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NO.122

 

<語彙の学習>

06/09/2010

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.122
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

<積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度>

 語彙の学習に関して、教師の間では「覚えてきてください、と言ってもあまり覚えてくれ
ないんですよね。」といったことが良く聞かれます。一方、学習者からは「覚えようと思っ
たのですが、覚えられませんでした。」と言われます。語彙を増やそうとしたら覚えようと
するしかないのでしょうか。どのようにすれば覚えられるのでしょうか。
 9月の例会では、語彙を増やす方法を皆さんと考えてみたいと思います。語彙の学習に
関して日頃考えていること、成功例、失敗例を整理してご参加ください。(鵜澤恵子)

日時:9月18日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5 JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【2010/6/19例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度
〜井上美穂さん

今回の例会は、井上さんがハンドアウトをもとに説明し、それに対して参加者が質問した
り意見を述べたりするという形式で行われました。

1. 前提となる考え
井上さんは学生との関わりのなかで、次のように考えました。
「積極的にコミュニケーションを図ろうとしない学生が多いのは何故だろう。今までの学
習環境・家庭環境によって培われた習慣によるものだ。この習慣は、語学学習にとっては
不適切ではあるが、完全にこれを変えるのは難しい。でも、できる範囲で何かをしたい。」

2. 授業における「範囲」
この思いから、以下のように、学生の習慣に起因する問題点を設定し、何ができるかを考
えました。
1) コミュニケーションをしたいという気持ちがない。->コミュニケーションが必要な状
況を設定して、充実感を味わってもらう。
2) 相手に伝えるべき内容を持っていない。->部分的に知識を提供し、それに自分の考え
をプラスしてもらう。
3) 特に二外の授業では、口頭のコミュニケーションは難しい。->ネット上の筆記による
コミュニケーション。
4) 正解でないと答えない。->正解がない問題を考える。
5) 教員対学生という隔たりがある。->若者に支持されるコミュニケーションツールであ
るメールのようなやりとりができないか。

3. 実践(番号は上記に対応しています。)
教材や学生の提出物とともに、上記の点に対応する具体例が挙げられました。 
2)仏検インタビューの個人指導。新聞記事を読んでからインタビューを行う。学生は、
書いたものを準備し、それを見ながら話す。毎回インタビューを録音しているが、段々と
学生の話す時間が長くなっている。
3)TF1がネット上に発信している記事を読み、それに学生ひとり一人がコメントする。
井上さんはコメントのフランス語を添削してからネット上にアップする。ネット上でのリ
アクションがあるのではないかという思いがモチベーションにつながるようだ。学生それ
ぞれに添削ポイントを日本語で説明し返却する。
4)指定教材のDVDを見ながら途中で止める。井上さんの口頭での質問(仏語)に対し、
学生は各自答えをCALLの電子テープレコーダーに録音。これを回収し、次週にコメントを
筆記で返す。前もって、「DVDの内容に関する正解ではなく、その状況での皆さんの対応を
聞きたい。」と説明しておく。それぞれが自分のできる範囲で考えを述べている。
5)二外でのフランス文化の授業で。CALLの教材配布・回収のシステム(エクセル)を利
用してメールのやりとりに類似したコミュニケーションを行う。各学生がエクセルにメッ
セージ(その日のテーマについての感想など)を書き込み、それを回収してコメントを記
入し、次週に配布する。学生のコメントには未熟な部分もあるが、真っ向から反対せずに
暗に促す。学習のしかたにコメントする事もある。このやりとりは日本語で行う。今まで
よりも学生との関係が良くなり、指したり答えたりがお互いに楽になったように思われる。
学生の考えがわかると、それを授業に反映させる事ができる。

4. 質問や意見
井上さんの実践報告に対し、参加者が発言しました。(番号は上記に対応。->後は質問に
対する井上さんの回答。)
2)仏検受験を目標とする学生に頼まれて個人的に対応しているということだが、このよ
うな学生の人数が増えた場合でもひとり一人に対応するのか?->できる限り対応する。
3)「口頭コミュニケーションは難しい」というところから出発しているが、「書く」こと
はコミュニケーションなのか?->自分の意見を言おうとしているのでコミュニケーション
と捉えることができる。自分の意見に対してネット上でのリアクションの可能性もある。
授業でやったことをきっかけとして、自分で実際にやってみる人がいるかもしれない。参
加者からも、「書く」コミュニケーションもあるとの意見が出た。(メール、手紙、新聞記
事や文学作品でも。)/ 自分で書いた文が読めるのか?言語として成り立つのか?→確認し
ていないし、この授業ではそれを求めてはいない。
5)メッセージを書いてこない学生はいないのか?->何度か書いてこないことがあれば、
自分のほうからメッセージを出す。/メッセージの文章が硬い感じがする、関係に距離が感
じられるが...。->書いているので、そのような文章になるかもしれない。もっとくだけた
表現を使って書いてくる学生もいる。

最後に、授業でのコミュニケーションを円滑にするためにクラスにおける人間関係をどの
ように作るかという話し合いになりました。
- グループ分けのしかた :「引っ張る」人と「引っ張られる」人を組み合わせる。/ 「コ
ミュニケーションが苦手」な人同士をグループにして、教師が対応する。
- 学生の意見をひろって投げかける。(教師はcoordinateur, animateurの役割に徹する。)
- 学生がお互いに相手のフランス語を訂正するようにしむける。(教師が介入しない。)
また、「井上さんは学生ひとり一人に丁寧に対応しているが、仕事量としては膨大なものと
なる。もっと学生それぞれの学ぶ力、またお互いに学び合う力に期待してもいいのではな
いか。」という意見がありました。それに対しては、「そのような事はよく言われるが、こ
れは教員としての自分のスタイルなので変わらないと思う。」ということでした。
(k.u)


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