Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.145

 

 

 

「今学期の試みについての中間報告」

19/06/2014

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.145
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時:6月21日(土)14:30〜17:30
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟3階 第10会議室

(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。
第10会議室は1階下です。)
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◆ 6月のテーマは、「今学期の試みについての中間報告」です。
4月に新たな学期がスタートして、そろそろ中間テストの季節ですが、私たちもそれぞれの
「新たな」または「いつもの」試みについての中間テストならぬ中間報告をし合うことで、問
題点を複数の視点から検討、また、いいアイディアについての情報交換をする、という時間
にしたいと思います。また、例会の終わりには会計担当からの報告も予定されています。

☆☆ 2014年度例会日程 ☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。
9月20日,10月18日,12月20日,
2015年2月14日
いずれも土曜日の15:30〜18:30ですが,会場の都合により時間変更の
可能性があります。
場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

上へ

■■■【2014/4/19 例会報告】━━━━━━━━━━━━━━

テーマ:初学者の頃を振り返る

今回のテーマは、前回2月のテーマ「フランス語で行う授業」から派生したものでした。
「教えられたように教えてはいけない」という言葉もありますが、反面教師とするにしても、
自らが教わって来たものは、それぞれの経験の一部であることに変わりはないはず。そうした
ベースとしてのフランス語教育体験を思い出してみることで、さまざまな時代のモデルとして
(PEKA参加者の年齢層には最近厚みが出てきましたよね。嬉しいことです!)の初学者
体験を共有できるかもしれない、というのが今回の例会のスタートラインでした。新学期の
忙しさに追われて出席の叶わなかった方々もご自分の経験と比較しながら今回の報告を
読んでいただければと思います。

<学び始めの頃>
EXPERIENCE 1 : 仏文で大学1年から始めた。文法の授業では3つの動詞の活用を
すべての時制と法で覚えてくるようにという宿題が課された(発音は不明でもとにかく覚え
てくるというやり方)。
これは文法の教師の恩師の教授法に倣ったものだった。

EXPERIENCE 2 : 大学の第二外国語として。1年生の前期で文法説明が終わり(接
続法半過去まで)、後期には19世紀のフランス小説を原語で講読。教師陣は武者小路
先生、朝倉先生など錚々たるメンバーだった。2年生では人文系のテクストはこれから当
然よむので、理系の文を読む、というコンセプトの授業。3年生ではフランス人の先生から
フランスの詩(ロンサールなど)についての講義をフランス語で受けた。会話の授業はなかっ
た(教養学部フランス語科)。
現在は、Approche communicativeが主流の学習法に転換されたため、かつてのような
「話せないけれども読むことはできる」という学生はいなくなった。

EXPERIENCE 3 : 高校の第二外国語でフランス語を選択した。選んだ理由は、他の言
語と比べて「かっこいいと言われそうだから」。日仏学院にも並行して通った。フランス人の
先生があこがれの対象になった。高校の授業は週に90分×3コマ内1コマはネイティブ・
スピーカーの授業。モチベーションは曖昧であったが、教師が会話中心の授業を展開して
くれたので授業の中でフランス語を話す機会が多かった(学習内容に関するスケッチを演
じる、など)。前期の成績は10段階の2か3と振るわなかったが、英語との比較をする学び
方をみつけて目覚め、英文法のテキストの例文を仏訳し、教師に添削してもらう方法で成
績改善に成功。2年生の終わりにはフランス滞在も経験。大学(外国語学部フランス語
科)では既習者クラスに入った。

EXPERIENCE 4 : 大学に入って始めた。「基礎フランス語」の授業として日本人の先生
による授業(4コマ)、フランス人の先生による授業(2コマ)があったが、日本人の先生の
授業は高校の授業と変わらないような授業だった。動詞の活用の小テストがあったのが印
象に残っている(外国語学部フランス学科)。
3年生の夏に交換留学。はじめは文法の知識はあっても話すことは難しかったが、1年間
の滞在で話せるようになった。大学のパソコン学習プログラムなどを利用して文法の知識
の定着をはかることができた。あいている時間には読書もし、読む力もつけた。

EXPERIENCE 5 : 高校1年から第1外国語として学んだ。週3コマの初級文法は日本
人、週1回の総合フランス語はフランス人の先生(マルセイユ出身、日本滞在歴40年の
シスター)であったが、時々日本語で叱られたこと以外あまり記憶がない。大学(文学部フ
ランス文学科)では既習者クラスは開講されておらず、1年次は2年生のクラスの片隅で
授業を受けた。大学の日本人教師のフランス語の発音が、各々異なり、フランス語の音の
イメージがつかめなかった。3・4年はフランス語の文学作品や批評文の和訳を演習形式
で行う授業が大部分を占めた。時事フランス語の授業は、フランスのニュース番組を視聴
した後、関連する雑誌記事を読むという内容で、最も興味をひかれた。わからないなりに本
物に触れている気がしていた。担当教員は大学の専任ではなくNHKの報道番組ディレク
ターだったと記憶している。

EXPERIENCE 6 : フランス語に興味があり(モードやアートなど、フランス文化が流行っ
ていた時期)、大学進学時には大学を吟味した。読むことに関心があった(ユゴー、デュマ、
ボードレールなど)。1年の前期で初級文法は終わり、後期の1回目に文法のテストが
あった(外国語学部フランス語学科)。
ロールプレイを多用する授業が印象深く、教員が独自に作成した教材を用いて、学生が
ある町の住人になりきり、年齢のみ事前に決められていて、その他、職業・人名・住んでい
る地域などを共に考えて演じる、という授業で盛り上がった。(L’Immeuble (Hachette)と
いう教材に想を得たものか?)。しかし、授業のみでは話す訓練が不足すると考え、フラン
ス人の先生と休み時間も話をするようにした。文学作品もコンスタン、シャトーブリアンなど
自分で読み、教師に質問するという形で学んだ。3年生で自費で留学した。

<会話の授業の作り方>
●色々な問題点
- 大学の会話のクラスは人数が多すぎてあまり効果的ではなかった。
- 会話の授業では、人数が多い場合は必ず、発言しない学生が出てきてしまう。
Cf. アリアンス・フランセーズのEXPRESSIONS ORALES:自分で調べたことを話した;
日仏学院:ロールプレイ/日仏の違いについてのEXPOSE (Intro/ contenu / conclusion)
など、語学学校では学習者が模倣や再生のみでなく「自ら作る」授業が実施されている。
- 話す中身の心配:話したいことがない?外国人と交流するにしても、ごく身近なこと以外
に話題が出てこない。
-「○○について話しましょう」では、学生が話しにくい。

●いくつかのアイディア
- ディベート:賛成か反対か、意見を言うことへのためらい
→教員があらかじめ学生をpour / contreの二手に分けて考えさせる。
最終的に自分の意見を書かせる(→作文)。
例えば、東京オリンピックに賛成と反対、など。
- クイズを出す:インタヴュー番組をつくるというコンセプト(聞き手2人とゲスト1人)、インタ
ヴューを聞いていくとインタヴューされている人が誰かわかる、という形式の対話を作らせ
る。誰でも知っている人を答えに設定する(実在の人間でなくてもよい)。最後に誰でもわ
かる質問をヒントとして入れる。全部がわからなくてもポイントを押さえればわかるという感覚
を持つためのactivit?の1つ。
- グループで行うと、1人ですべて作らなくてよいという安心感もあり、反って積極的な参加に
つながる。

-----
今回の例会は参加者が少なく、結論らしい結論には至りませんでした。学習開始時期
(大学入学以前か以後か)についても教授法のスタイルでも十人十色な各自の体験が話
されました。時代の流れ(時代のニーズ?=教授法が意識されていなかった時代から教授法
が意識される時代へ)や、学部の専門による開講授業の違いによるものでしょうか。
授業だけで学習が進むわけではなく、授業外での学習者自身の努力が必要なのは言う
までもありませんが、そのためにも、学習者の意欲を引き出す授業づくりが必要だと感じま
した。学習者のやる気をくじくような授業ではいけませんし、既習者と初学者が混在せざる
を得ないクラスでは両者を巻き込む工夫が必要でしょう。教師自身が学習者の憧れの対
象となることができればそれも学習者の学習意欲につながるかもしれません。
後半は会話の授業のあり方について焦点をあてて話し合いました。コミュニカティヴ・アプ
ローチの出現以降、会話の授業の割合は増えているかもしれません。会話のクラスでは、
教員が学習者をよく観察し、クラスの実情に合わせ臨機応変に「話させる」ための工夫を
することが大切だと感じました。

*その他*
- EDFJの編集時期について、出席者から意見を募ったところ、
1)発行時期を春のフランス語教育学会大会に合わせることには変わりはなく、
2)編集時期を早くしても、早い時期が繁忙期にあたる人もいるので、従来どおり、
という結論になりました。他のご意見がありましたら、お聞かせください。

- 年間テーマ設定について
ここ数年、PEKAのあり方を見直し、年間テーマにそって個人の提案するアトリエから、現
行の自由なディスカッション形式に変えています。出席者が減少している傾向がみられる
ので、改善策として、年間テーマをあらためて設定してみてはどうかとの意見がでました。
今年度のテーマとしては「初学者のコミュニケーション能力をいかに引き出すか」があがり
ました。年間をとおした大きなテーマのもとで話し合う時間と、その時々に話し合いたい
事柄との二本立てではどうでしょう。
次回、6月の例会では「今学期、挑戦していることの中間報告」を話し合えればと思います。



***************************************
PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka-web.sakura.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
***************************************

◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
  のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html 
  このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU