。
-コミュニケーションを行うときに、スタンダードが複数あるということを意識することも大切では?
-3人での会話では、誰を見るかで、話している相手がクリアになる。そのことで、意味の理解も深まる。
-型にはめる、というよりは、相手と違うことが想像できる力をつけていく?
- 人格への評価とは異なる。

コミュニケーションの授業の中で、何をいつどう評価するのか、日常の授業を見直すきっかけを提供するような意見交換が行われた。また、恒常的な評価については、クラスの人数は30人程度であればそれほど困難ではないとの結論に至った。
(T.T.)



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