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NO.120

 

<高等学校における英語教育>

01/04/2010

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.120
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


大学生にフランス語を教える時、私たちは彼らの英語知識を自分の経験に照らして見込み、
あてにしているところがあると思います。でも現在の大学生は私たちのイメージするような学習をしているとは限りません。
次回は、高校英語教育の経験のある馬場さんに現 状をうかがい、意見交換したいと思います。

<高等学校における英語教育>
中等教育の外国語教育は文部科学省の学習指導要領をもとにカリキュラムを組み、指導 されています。
教科名は「外国語」ですが、ほとんどの高校では外国語として「英語」を 教えています。
ではどのように英語は教えられてきたのでしょうか。またこれからどのよ うに教えられていくのでしょう。
現状だけでなく「オーラルコミュニケーション」など科 目等の変遷や英検を指標にした行動計画など過去を振り返り、
また新学習指導要領によっ てどのように変化していくのについて公立高等学校外国語教員の経験をもとに外国語教育
についてお話したいと思います。(馬場淳子)

日時:4月10日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5 JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【2010/2/20例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<学習目標の「意識化」がむずかしい場合について>
〜姫田麻利子さん

 今回は、はじめにアンケート用紙が配布され、人数が集まるまでの間各自で回
答しました。「今日、ここに来るのは...楽しみだった、義務感があった、いやだった」「今
日、ここで何をしたいですか?...」「今日、したくないことは?...」の質問にそれぞれいく
つか選択肢が用意されていて、補足があれば記入していくものです。

 人数がだいたいそろったところで、「意識化」という用語の確認をしました。「意識化」
はフランス語ではprise de conscienceですが、姫田さんは自分の研究の中では、その訳語
として「気づき」を使用していて、それはもともと英語のawarenessの仏訳として表れる
prise de conscienceに対する用語選択だということでした。けれども、prise de conscience
は、英語のconsciousness raisingの対応としても表れることがあって、今年度の例会で紹
介された参考文献でも、こちらの場合がありました。awarenessとconsciousness raising
は、前者は、意識ゼロから意識化へという動き、0/1のニュアンスを持つのに対し、後者
は意識されている状態にスケーリングがある、という違いがあるのではないか、という説
明がされました。
いずれにせよprise de conscienceは他者から見えにくい内的なありようですが、それを
能力として認定していこうという流れがあります。
能力として認定されるまでには、次の三つの段階が必要となります。
1)経験、感情、意見、期待等のばらばらの内的パーツを拾う。
2)有機的に首尾一貫した、意味ある全体へと組織する。
3)人に伝達する。
姫田さんは、prise de conscience interculturelleの育成と評価のため、語学研修に行く
大学生を対象に課題としてジャーナルの実験をしています。ジャーナルは上の1)〜3)
の段階を踏まえ、次のように構成されています。
- パーツを集めておくための「続け書き」のページ→1)のため。
- パーツを有機的に組織するための内省を促す「読み返し」のページ→2)、3)のため。
- 自己評価表→3)のため。
しかし、「意識化」の困難は、1)〜3)各段階で観察されたそうです。
- 続け書き:続けられない
- 読み返し:内省が深まらない
- 読み返しのページの記述と自己評価表記述に一貫性がない。

 この実験結果発表のあと、参加者は最初に記入したアンケートの回答を、二人組で発表
し合い、相手の回答を深める質問をし合って、その後「今日PEKAに来た目的」を1人ず
つ文章でまとめる作業をしました。
このアンケート記入の本当の目的は、姫田さんの実験で観察されたような「意識化」の
困難を参加者が実感するためでした。全体で、アンケート記入に際して感じた困難を発表
し合いました。
ペアで質問しあうことによって2)、3)の段階がやりやすくなったという感想がある一方
で、1)のバラバラの感情を集めて書くという部分は、難しかったりめんどうだったりす
るという声がありました。

 次に目標の意識化が難しいクラスにはどのような背景があり、そのために何ができるの
かについて具体例をもとに話し合いが行われました。
英語が好きな小学生対象の外国語クラブで英語以外の外国語を教える場合:
→目標意識を持たせた方がいいのか。英語以外の言語があるということがわかるだけでも
よいのではないか。
フランス語旅行さえ想像できないタイプの大学生の場合:
→学生の興味関心を探りつつ授業を展開していても、結局適当な最終目標が見いだせない。
「探りつつ」であっても、教師、生徒にとって一定のProgressionが必要ではないか。

 最後に、とくに2番目のケースを念頭におきつつ、6月の例会でも議論された新学期用
アンケートについて、「目標に気づきやすくする質問紙」とは何かをグループごとに考えま
した。例として、「あなたが、もしかして将来、フランス語を使うのはどんな場合?」とい
う学期の始めに行う質問をたたき台に、より答えやすい、そして目標を見つけやすくする
質問紙を考えました。対象となる学習者のレベルや年齢等に合わせた質問紙にする必要が
あるのはもちろんですが、今回参加者がアンケートを記入する際、1)「経験、感情、意見、
意見、期待等のばらばらの内的パーツを拾う」段階で最も困難を感じたことから、質問紙
は自由形式ではなく選択式とし、簡単かつ興味関心を引くような内容が適切だろうという
ことになりました。選択肢として、「フランス人と恋をする」「将来自慢する」「映画を見て
少しわかるようになる」「カラオケでフランス語で歌う」等が提案されました。

 次年度の例会のテーマについて話し合いましたが、参加者が少なかったこともあり決定
に至りませんでした。4月の例会でもう一度話し合う予定です。
報告者は久しぶりのPEKAへの参加でしたが、何もよく分かっていない学生の私をいつ
も温かく迎えていただき感謝しております。初めて懇親会にも参加させていただき楽しい
時間を過ごすことができました。フランス語教育国内スタージュでも大変お世話になりま
した。この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
(J.B.)


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