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NO.121

 

<積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度>

09/06/2010

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.121
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

<積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度>

 普通科高校の外国語科目「オーラルコミュニケーションI・オーラルコミュニケーショ ンII・英語I・英語II・リーディング・ライティング」に関し、各目標のすべてに共通に 含まれているのが、「積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育てる」という文 言です。これはつまり、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度が、高校生に少 ないということを表しています。その理由は、小学校から始まる学習習慣の積み重ねに原 因があると思われます。  大学フランス語の1年または半年という短い授業期間で、この学習習慣を完全に変える ことは不可能です。しかし、微々たるものであっても、教員としてできることはあるはず です。そしてそれが大学4年間のすべての授業で行われれば、積極的にコミュニケーショ ンを図ろうとする態度が芽生えるかもしれません。次回の例会では、司会者が今までに試 みた学習方法を紹介し、そのあと参加者の方々がご自分の授業でどのようなことが実践で きるかを全員で考えたいと思います。(井上美穂)

日時:4月10日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5 JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【2010/4/10例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<高等学校における英語教育>
〜馬場淳子さん

◇1. まずはクイズから
4月の例会は高等学校における英語教育について行われ、数値を含む詳しい資料が満載された例会となりました。高校の現状についてなじみのない者にとって大変ありがたい内容でした。その豊富な資料を、参加者の立場から理解できた範囲でこのニューズレターでお伝えします。より正確な例会内容については、2011年5月刊行予定のEDFJ no.20をご参照ください。
まず司会者から参加者へクイズが配られ、○×で答えるように指示されました。以下がその問題です。
Q1. 中国も韓国も小学校で英語を学び始める。
Q2. 韓国の中等教育(中・高等学校)では英語以外に第2外国語が必修である。
Q3. 日本でも2011年から小学校に英語が導入される。
Q4. 日本の大学入試センター試験では、外国語の科目として英語以外にもドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、韓国語で受験することができる。
Q5. 2003年「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想によって示され、中学校の到達目標とされている英語力(卒業者の平均)は英検3級である。
Q6. 2003年「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想によってしめされ、英語教員が備えておくべき英語力の目標値は英検1級である。
Q7. 2003年「英語が使える日本人」の育成のための戦略構想をきっかけとし、現在日本の大学入試センター試験では、英語リスニング試験が導入されている。
Q8. 現在、日本の中学校では英語は週4コマ(1コマ=50分)教えられている。
Q9. 現在、日本の高等学校の外国語科の科目には「英文法」という科目がある。
Q10. 現在、日本の高等学校の英語専門科目の中には「時事英語」という科目がある。
このクイズの正解を順次示し、参加者でその問題に関して検討するという形式で例会が進められましたが、ニューズレターではここで先に正解をまとめてお知らせします。
Q1.○, Q2.○, Q3.○(正確には「英語」ではなく「外国語活動」が導入されます。詳しくは後述。), Q4.×(スペイン語はありません。), Q5.×, Q6.×(準1級です), Q7.○, Q8.○(現在の法定時数は3単位ですが、4単位実施している高校が多くあります。),Q9.×(1982年から無くなりました), Q10.○。

◇2. 小学校の英語教育
中国では、地域・都市によって差があるものの、全般的には小学校3年生から英語を学ぶそうです。韓国では、小学校1年生から英語を学習し始め、中等教育では第二外国語が必修だそうです。その第二外国語には、ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・日本語・ロシア語・アラビア語がありますが、中国語と日本語に人気があるそうです。
一方日本では、2011年から小学校高学年(5・6年生)に「外国語活動」が導入されます。科目名が「英語」でなく「外国語活動」とされていますので、英語の免許を持っていない先生方でも、数値ではなく文言による表現で成績をつけることができるそうです。「外国語活動」ですのでフランス語を教えることも可能ですが、実際は教材として英語ノートが配られ、英語の授業が行われる可能性が高くなっています。

◇3. 高等学校の英語教育
文部科学省のHPによると、平成21年6月1日現在、高等学校における英語以外の外国語の開設状況は、次のとおりです。
中国語:831校
朝鮮語・韓国語:420校
フランス語:373校
スペイン語:143校
ドイツ語:143校
英語教育に関しては、普通科と専門科によって行われている科目が異なります。5教科をまんべんなく学習するのが普通科で、特定の分野の単位数を多くして学習するのが専門科の高校です。専門科には商業科や英語科などがありますが、英語科の場合は数学や理科の単位を減らし、英語の単位数を多くしているそうです。このため、私立大学三科目受験を目指して英語科の高校に入学する生徒もいるそうです。
普通科における外国語科目:オーラルコミュニケーションI・オーラルコミュニケーションII・英語I・英語II・リーディング・ライティング専門科における英語専門科目:総合英語・英語理解・英語表現・異文化理解・生活英語・時事英語・コンピュータ・LL演習

◇4. 普通科高校で使われている英語教材
高校における英語関連の科目の説明があった後、5つの教科書のコピーが参加者に配られました。そしてそれぞれが、普通科の「オーラルコミュニケーションI・英語I・英語II・リーディング・ライティング」のどの教科書として出版されているのかを当てるというグループ作業が行われました。
英語専門科目には検定教科書が存在しないため、教員が教材を準教科書として申請して利用しているそうです。

◇5. 意見交換
最後に、ゆとり教育からの脱却を目指して2012年より実施される新しい学習指導要領の解説が行われ、その後に参加者による意見交換が行われました。以下がその時に出された意見です。
・英語が将来必要になる高校生は少ないのではないか。したがって、高校生に必要なのは日常会話ではなく、論理的に表現する能力なのだと思う。
・それは英語だけではなく、日本語の能力の問題だ。日本語でできていないことが、英語でできるわけがない。この点を教育の現場で考慮すべきである。
・話すべき内容を持っていない生徒が見受けられる。話す内容を持っていないから、話せないのだ。
・地理などの一般常識が欠如している場合がある。たとえばマルセイユを知らない生徒がいる。
・一般常識の欠如の一例だが、(相手の名前が表示される携帯ではなく)固定電話での電話のかけ方ができていない生徒がいる。冒頭に名乗らずに電話をかけてくる生徒がいる。
・それは学校ではなく、保護者が取り組むべき問題ではないか。
・嫌いな科目を子どもに学習させず、得意なものだけをさせるのが、個性を育てる教育だと考えている人がいる。

◇6. 2010年度のテーマ「学習習慣」
以上の勉強会のあと、2010年度の年間テーマについて話し合いが行われ、「学習習慣」に決まりました。これは、以下のような議論を経て決定されました。
・大学のフランス語教育では、高校までの英語とは異なった内容の授業が行われることがよくある。生徒が高校までの学習習慣に固執した場合、どのように対処すればよいのか。
・教員の側にも学習習慣の問題がある。自分が大学時代に習った方法で、現在も授業を行おうとしていないだろうか。
・語彙の学習というと、単語を繰り返し書いて覚えるという学習習慣があるように見受けられる。これ以外の方法をとりいれる必要がある。
・語彙だけではない。文法・読解・作文・聴解などの学習方法にも、習慣が存在する。これは改めるべき習慣だろうか。
・読解・作文・聴解・会話などの技能別に授業を分けるという習慣にも、問題点はないだろうか。
この議論を踏まえ、次回の例会テーマを決めました。(冒頭参照)
(M.I.)


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