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NO.117

 

<教師の意識化>


12/10/2009

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.117

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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

<教師の意識化>
「意識化」に関して、次回は私達「教師」にスポットを当てます。私達自身の授
業への取り組み方や学生に対する態度などを振り返りながら、「教師」は何を、ど
の時点で、どのように意識化する必要があるのか、を一緒に考察していきたいと
思います。(左合桜子)

日時:10月24日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5
JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)

地図参照 http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【9/19例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<学習の意識化の方法を探る試み>
〜西川葉澄さん

<学習の意識化>3回目の例会。
◆ いつもの通り参加者全員の自己紹介から始めましたが、西川さんの提案で、そ
れぞれ「いま習っている事」「やる気を出す自分なりの方法」を言いました。雰囲
気を和らげる面白い提案とは思っていたのですが、じつは後のディスカッション
に関係するとても練られた提案だということが、後でわかりました。
◆ 西川さんは、まず年間テーマ概念について、主に『言語学習と学習ストラテジ
ー』(リーベル出版2005)と『英語教師のための学習ストラテジーハンドブック』
(大修館2006)をもとにおさらいしてくれました。西川さんの配布ハンドアウト
にはもっと詳細に周辺概念定義が示されていましたが、ここでは簡単にまとめま
す:
◎ 自律した学習者=メタ認知のある学習者
=1.自分の認知や認知プロセスについての知識がある/
2.じっさいに自分の認知をコントロール(学習の計画を立てる、課題解決行
為を自己モニター、理解度をチェック)できる=メタ認知ストラテジー

◎ 学習者のストラテジー使用データ収集方法例
1.授業中、自分のストラテジー使用について意識させたい時
→発話思考法(活動をセルフトーク、ペアワーク)、アンケート、インタビュ
ー
2.ストラテジー使用の経時的変化を把握したい時
→ダイアリー、ジャーナル、ポートフォリオ

◎ ジャーナル、ポートフォリオ等の問題点として、時間がかかる、仕事が増える、
管理しきれない等が上げられる。

◆次に、学習の意識化をうながす方法として、西川さんが実践した4種類のシー
ト(3種類はひと続き)が紹介されました。

1)<契約>シート(A41枚):するつもりの勉強方法を初回に約束として設定
させる。
2)<中間テストふりかえり>シート(A42枚):「どんな間違いが多かったか」
「何故か」「どんな勉強をしたか」「その勉強方法はよかったか」「期末テストまで
どんな風に勉強するか」「その具体的計画」を書いてもらうアンケート
3)<学期末既習項目確認>シート:既習項目の理解チェックと、<中間テスト
ふりかえり>シートの有効性アンケート。
以上1)〜3)は、同一クラスで実施。以下4)のみ別クラスで実施。
4)毎回の講読ガイドシート(A41枚)の最後に、「今日勉強したこと」「発見し
たこと」「これからの課題」を1行ずつで書いてもらうもの。

◆ 書き込み例とともにシート内容を見たあと、4種類について、参加者の意見を
出し合いました。(西川さんからは「よいこと」も言ってくださいと、あらかじめ
指示がありました。)
シートを配って集めて、毎回コメントしていく作業はとても時間がかかるものだ
し、西川さんが「学習の意識化」に対して割いている労力に敬意を示したい、各
シートともレイアウトによく工夫している、といった「よいこと」の後、改良案
として以下があげられました。

1)→するつもりのことだけでなく、その実現のために割ける時間のらん、中間・
期末時の自己評価スケール、今後の意識化に向けた教師のコメントらんを設ける
といい。
2)→各質問の回答例もあると、期待から少し外れた回答が減るだろう。間違い
の理由に加え、その問題解決のためのアイディアのらんがあった方がいい。「スト
ラテジー」というタームより、「勉強のしかた」くらいにした方が学生にわかり易
いかもしれない。
3)→チェック項目を「文法・語彙」「コミュニケーション行為」「学習ストラテ
ジー」と分けて、さらにOUI, PAS ENCOREの別だけでなく、OUIを3~4レベ
ルに分割しておくと、追い込まずにやる気を促せるのではないか。(PAS 
ENCOREばかりにチェックしている内に、やる気を失うのではないか。)
4)→「今日勉強したこと」を文法・語彙等項目別にし、「発見したこと」は「自
分の勉強のしかたについて気づいたこと」として、この二つの項目の使い分けが
明確になるようにした方がいい。

◆ さいごに、参加者それぞれの学びの意識化のため、自己紹介のときに話した「い
ま習っている事」について、上達のためにすでにしていることや、今回おさらい
した「学習の意識化」を使ってできそうなことを言い合いました。部分だけでな
く全ての流れ、部分同士のつながりを知っておく、できないことがどうしたらで
きるようになるかアイディアを練ってやってみる、少しずつでも毎日やる、日記
を書く/読みかえす、目標を思い出す...これらの方法が紹介されました。よい学
習者こそよい教師になれるのではないか、そして「学習の意識化」を実践するに
はまず自分からということを再確認する機会にもなりました。

報告者は半年ぶりのPEKA参加だったのですが、新しい若手参加者が多くて、と
てもうれしかったです。前半のおさらい部分はムードが少し停滞しかけましたが、
西川さんの例会全体の組み立てがよかったし、教師のしごとに前向きな意見をい
っぱい聞いて、新学期直前に「やる気」が出ました!
例会後は、Kさんのおすすめ沖縄料理店で親交を深めました。(M.H.)


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