Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.144

 

 

 

「初学者の頃を振り返る」

13/04/2014

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.144
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時 : 4月19日(土),14:30〜17:30
会場 : 明治大学 和泉キャンパス内 リエゾン棟2階 会議室
* 京王線・井の頭線の明大前駅徒歩10分,正門を入って右手の図書館
の横を通り抜けるとその奥がリエゾン棟です
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/izumi/access.html
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

4月の例会,テーマは「初学者の頃を振り返る」です。
「教師は自身が習ったように教えてはいけない」これは、ある著名な教授が
退官講演で言った言葉だそうです。習ったように教えるというのは,教師自
身が教育効果を実感していることから,確かに教え易く安心できるものだと
思います。しかしそれでは進歩がありませんし,有用性を実感できなかった
教授法を旧態依然として続けることには,当然意味がありません。そこで,
新年度の第一回目の例会ということもあり,自身の初学者の頃を振り返って
教わった教授法を共有し,その改善点を検討しつつ昔の初々しい感覚を
取り戻してみませんか?今年度の授業指針の参考になるものがきっと見つか
るはずですので,多くの方々のご参加をお待ちしております。

☆☆ 2014年度例会日程 ☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。
2014年6月21日,9月20日,10月18日,12月20日,
2015年2月14日
いずれも土曜日の15:30〜18:30ですが,会場の都合により時間変更の
可能性があります。
場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

上へ

■■■【2014/2/16 例会報告】━━━━━━━━━━━━━━

今年度第六回の例会のテーマは,「フランス語で行う授業」でした。

* * *

※議論のもととなった発言を箇条書きで記し,そこから派生した発言を矢印
で続けていきます。

● 授業を全てフランス語で行おうとするものの,やはり全てをフランス語で行う
のは難しい。結局,フランス語で行えるのは簡単な指示ぐらいであり,それ以
外の複雑なものは日本語に頼ってしまう。

→ 簡単な指示で使用する決まり文句は,何度も指示をするうちに学習者
が自然に覚えてしまい,だからこそ注意を払わずに指示そのものを聞き流し
てしまうことがある。

→ 教師が一度日本語を使ってしまったり,日本語に反応する素振りを見
せると学習者も日本語を使うことに甘んじてしまう。彼らにとって質問をすると
きには日本語を使う方が手っ取り早いが,何とかしてフランス語だけで頑張
って質問させるべきである。

→ 学習者同士が日本語で内緒話をしていても敢えて日本語がわからない
振りをし,本当にフランス語だけで授業を進める気が教師にあることを学習
者に悟らせるべき。教師が本当に日本語を理解できないのではないかと思
わせることができれば尚良い。

→ そのため,初回授業での教師の振る舞いが非常に大事になり,そこで日
本語を介してしまうとその後は学習者が日本語に頼るようになってしまう。

→ 成績の評価方法といった,どうしても日本語で確実に説明しなければな
らないことはプリントに印字しておけばよく,教師はそれを声に出して読んで
はいけない。

● 日本語でするような指示を全てフランス語に置き換える必要などなく,簡単
なものやジェスチャーを伴うものだけに留めておけばいい。特に練習問題は
学習者が解ければいいので,彼らが指示を完全に理解する必要はない。

→ 頻出の指示文のリストを予め配ってしまってもいい。(これには反対意見
もあり,はじめは訳がわからなくてもとにかく聞き続け,いつか理解できればい
いという意見も挙がった。)

→ Je ne sais pas! / C'est difficile! 等のリアクションの表現は学習者も真
似をしやすいので多用した方が良い。但し,初学者を相手に砕けた表現
(否定のneを省略する等)は絶対に避けるべき。

→ 初学者相手のフランス語のみの授業では,表現をできる限りシンプルに
することを心掛けるべき。

→ 『ラルースやさしい仏仏辞典』にはフランス語での指示を簡単に言い換
えるためのヒントが詰まっている。

● フランス語だけで行う授業に対する不安の最たるものはやはり,学習者が
授業内容を理解しているかどうかということのように思われる。しかし,本当に
全部を理解する必要はなく,学習者の不安な表情はある程度無視して構
わない。

→ その反面,教師は堂々としていなければならない。

→ 語学は初学の頃から完璧に理解した状態で進むことはなく,後になって
不明な点が気付いたりわかったりするものである。

● フランス語だけで行う授業は,得てして単調なものになりがちな傾向にあ
る。そこで10〜15分に1回ほど,EXERCICESやACTIVITESの種類を変えて気分
転換をすると良い。

※今回のテーマに関する詳しい実践報告 : 飯田良子(2013) : 「フランス
語のみで行う会話の授業」, Etudes didactiques du FLE au Japon
第22号, pp.28-33 : PEKA, Association des didacticiens japonais

* * *

 例会当日は大雪の影響で交通機関に乱れが生じてしまったため,例会
自体の時間も短く議論が様々な方向に発展することもありませんでした。し
かしその反面,フランス語のみで行う授業に対する不安やそれにどう対処す
べきかといった方法論など,これからフランス語だけで授業を行おうとしてい
る人,或いは既に行っている人にとって参考とすべきものがたくさん詰まっ
た,とても密度の濃い話し合いになったのではないでしょうか。
フランス語のみで授業を行うと,日本語で行うよりも明らかに教師から学習
者へ伝達できる情報量が限られてしまい,決して効率のいいものとはならな
いかもしれません。しかし,フランス語に触れる機会をできる限り多くつくって
自然な応答を身に付けたり,学習者の「フランス語が聞き取れた / 伝わっ
た!」という自己肯定感を引き出すためには,この授業スタイルが最適である
のは間違いありません。
高等学校での英語の授業の使用言語が原則として英語となり,小・中学
校にも同じ原則が適応されようとしている昨今に於いて,本例会報告が少し
でも「外国語のみを使用言語とした授業」の実現のお役に立てば幸いで
す。

(T.M.)



***************************************
PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka-web.sakura.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
***************************************

◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
  のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html 
  このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU