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NO.131

 

 

 

「語彙をどのように学ぶ/教えるか?」

12/02/2012

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.131
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:2月18日(土)15:30〜18:30
* いつもより一時間遅くのスタートですので開始時間にご注意ください
場所: 東京日仏学院 106教室
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◆ 2月テーマは、「語彙をどのように学ぶ/教えるか?」です。12月の松川雄哉さんの
発表「語彙連想は第二言語語彙学習に効果的か?」から発展した形で、実際の教育現場で
の語彙学習について意見交換します。あらゆる教育現場で働く先生方が、実際どのように
語彙を教えているのか?また、効果的な学習方法は本当にあるのか?あるとしたらそれは
何かなど、教える立場としても、学ぶ立場としても、とても興味深いテーマです!

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■□■ 2012年度例会日程 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
以下のとおりです。メモをお願いします。

2012年4月21日、6月16日、9月15日、10月20日、12月15日
2013年2月16日
いずれも(土)14:30〜17:30
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

■■■【2011/12/3例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━
12月のペカは、現在カナダ、ケベック州のラヴァル大学博士課程で「語彙習得」につい
て研究中の松川雄哉さんの「語彙連想は第二言語語彙学習に効果的か?」というタイトル
でのお話でした。松川さんは、カナダで研究の方法論までを完成させ、現在、日本人学習
者を対象とした実験のために一時帰国されています。参加者数は13名で、例会の大半が
この発表と参加者からの意見交換に費やされ、「語彙習得」が一筋縄ではいかない大きなテ
ーマなのだということがよくわかる有意義な時間となりました。

今回の例会では結果的に以下の3点についての意見交換が行われました。
1.語彙習得 についての松川さんの発表
2.SJDF会報原稿確認
3.EDFJ について
以下、順に報告します。

<語彙習得についての松川さんの発表>
まず、本題の発表に入る前に、参加者全員が「語彙連想」についてのテストをしました。
それは、「語彙学習に語彙連想を用いることはできないか?」という松川さんの発表の本
題につながるものです。松川さんの論文の詳しい内容は、論集EDFJに掲載される予定
です。
今回の発表では、検証の段階であることから、研究の方法論から実験へと移行する過程で
試行錯誤している様子がよくわかりました。この研究の成果が実際の『語彙習得』に活か
せるときが来るのがとても楽しみです!
以下、ご本人にまとめていただいた発表内容を紹介します。

発表者の研究目的は、L2語彙学習に語彙連想を利用することである。さらに、発表者の実
験では、心理学の記憶の分野で研究されている語彙の「検索(=RECUPERATION、発表内
では「語彙の取り戻し」という訳を用いた)」に語彙連想を用いている。語彙の「検索」と
は、一度記憶した単語をあるヒントを頼りに思い出す(取り戻す)こと(Anderson, 2009)
で、それをすることによって記憶が強くなる(Baddeley, 1990)ことである。
発表者の検討課題は、(1)語彙連想をヒントに目標語を思い出す(取り戻す)ことで、目
標語が記憶に残りやすくなるか、(2)語彙連想研究におけるシンタグマティック連想とパ
ラディグマティック連想とでは、どちらが語彙の取り戻しに有益か、である。

<仮実験の方法と検証について>
実験には、3つのグループ(実験グループが二つ、統制グループが一つ)がある。シンタ
グマティックな連想で単語を覚えてもらう実験グループ(以下GS)、
パラディグマティックな連想で単語を覚えてもらうもう一つの実験グループ(以下GP)、
それから、目標語の例文を書き写してもらう統制グループ(以下GT)である。
実験は3週に渡って行われる。

○1週目
事前テストとして、18個の単語(その中から15個をランダムに選んで、1週間後の実験の
中で覚えてもらう)それぞれに関して、
「I. 知っている」
「II. 見たことがある」
「III.知っている」
の3段階でチェックしてもらう。尚、IIかIIIにチェックを入れた場合は、その単語の意味
を書いてもらう。

○2週目(事前テストから1週間後)
15個のフランス語の単語(以下、目標語)を学んでもらう。
まず、実験グループにも統制グループにも、15個の目標語と日本語訳が書いてある単語リ
スト(Liste de mots bilingue)を提示し、発音を聞いてもらう。
次に実験グループ(GSとGP)には、目標語とそれと連想関係にあるまた別の語をペアで
覚えてもらう。ちなみに「連想関係にあるまた別の語」にはできるだけ基本的な単語を選
択した。目標語" Armoire "を例に挙げると、
GSの場合、"Ouvrir "と一緒に覚えてもらう。同様に、GPは 下位語同士である " Table "と
一緒に覚えてもらう。
次のステップでは、「連想関係にあるまた別の語」から、目標語のスペルとその日本語訳
を思い出す作業をしてもらう。
上記の例で言うと、GSの場合、" Ouvrir "から、またGPの場合、"Table "から" Armoire "
を思い出してもらう。
これが、RECUPERATION DES MOTS(語彙の取り戻し)である。この作業の後、解答を見
ながら答えを確認する。
一方、統制グループは、単語リスト(Liste de mots bilingue)の後で、目標語一つ
につき一つの例文(計15)を書き移してもらう。
最後に、単語をどのくらい覚えられたかを見るために、実験グループも統制グループも二
つのテストを受けてもらう。一つ目は、日本語で書かれた目標語をフランス語に訳すテス
ト(タンス→Armoire)である。そして二つ目は、フランス語を日本語に訳すテスト
(Armoire→タンス)である。

○3週目(目標語を学んでから2週間後)
2週間前と全く同じ形式のテストをする。

例会では、この実験方法に関するコメントや問題点の指摘があった。
<参加者からの意見>
-単語の記憶、または、単語の習得確認のテストで、日本語を介在させる必要があるのか?
-テスト時にRECEPTIF(フランス語→日本語)の点数が高いのは、日本語が母語の場合
は普通?(実験の効果であるとはいえない?)
-実験のプロセスに、連想とRECUPERATIONが混ざっていると、何の効果なのかが見え
にくいのでは?
-統制グループの方には中間にチェックする機会がないけれど、それでよいのか?
→統制グループは比較のためのものなので、効果に差があるかないかのみ見えればよい。
-統制グループの「例文」には訳はなし?
→それなら例文を1回書きうつすよりは、単語のみ書き写しの方がよい?
-実験を行った2つの大学で結果がちがうのには??
-専門課程と、第二外国語の履修者では、発音のしかたの知識に差があるため、と考えら
れる。
-学習者の学習スタイルによってもassociation syntagmatique/paradigmatique
のどちらが合っているか、というのも記憶に関係あるということも考慮にいれては?
-まずは、日本人の連想のスタイルがassociation syntagmatique/paradigmatique
のどちらなのかを割り出す必要がある。
-テストの仕方は? 例えば、ouvrir から armoire を連想するという以外にないか?
-統制グループの単語提示時に訳をつけてしまうと、それも「連想」になってしまうので
は?
etc

<SJDF会報原稿確認>
SJDFの会報に掲載の原稿の内容について話し合いが行われた。

<EDFJ について>
次号のEDFJ発行にあたって、今年度は例会の形体なども変化したので、
例会報告の内容と執筆担当者、査読者についての話し合いが行われた。
(M.K)



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