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NO.142

 

 

 

「学習者を教室外で どう/どこまで サポートするか ?」

15/12/2013

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.142
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
日時 : 12月21日(土) 14:30 〜 17:30
場所 : 明治大学駿河台校舎 研究棟3階 第10会議室
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。
第10会議室は連絡通路を出てすぐの階段を降りた左手にあります。)

(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
キャンパスガイドは以下の通りです。
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◇12月の例会 テーマは「学習者を教室外で どう/どこまで サポートするか ?」です

 教師が常勤として勤務していれば,学習者はいつでも教師のもとを訪ねることができます。しかし,
非常勤の場合はそうはいかず,授業中を除けば教師と学習者は授業前(後)という限られた時間でしか交
流ができません。しかしそうした時間こそが,教師が学習者の悩みや理解が不十分な点を把握すること
が出来る絶好の機会なのです。
そこで例会では,皆さんが日頃から学習者とどの様に教室の内外でインタラクションを取っているの
か,アイデアを持ち寄り話し合いましょう。また,例会の後半では論集EDFJの次号の執筆担当者分担
などについても話し合う予定です。そして例会の終了後には...忘年会もあります!
多くの皆さんのご参加をお待ちしております。

 

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■■■【2013/10/19 例会報告】━━━━━━━━━━━━━━

 今年度第四回の例会のテーマは,「ACTIFな授業」の第二回目でした。

* * *
「グループワークについて」

○悩み
-学生の頃にグループワークをやった経験が少なかったため,抵抗感を感じてしまう。
-グループワークをやったフリをして,残り時間で遊んでしまう学習者がいる。
-グループワークは費やした時間に対する結果が出にくい。
-グループワークを上手く進めることに専念してしまい,肝心のフランス語の指導に集中できない。
→例えば,学習項目を100用意するより,厳選した10を確実に教えるという姿勢で臨むと気が楽にな
る。
-学習者が目の前の作業に集中して教師の方を向かないなか,どのようにして教室の雰囲気をコントロ
ールしたらよいか。
-「良い成績をとろう!単位をとろう!」という学生の真面目な気持ちが,かえってグループワークのアクティ
ヴさを阻害しているのではないか。

○活用法
-文章中の難しい単語を調べる際に,本来は一人で単語を調べるのが理想的だが,グループで分担する
と労力が少なくて済む。特に,初学者に知識があまりないのは当然なので,一人で全てを解決しようと
せずに皆で補い合うという関係を築けたら理想的。
-教室巡回で学習者がどこを理解していないかがわかり,補足で説明すべき事柄がわかる。

○実施上の留意点
-リーダー・書記・タイムキーパー等,毎回の様に役割を持ち回り制にしないと,喋りたがる学習者だけ
が延々と喋ってしまう。
-教師自身が学習者として過去に行ってきた,「教師から内容や方法を一方的に任せられたグループ
ワーク」の良くない点を分析して改善しないと,いつまで経っても進歩がない。

* * *
「アクティヴな授業について」

○悩み
-リラックスした雰囲気があって初めてアクティヴな授業が成立すると言う人もいるが,試験範囲を漏れ
無く確実に覚えたい日本人学生にはその様な雰囲気は合わないのではないか。
→確かに,勉強に対する多少の強制力が無いと学生は勉強しない。
-アクティヴさを求めるあまり文法演習・訳読法とは正反対のコミュニケーション中心の授業に転換して
しまうと,文法事項にかける時間が減ってしまい,結果として新聞記事や硬派な文を読めるレヴェルに
達しづらくなってしまう。
→「アクティヴ」というのは「活気がある」ということで,「喋っていればいい」というわけでもない。
必ずしもコミュニケーション中心の授業でなくても「アクティヴ」な授業は成立する。

○授業例
-高校や大学にフランス人の留学生が来たら授業に連れて来て,学習者に質問攻めにさせる,或いは
フランス人から質問攻めにさせている。また,課題として「近所のフランス人と会話し,内容を文章にし
て提出」というものを課している。こうするとフランス語を使っている実感が湧き,且つ教科書や辞典に
載っていないような,現実に則した表現を試す機会となる。(eg. Amazonで○○を買った。)
→日本人教師がフランス語を教えていても,学習者の中には教師が教えるフランス語が本当にフラ
ンス人に通じるか,懐疑的に思う者もいる。そういう者にとっては学んだ事柄を実践する機会は非常に
大切である。
-学習者に当該の学期の学習事項(単語,表現 etc.)を盛り込んだビンゴを作らせている。まとめのアク
ティヴィテとして活用でき,「もしかしたら自分が授業をつくっているのかもしれない...。」という責任感を
持たせることもできる。初めはモデル提示として教師がビンゴを用意し,次の回から学習者用意させて
いる。慣れてきたら更に派生させて,学習者に試験問題を作らせることも考えている。要は,遊びを遊
びと感じさせない工夫が大切である。
-毎回5つの文を覚えて,その内の2つを書く小テストを実施。とにかく発音して覚え,文法は表現を覚
えた後,自分で文を作る時に必要な事項として学ぶ。(芸術系専攻で実際にフランス留学を考えている
学生にとって有効な学び方として機能している。)
-その日の授業であつかった表現を用いた質問シートを配布。隣の学生同士,または歩き回って質問し,
シートを埋める。

* * *

 以上のように,グループワークを始めとしたアクティヴな授業の実践例や,各々の悩みを解決するた
めの活発な議論が成されました。グループワークは確かに今日の語学教育の現場に頻繁に登場しま
すが,上手に活用するのは難しいものです。加えて,教師自身の過去の経験からグループワークに有
用性を見出すことができないというのも,グループワークだけに留まらず,様々な教室活動に対して多
くの教師が考えている悩みでしょう。
また「アクティヴな授業」といっても,それが学習者の活発な発言によって教室の雰囲気が賑やかに
なっている授業なのか,それとも学習者が様々な形で主体的に教室活動に参加している授業なのか,
色々な捉え方があるでしょう。いずれにせよ,「アクティヴな授業」の実現の為には教師のanimateurや
organisateurといった一面の力量が試されることは間違いありません。
学習者だけではなく,教師にもまた創意工夫が求められる─当たり前のことではありますが,日々の
授業で忘れつつあることを改めて認識できた例会でした。

(K.U., T.T., T.M.)



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