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NO.132

 

 

 

「新年度への展望と課題−新たなる挑戦へ向けて−」

14/04/2012

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.132
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:4月21日(土)14:30〜17:30
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第1会議室
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。
第1会議室は通路をわたってすぐ、階段の左手です。)

(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
キャンパスガイドは以下の通りです。
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
*どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◆ 4月のテーマは、「新年度への展望と課題−新たなる挑戦へ向けて−」です。

新学期ということで、フランス語教育に携わる方々が、フランス語を教える際に新しくチ
ャレンジしている事や今年度の豊富などを発表し合いながら例会が進んでいくと思われます。
PEKAには、教師だけでなく、フランス語教育の勉強をしている、あるいはフランス語教育に
興味がある学部生、院生など、様々なタイプの参加者がいます。そんな方々の今年度の目標
や課題も発表していただけると、面白いかなと思います。たくさんの参加をお待ちしていま
す。

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■□■ 2012年度例会日程 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
以下のとおりです。メモをお願いします。

2012年4月21日、6月16日、9月15日、10月20日、12月15日
2013年2月16日
いずれも(土)14:30〜17:30
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

■■■【2012/2/18例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━
 2月のペカは、東京日仏学院106教室で行われました。この日は最高気温が5度という
極端に寒い日でしたが、晴れて日差しがある分何とか乗り切りました。寒いのにも関わらず
参加総数は20名で、教室が満員となる大盛況でした。ほぼ三分の一近い6名の方たちが初
めて参加してくれました。

例会のテーマ「語彙習得について」
前回の例会を引き継いで、語彙の学習を学生・生徒にどう提供するかについて話し合った。

「語彙を習得する」とはどういうことだろうか?
司会者から、以前鵜澤さんが語彙のアトリエを担当したとき(2010年9月18日の例会)、
中国の地名をできるだけ覚えるタスクをしたが、その結果、「発音が分からない→文字と音の
関係が分からない→覚えるのが難しい」という気づきを得た、という報告があった。

前回の例会報告と実験結果
前回松川さんが報告した語彙習得に関して、協力を得たサンプルも含めて、その実験の結
果をプリントにしたものが配布されたのち報告された。

語彙連想の実験:語彙を記憶する手段としてタンス(armoire)という単語を覚えるのに、
3つのグループを比較した。
Groupe syntagmatique -> armoire - ouvrir を一緒に覚える 
Groupe paradigmatique -> armoire - table を一緒に覚える
Groupe temoin -> armoireを含んだ例文を書き写しながら単純に暗記する

実験後、事後テストと2週間後に遅延テストを実施して、グループ間に差があったかどうか
を検証。
結果的には、有意な差はでなかった。その原因として、実験の参加者の数が少なすぎた事
が挙げられるが、それよりも、実験で使用された事後・遅延テストに問題がある。そもそも
単語テストは覚えるべき単語が覚えられたかどうかを評価するためのものであるが、前回の
例会でも問題になっていたように、armoireの日本語訳が言えれば、または書ければその語
彙は習得されたといえるのだろうか。
語彙を学ぶ・教えることについて、松川さんからとくに決まった定義はないとの説明があっ
た。というのは、Nation (2001)の研究によると、「ある語を知っている」とは、18の構成要
素から成っており、「armoire‐タンス」というような「1対1(仏−日)」の知識も語彙連想
の知識も、その18の中に含まれている。
この「1対1(仏−日)」の問題から出発し、例会参加者の語彙学習・教育の体験談などを交
えながら例会が進んでいった。語彙を学んだり、授業の中で教えたりするとき、どのような
工夫ができるだろうか。

<語彙を学習するときの工夫>
ある参加者は、『フランス語を考える20章』(泉邦寿著 1978年 白水社)
と言う本を紹介してくれた。これは、フランス語の単語の意味についての専門書であり、全
てのフランス語学習者向けではないかもしれない。しかしこの本は、多くの例文を示しなが
ら、単語の意味の範疇を説明しているので、語彙についての理解が深まった。単語の日本語
訳を覚えるだけでなくこういった学習も有益ではないだろうか。
松川さんの研究発表の関連で、連想を利用する覚え方について、例えば、ordinateurとい
った具体的な単語はmachine avec une sourisといった分析的なアプローチが可能だが、こ
のようなParadigmatique的な覚え方は抽象的な単語になると覚えるのか難しいとの意見が
あった。
学生時代の話だが、単語帳を使って単語を覚えてもあまり効果的でないと感じ、その代わり
短い文章で覚えることにした。この意見に関して、ある参加者は、単語帳を利用して学習し、
仏検2級までは合格した。その後、フランスに留学し、日本語を介さないで覚えることを経
験した。また大学の授業で派生語を習ったことで語彙を増やすことにつながった、という意
見も出た。

<授業の中で、語彙を教えるときの工夫>
ある参加者は、フランス人に日本語を教えたときの体験を語ってくれた。中級の場合には学
習者にもある程度語彙力があるので単語の意味を示唆するのに多くの選択肢があり得るが、
初級の場合には逐語的に訳を示してしまうことがあるので、そこをどのようにするかを工夫
しなくてはならなかった、とのことだった。

-初級の授業を担当する際、学習者の知らない単語ばかり教科書に出てきた場合にはど
うすれば良いだろうか?
初心者には予習をしないように、またカタカナを振らないように言っている。 何故かと言う
と、予習をして授業に来た場合には独りよがりな発音をしてしまい、間違った発音を覚えて
しまう可能性があるし、カタカナを振ると、フランス語のリズムを無視して覚えてしまう危
険性もある。大学では1年次から訳読中心に学習が進められる傾向があるが、フランス語の
授業をフランス語でやるというスタイルにして、何度も単語、表現、会話、を繰り返し練習
してもらう。日本語訳をすることは、フランス語を学習することにはならず、さらにフラン
ス語の単語だけでなく、その日本語訳まで覚えなければならないので効率が悪い。
授業の中で覚えた単語を忘れてしまうのはごく普通なこと。でも忘れてしまっても気にせず、
何度も繰り返してフランス語を使って行くようにしている、とのことであった。
単語を覚えるには発音が分らないと覚えられないから、綴り字との関連に気づかせながら繰
り返し発音練習をする。その際、例えばゲーム形式にして、知っている単語を順に発音して
行くのだが、必ず前の人の言った単語を繰り返したのち別の単語を言うことをルールにする。
これを繰り返して行くと、だんだん覚えられるようになるし、言えないものが出てきた場合
には他の生徒が助けることで授業の活性化にもつながる。

-フランス語をフランス語で教える授業で、Qu’est-ce que vous aimez ? といった抽
象的な事柄は、どのように教えれば良いのか?
CREDIFの訓練を受けたとき、抽象的なものは例文とシチュエーションを一緒に提示して教
えるように、と学んだ。また、具体的なものを教えるときは絵などを利用すれば良い。

<短い会話文の丸暗記、繰り返し>
単語を覚えるには、単語を見る回数や発音する頻度が高くなるほど効果が上がるので、と
にかく丸暗記をすること、そして素読(そどく。意味や理解は別にして、音読に徹すること)
が効果的なので、とにかく声に出して読むことに重点を置くのが良いのではないか。
また、短い会話文を丸暗記して、「単語を覚える」という目的だけではないやり方で覚えて
行くのが良い、という意見が出たあと、音で覚えることは大切であるが、第二外国語の場合
は時間が少ないので、効率よくやることが必要になる。またその際にはどういう教材を選ぶ
のか、というのも重要な要素になるので、同じ単語が繰り返し出てくるような教科書を使う
と良いのではないか。
また、授業を運営するときはその課を全部終えるのではなく、復習を次の時間にしながら
すすむ工夫をし、前に学習したことに似た表現が出てきたら、その度に言及すれば身に付き
やすくなるのではないか、という意見があった。
映画や短い映像を使って一度学んだ単語を見つける、という方法も良いではないかという
意見もあった。これは単語にふれる頻度を増やすことにもなるので、これも効果的ではない
だろうか。

<フランス語が優秀なレベルに達してしまっている学習者への指導>
帰国子女クラスの高校生でDELF /DALFをすべてクリアしている生徒を担当する
ことになっているが、その場合にはどう対処すれば良いのだろうか?
大人の話題、例えば政治や経済などの問題を入れてみたり、何かprojetを実現するような授
業にしてみるのも良いのではないだろうか。また、語学力は高くても、全てにおいて知識・
語彙があるわけではないので、専門性のある内容のものを学習することもできるだろう。例
えば、科学のある事柄について教師に分かるように説明させる、というのも良いかもしれな
い。そうすれば、その生徒の語彙の幅も広がるだろう。

<教育実習に向けて>
教育実習の準備をしている学部生からは、単語を印象付けて覚えさせたり、また綴りと音
を対応させて覚えさせたりする良いアイデアはないだろうか、という質問が出た。これに対
して、Bingoゲームやカルタ、スクラブル(単語を作成して得点を競うボードゲーム)など
のゲームが意見として出された。競争心を駆り立てるので、それ自体が印象付けになって記
憶に残りやすくなるのではないだろうか。また、綴りと音を対応させて覚えさせるには、

●Tell me more (フランス語学習ソフト)の中にあるクロスワード・パズル(単語の音を
聞いて、その綴りを書く練習)
●日本で使われているフランス語の職業名(例:パティシエ)など、既に知っているものを
挙げていき、後から綴り字を書かせてみる。またその際、発音矯正もする。
●自己紹介の表現など、前に口頭で言わせたものを後から文字で見せて、観察させる。そう
することで、発音の仕組みの分析と発見につながる。

など、音をまず学習してから、綴りに対応させるような指導が提案された。

<まとめ>
フランス語の単語を覚えるときは、個々の単語を日本語訳で学習しがちかもしれないが、
基本的な例文を丸暗記できるように繰り返し練習したり、使ったりすることも、効果的では
ないだろうか。また授業内では、ゲームをやってみるなど、教師側の工夫も必要になってく
る。しかし、「そもそもそんなに単語を増やす必要があるだろうか」という問題提起が改めて
なされた。それに対して、試験などで必要になってくるので、ある程度の単語量がないと対
応できないとの説明があった。だが一方で、それよりも少ない単語量でも使えるようにする
事が大切ではないだろうか、といった意見もあった。この点は、更に議論すべき問題として
面白かったのだが、残念ながら例会終了の時間となってしまった。今回の例会では、様々な
意見交換がなされた。何らかの結論と言うよりは、語彙学習について考える材料がいかに多
いか、という点に気づかされたように思う。(Y.M., J.N.)



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