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NO.127

 

 

<文学作品を授業にどのように取り入れているか(つづき)>

<発音教材の量的分析>

06/06/2011

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.127
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

日時:6月18日(土)14:30〜17:30
場所:こどもみらい塾
(〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-13-8 第5伊藤ビル2F)
地図参照 http://www.kodomomirai.co.jp/access/
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

◆「文学作品を授業にどのように取り入れているか 〜つづき」
授業で文学作品を使っている方は自由に発表してください。(使用しているプリ
ントをお持ちください)
後半は、井上美穂さんが「発音教材の量的分析」について発表し
てくださいます。

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■□■ 2011年度例会日程 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
以下のとおりです。メモをお願いします。

4月16日、6月18日、9月17日、10月22日、12月3日、2月18日
いずれも(土)14:30〜17:30
場所については、例会ごとに案内をご確認ください。

■■■【2011/4/16例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━
例会のテーマは 「文学作品を授業にどのように取り入れているか」でした。今
回は、特に担当者を決めずに、授業で文学作品を使用している会員がそれぞれ
発表する、という形式で例会を行いました。発表したのは西川葉澄さん、中野
茂さん、高瀬智子さん、飯田良子の四人でした。これらの方々から以下の報告
をいただきました。

【文学演習の授業:西川葉澄さん】
使用テクスト「椿姫」(アレクサンドル・デュマ・フィス):
-メロドラマ的恋愛小説で、ファッションの描写、恋愛の成り立ちの描写、会話
などが多く、女子学生が感情移入して読解できるだろうと思われるため。
-登場人物の描写、各山場から厳選した個所を全体把握するために、プリント教
材を用いてスキミング、スキャニング練習をした。
-プリント教材の設問は、現代生活にリンクできるような語彙を使い、19世紀
の場面をなるだけ身近に感じられるよう工夫した。
-場面の理解では、やみくもに訳したが結局全体的によくわからないというよう
なことにならないように訳読ではなく絵を描かせて、登場人物の位置や行動を
把握させ(思わずとった相手の手に自分の涙が不本意にもこぼれ落ちてしまう
ような位置はどれくらい近いかなど)、具体的な理解に持っていくようにした。
-人物描写も想像力を使って総合理解に導くために、ファッションや顔立ちなど
を図にさせ、学生が文字から具体的なイメージに持っていけるよう訓練した。
イメージが豊かになるように映像や画像も使用した。
-その際単語力が圧倒的に低いので、基本単語を覚えてもらうために、単語リス
トの作成を促し、学習方法も併せて教えるような工夫をしたが、文献演習と並
行して学習ストラテジーを教えるのは時間を取られ、ひとつの学習テクニック
の継続的確認は実際には難しい。

【文学作品をよむ:中野茂さん】
-作品に親しんでもらうために、最初の授業で物語のストーリーを部分的に紹介
し、その後の展開を予測してもらう。「もしあなたがこの場面における***と
同じ状況なら、どうしますか?」という問いを投げかけ、グループで話し合っ
てもらう。その答えをまず日本語で発表してもらい、次にキーワードをフラン
ス語で紹介してもらう。そこであげられたフランス語の単語を教員が黒板に整
理しながらまとめる(マッピング)。2回目の授業で実際にテキストを読み、キ
ーワードを見ながら予測した筋があたっていたかどうかを確認する。
-2回目の授業の前日までに日本語訳と訳作成の際に苦しんだ箇所を書き出き
だしてもらい、メールか大学のサーヴィス(課題管理が便利)を使い提出して
もらう。当日添削した訳を返却する。授業は学生がつまずいた点を中心に、ど
うしたら彼らが独力で読めるようになるかという問題解決型の授業を行う(構
文の取り方のコツ、語彙を増やすコツ、熟語を見抜くコツ・・・)。フランス語
で物語の続きを書いてもらい、それを発表してもらい、教師が添削する。最後
に、作品が書かれた当時の社会的文脈や、作品が当時の社会に与えたインパク
ト、さらには文学史上の意義について簡単に解説する。

【外国文学の授業:高瀬智子さん】
-大学の農学部の学生1〜4年生向けに設置された「外国文学」という科目で、
フランス語を専門としない学生を対象に、半年間、各回に1つずつフランス語
圏の文学作品を味わい、フランス語に親しむことを目的とする授業をおこなっ
ている。例会では、その1例としてラシーヌの『フェードル』の回を扱った。
作者についての情報や、劇の登場人物の相関図等の資料のほかに、この劇の終
盤、テラメーヌという老従僕が王子イポリットの死の場面を「語る」、フランス
古典劇の名場面を味わう前に、人の五感に訴える表現について考えてもらうた
めに用意された教室活動を提供する、などのアイディア(カードに書かれた身
近なもの:お好み焼き、チョコレート、スイカ、ビールなどをテーマにグルー
プごとに10行以内の詩を作成してもらい、次に各グループが発表した詩に隠
されたテーマを皆で当てるという単純なゲーム)を紹介した。文学作品のフラ
ンス語そのものを扱うタイプの授業ではないが、ここでは日本語で行っている
教室活動の内容を、フランス語学習者対象の授業では、フランス語で行うこと
も可能ではないだろうか。何かの応用の参考になれば、と思う。

【文学のテクストを語学の学習に使用する:飯田良子さん】
1. Le chat et le soleil (Maurice CAREME) : これは子どものための短い詩です。
フランス語の読み方の基礎を少し学習した初心者の授業で使用します。「意味は
分からなくても良いから読んでみよう」と指示を出し、それまでに学習した文
字の読み方を思い出しながら、発音しない文字を線で消したり、音節を区切る
などして読みます。詩なので「各行の音節の数が同じになる」「韻を踏んでいる」
など、初心者にも分かりやすい手がかりがあるので面白いように読むことがで
きます。自由に音読できるようになってから詩の意味を教えます。
2. Le Grand Meaulnes (Alain FOURNIER) : 作品冒頭の一ページを使い「建
物と敷地の描写を読み、理解したことを絵に描いてみよう」という指示を出し
ます。グループで作業をしてもらい、完成した絵はボードに写し、どの絵がテ
クストに一番近いかを全員で検討します。それぞれの単語は理解しているが、
全体を映像としてイメージできない学生に、そのことを気づかせるのによい
ACTIVITEです。
3. Le silence de la mer (VERCORS) : ドイツ人将校が語り手の家にやって来
る場面を使います。テクストを読み、グループに分かれて、それぞれの人物の
動きをす演じてみます。過去の時制(単純過去、半過去、大過去)の違い、使い
分けを感じ取ることを試みます。
4. Jacques PREVERTの詩 : この詩のタイトル、L’ELEVEの名とL’ELEVE
かI AM… と、言う部分を伏せておきます。何回か音読してそれらを探しま
す。「クイズ」があると学生は集中します。答えを見つけた後で、この詩の言葉
遊びやユーモアにつて考えます。(例会で配布したプリントをおもちの方へ解
答:タイトル-> L’accent grave / L’ELEVEの名->Hamlet)
文学作品は、その内容の学習に多く使用されているようですが、丁寧に書かれ
ているのでフランス語の学習の教材としても最適です。

(R.I.)

■□■ 会計報告 (2010) ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
2010年の会計収支は以下のとおりです。2011/1/1時点での残金は¥828,128
です。(会計担当:鵜澤恵子)

収入の部
前年度繰越金 ¥814,875-
カンパ    ¥ 19,300-
銀行利息   ¥ 253-
計   ¥834,428-

支出の部
HPサイト使用料 ¥ 6,300-
次年度繰越金   ¥828,128-
計   ¥834,428-

■□■ カンパのお願い ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

4月の例会で、PEKAの財政についての報告と話し合いが行われました。
PEKAは、多くの方々に開かれた場、自由な交歓の場でありたいという考えか
ら、会費の徴収を行っていません。運営は、関係者の労力とカンパ、関係機関
の援助とでなりたっています。
1)発足時より現在までの収入
例会時の参加者からのカンパ、郵便振替口座へのカンパ、また、「フランス語教
育セミナー」の講師謝金よりのカンパがありました。また、中川さんのご遺族
よりの寄付がありました。EDFJの出版については、その経費の大部分をフラ
ンス大使館より援助して頂きました。会場は、多くの場合、各教育機関や出版
社の施設を無料で使用させて頂きました。援助、ご協力くださった皆様には、
この機会に、心より御礼申し上げます。

2)発足時より現在までの支出
当初はNLを郵送していましたので、それにかかる費用(切手、封筒等)が発
生していましたが、この経費を削減するため、現在ではメルマガ(無料)によ
る配信をしています。一方で、PEKAのHPのサイト料を払っています。不定
期な支出として、EDFJ出版経費の持ち出し分、有料の会場を使用したときの
会場費、外部の方に講師をお願いしたときのお礼があります。

3)今後について
「セミナー」は、2006年より学会の事業「国内スタージュ」となり、講師謝金
からのカンパはあまり期待できなくなりました。大使館のEDFJ出版への援助
は、 2010年(19号)をもって終了致しました。
例会での話し合いでは、今後もEDFJの出版を継続していきたいという意見
が多かったのですが、現在のPEKAの支出としては、これが多く(約¥200,000)
を占めます。また、今後やむを得ず会場費がかかる場合も考えられます。そこ
で、現在のところ口座残高は多いように見えますが、数年後の事を考えると、
今から多くの方々にカンパを呼びかけようという事になりました。皆様のご協
力を、どうぞよろしくお願い致します。(口座は、NL上部をご参照ください。
また、例会でも受け付けています。)(会計担当:鵜澤恵子)


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配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka.cool.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
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