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NO.135

 

 

 

「読む活動について」

11/10/2012

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.135
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:10月20日(土)14:30〜17:30
場所: 明治大学 駿河台キャンパス 研究棟2階 第8会議室
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡ってください。)
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
キャンパスガイドは以下の通りです。
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◆<10月のテーマは「読む活動について」>

「フランス語の授業でテキストを読む」となると、教師はついつい自分たちの
経験から文法訳読法を採用してしまいがちですが、目的やテキストのタイプに
よって様々な読む活動を工夫できるのではないでしょうか。みなさんがテキス
トを読む際に実施している活動のアイデアを持ち寄り、例会で話し合いましょ
う。
例会後半では、論集EDFJの今後の編集体制についても話し合う予定です。
多くの皆さんのご参加をお待ちしています。

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■□■ 2012年度例会日程 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
以下のとおりです。メモをお願いします。

2012年4月21日、6月16日、9月15日、10月20日、12月15日
2013年2月16日
いずれも(土)14:30〜17:30
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

■■■【2012/9/15例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━

20名強の参加者のみなさんが集まり、大盛況でした。
今回のテーマは「Perspective actionnelleに基づいた授業活動とは」で、
小松祐子さんと茂木良治さんがanimateursとして問題を提起し、全体で
ヨーロッパ共通参照枠(CECR)により提唱された行動中心主義(Perspective
actionnelle、以下PA)について検討した。

■例会前半は、小松さんを中心にフランスで最近出版された教科書におけるPA
の学習活動について検討した。
まず、参加者2〜3名のグループに分かれ、フランスで出版された4種類の教
科書のコピーが配布された。この時点で、教科書の名前と発行年は伏せてあっ
た。これらの教科書を参照して、PAをもとにデザインされているか、それとも
従来のコミュニカティブアプローチ(Approche communicative、以下AC)をも
とにデザインされているかをグループで検討した。

今回、取り上げられた教科書は以下の4つであった。
1.SCENARIO (Hachette, 2008)
2.LE NOUVEAU TAXI (Hachette, 2008)
3.ACCORD ! (Didier, 2000)
4.MOBILE (Didier, 2012)

グループで検討した後、全体で議論した。その結果、CECRで提案されているPA
の定義に当てはまる活動とはどのようなものか、参加者からさまざまな意見が
出された。以下に列挙する。

・日常生活における具体的な行動の実現に向かっている活動を含む場合はPA
の考えに当てはまる。
・他の人の役を演じるロールプレーのような活動はPAではなく、AC的な活動
である。
・自分自身が社会的な存在となって行動する場合はPA的な活動に当てはまる。
・PA的な活動では学生が表現するものは自由度をもっている。
・A1レベルの初期段階であると、PA的な活動として設定されていると予想でき
るものであっても、単なる語彙の置き換えなどexerciceに近い活動になってし
まうため、PA的な活動であるとみなすのが難しい。(実際、参加者内で判断が
分かれた。)
・ダイアログなどモデルを提示する場合、学習者がただマネをすることを促し
てしまうためPAとみなすことができないのでは?
→ 初級の学習者に対してモデルを提示しないと、何もできなくなってしまうの
で、モデルは必要である。PAで問題になるのは最終的に具体的な行動の実現に
向かっている活動を含むかである。
・教室内でのPAに基づいた学習活動は実社会をバーチャルに置き換えて行うこ
とになるのでは?
→ 教室での学習者間のやり取りも社会的でauthentiqueなものであるとみなす
ことができるので、このような活動はPAに基づいたものになりうる。

以上のようにPA的な学習活動とは何かという議論をしたのちに、小松さんより
PAの理論の確認とPAが提案されてからの教科書の動向について報告があった。

LE FRANCAIS DANS LE MONDEのPA特集号でRosen(2009)が提案しているPAと
ACの相違について解説があった。
・ACとPAどちらもタスク中心教授法を採用するが、推奨する学習活動に相違
がある。
・ACではロールプレーやシミュレーションであるのに対し、PAはプロジェクト
学習を推奨する。
・また、ACは学習者中心主義と個人の自律性を強調するのに対し、PAはグルー
プ中心主義を強調し、連帯的で責任感があり、批判的で自律的な個人の養成を
目指している。

また、小松さんの調査によると、2008年頃よりフランスで出版された教科書は
PAをもとにデザインされるようになってきている。また、この頃より
avant-proposで "actionnel"という語が頻繁に使用されるようになってきた。
PAをベースとしている教科書ではtache finaleとして各課で学習した課題を
総合し、実生活の行動に即した課題を提案する傾向がある。

■次に茂木良治さんを中心に、CECRに基づいた授業設計をした経験から、PAの中
心概念であるtacheについて検討した。
・フランス語二年目の学生(20名程度)を対象に、CECRのA1レベルの能力記
述文に基づいた学習活動を提示する授業を組み立てた。
・CECRのA1を満たす(「できない」というレベルから「教科書や辞書を使いな
がらならば出来る」・「教科書や辞書なしでも、すぐに簡単に出来る」というレ
ベルに引き上げる)ことを目標とする。
1.学期開始時にA1レベル自己評価表で学生が自分のレベルを3段階でチェック
した。
2.その能力記述をもとにデザインした学習活動を授業で実施。
3.学期終了時に再度、A1レベル自己評価表で自身のレベルをチェックした。

その結果、学生の自己評価は授業終了時に全体的上昇していた。また、授業で
記入を課した学習日誌によると、学生たちはフランス語を使えるようなってき
ていると実感していた。

CECRに基づいた授業実践を通して、茂木さんは以下のような留意点を述べた。
・CECRの定義するタスク(課題)を実施するためには、exerciceやactivite
が重要になる。タスクまでにexerciceやactiviteをどのようにつなげていく
かが課題になる。
・タスクの実施を評価することが難しい。文法的な誤りばかりにとらわれず、
意味的な面や、リスクを負って表現しようとしている態度なども評価するよう
に意識する必要がある。
・CECRのタスクの本来の定義(実生活に即した課題)にとらわれすぎず、教育
的なタスク(tache pedagogique communicative)もうまく取り入れていったほ
うがいい。

<全体の話し合いのまとめ>
‐ CECRは「何を教えたいのか?」ということの指標になるため、日本のコンテ
クストでも有効なツールといえるのではないか。
- Perspective actionnelleは外国語教育の方針を示したものであり、教育目
標を達成するためにこれまで提案された指導法・アプローチなどを組み合わせ
ながら実施していくものである。
‐ 学習者がクラスを終えるときに、どのようになって欲しいか教師として考え
ながら授業をデザインしていけば、自ずとPerspective actionnelleの考えと
一致していくのではないか。CECRはそれを明文化したものと考えていいのでは
ないか。
(R.M.)



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