Pékaトップページ       過去ニューズレターMENU    

 

NO.119

 

<学習目標の「意識化」がむずかしい場合について>


09/02/2010

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.119
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏


■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
<学習目標の「意識化」がむずかしい場合について>
 何をめざす学習なのか、はじめに教師とクラスメンバーの間で、明確な合意がある
べきなのはわかっていても、実際にはそれが可能な教室ばかりではないと思うのです。
全くニーズが見つからないまま来ている人が大半の教室や、そもそもメタレベルの話
の通じにくい子ども対象の場合もあります。一方教師だって、理論的、制度的、社会
的に適当とされてきた目標設定を大きくはみ出すオリジナルな提案はなかなかできま
せん。
 現場のどんな事情が「あらかじめ明示的に共有される学習目標」をむずかしくする
のか整理し、そこで教師ができるはずのことを考えます。「オリジナル」な目標の可能
性についても意見交換したいと思います。(姫田麻利子)

日時:2月20日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 101/102会議室
(杉並区高円寺南2-44-5
JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)

地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html
* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

上へ


■■■【2009/12/19例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<学習の一般化>〜越森彦さん

今回の例会テーマは「学習の一般化」でした。「学ぶ・教える」という行為を、料理を
する・スポーツをする等の別の行為に置き換えて(アナロジーを用いて)考えてみる
ということです。視点を意識的にずらすことにより、物事を外から客観的に捉えるこ
とができ、新しい発見があるのではないかと期待できます。

その第一歩として、まず昨年(2009年)に教室で遭遇した「つらい体験」について一
人ずつ発表しました。さまざまな問題が出ましたが、大きく分けるとほぼ以下の三点
に集約されます。
1)学習者と教師間の問題:
‐教師と学習者の価値観の違い
‐生徒が静かにしない
‐授業方針に対する学習者の無理解や反発(例:グループワークを嫌がる、覚えなさ
いと言ったのに覚えないなど)
2)学習者(間)の問題:
‐学生の習熟度の差
‐学習ニーズ・意欲の欠如(この先フランス語を使うことは絶対にないだろうと思わ
れる学習者をどうするか)
3)制度上の問題
‐不適切なクラス分け(学習者のレベル差大)
‐不適切な時間割設定(学生が来られない時間に設定してある)
‐就職活動による授業登録者の減少
‐継続中のクラスに新しい学生が混じることによってやりにくくなる

次に、司会の越さんから、これらの問題の解決に「一般化」が役立つのではないかと
提案がありました。というのも、越さん自身が問題に直面した際、こうしたアナロジ
ーの助けを借りたからだそうです。学生とのコミュニケーションがうまく行かないと
きには「恋愛アナロジー(相手の気持ちになって物事を捉えなおす)」、授業運営にお
いては「ルソーの社会契約論アナロジー(放任はやめてルールを明確化する)」、また
学習活動においては予備校アナロジーおよび企業のポイント制度アナロジー(学生が
自分でノートをとることを期待するのではなく、作業しやすいプリントを用意する。
提出課題が何ポイントか分かるようにし、評価の過程を可視化する)」などのアナロジ
ーを用いて授業の改善を図り、危機を乗り越えることができたそうです。

そこで我々もグループに分かれ、自分たちの得意分野を生かしたアナロジーで問題解
決を図ってみました。

グループ1
問題:教師と学習者の価値観のずれ
アナロジー:夫婦間のコミュニケーション
解決策:複数あり。
1)お互いにあまり踏み込まないでおく
2)相手を説得する
3)お互いのルールを決めておく

グループ2
問題:学生間の学力差
アナロジー:料理
解決策:野菜は別々に煮る→学生によって対応の仕方を考える。
また、野菜の組み合わせによって味が良くなるように、習熟度が異なる学生もうまく
組み合わせることによって学習がうまく行く。

グループ3
問題:教師と学習者の意識のずれ
アナロジー:スウェーデン人対日本人のコミュニケーション
解決策:
1)お互いが違うことを認め合う。
2)スウェーデン語を習う。→相手を理解しようと努める。その際、お互いが置かれ
ている環境の違いも一緒に考えることが大切。

グループ4
問題:考え方・学び方の違う学習者がいる
アナロジー:コンピュータのヴァージョンアップ
解決策:教師が自分自身をヴァージョンアップする→目標到達にいたるプロセスを変
化させる。自分がさらに上を行くことで、異なる学習者を排除せずにうまく同化させ
ることができる。

一般化により、自由な発想や現実的な解決策が得られるということが体験できました。
問題に直面すると、そのこと一つにとらわれて視野が狭くなってしまうことがありま
すが、視点をずらすことによって新たな捉え方ができます。また置き換えの作業は楽
しいので、深刻になりすぎずに問題解決を図ることができるのではないでしょうか。

最後に、今回の例会参加者の中に、一人だけ教員ではない方がおられました。このよ
うな異業種間交流も、アナロジーを働かせるまさに絶好の機会だといえるでしょう。
(R.T.)


***************************************
PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
配信システム:まぐまぐ
http://www.mag2.com/

*PEKAの活動について詳しくは
http://peka.cool.ne.jp/

* PEKAへのカンパは以下の口座でお受けしています。
郵便振替口座 00120-1-764679  PEKA
***************************************

◎PEKA (ペダゴジーを考える会)News Letter
  のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000228585/index.html 
  このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます。

上へ


Pékaトップページ     過去ニューズレターMENU