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NO.116

 

<学習の意識化の方法を探る試み


6/9/2009

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.116

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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

<学習の意識化の方法を探る試み>

 これまでの例会で学習を意識することが学習者の自律を促すというこ
とを確認しましたが、では実際に学習の意識化を促すにはどのような活
動が有効なのでしょうか? ポートフォリオや学習日誌などの活動は理
想的ですが、実際の運営に当たってはかなりハードルが高そうです。
 9月の例会では、年間テーマである「学習の意識化」という概念をより
現実的な扱いやすさを追求した活動に落とし込んだ実践例を若干紹介しつつ、
その有効性や修正点などを参加者の皆さんと検討する場にしたいと思います。
(西川葉澄)

日時:9月19日(土)14:30〜17:20
場所:ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5
JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)

地図参照 
http://www.pej-hachette-francais.jp/portal/8.html

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【6/20例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<学習者のことを知るための「アンケート」>
〜茂木良治さん
 
◆ 茂木さんが今回の例会のために選んだテーマである「アンケート」と、今年度
の年間テーマである「学習の意識化」はどのようにリンクするのでしょうか。こ
の点について説明することから、茂木さんは例会を始めました:

「数ある外国語の中で、学生はどうしてフランス語を選択したのか。フランス語
を使って何ができるようになりたいのか。このような学生側からのニーズをアン
ケートで調査することは、教師が授業実践を考察・改善する上でも、学生が自身
の学習目標を意識する上でも有効ではないだろうか」

これが今回の発表にあたっての、茂木さんの基本的な立場です。そこで、茂木さ
んは次のような提案をしました:

「学生の特徴・プロフィールを把握するために各参加者が授業で実施しているア
ンケートを材料にして話し合い、最終的には、より洗練したアンケートを作成す
る」

時間の関係上、アンケートの作成までには残念ながら至りませんでした。しかし、
ともすればルーティンワークになりがちなアンケートを、「学習の意識化」とい
う観点から捉えなおすことで、新たな発見が(少なくとも個人的には)ありまし
た。それは、アンケートは教師のため(だけ)ではなく、学生のために(も)な
るということです。

◆ 最初に、例会の参加者たちが持ち寄ってくれた実際のアンケートを分析してみ
ると、教師は学習者について、おおむね以下の点について質問することが分かり
ました。
○ 学習歴(今までどれくらい、どのような場所・学校で、フランス語あるいは他
の言語を学習してきたか)
○学習環境(どれくらいの時間をフランス語の学習に使えるのか)
○ 学習の動機(フランス語を勉強して何ができるようになりたいのか、フランス
のどのような面に興味があるのか、この授業に何を期待するのか)
○学習状況(苦手とする文法事項や発音するのに苦労している音)

次に、これらの情報を各参加者はどのようにして自分の授業に反映させているの
でしょうか。この点に関して、アンケートの内容によって授業の内容と形式を変
えることはほとんどないという報告が複数の参加者から寄せられました。たとえ
ば、極端な場合、「フランス語に興味があるわけではないが単位習得の都合上や
むなくこの授業をとった」というような返答があったとしても、それは問題にな
りません。学習者の興味とは教師の側がつくるものだからです。また、ある学習
者に関して知りたいことがあったら、個人的に聞けばすむ話であるという意見も
ありました。

◆ このように、アンケートの回答は、これからやる授業に直接的な形で反映され
るわけではないようです。では、それにもかかわらず、アンケートをやる意義が
あるとすれば、それは何でしょうか。例会の後半では、この点について意見交換
しました。その過程で(再)確認されたのは、アンケートに答えるという作業は
自分への問いかけになるということです。なぜ、どれくらい、どうやって、どこ
まで、自分はフランス語をやろうとしているのか、やれるのか。授業の最初にこ
れらの点を学生自身が確認し、意識することは、授業を受ける目的を明確にする
ことにつながります。逆に言えば、学生に何を意識させたいのかをまず教師自身
がはっきりと意識していなければ、そのアンケートは授業初めの単なる儀式と化
してしまうでしょう。そして、実際に、そのように儀式化したアンケートが多く
なされているのが現状ではないでしょうか。あるいは、どうせやっても授業に反
映されるわけではないからとアンケートをはじめからやらないこともあるでしょ
う。単なる儀式か全面的な廃止か。そのどちらでもない、もう一つの選択肢を今
回の例会は示唆してくれたように思われます。

◆ なお、今回の例会では、意見交換の間に最近の学習者が抱えている問題につい
ても報告が寄せられました。その代表的なものを以下に挙げておきます。
○ 家に帰ったらこういうことをやると具体的に教えるなどして、学び方そのもの
を教えないと授業にならない。
○ 英語とフランス語は発音や語順の面で同じだと思っている。フランス語にはフ
ランス語固有の論理があることを予期していない。たとえば、英語風のアクセン
トを固有名の発音につけたがる。(例:「ヨコハーマ」)
○早く力がつかないとすぐにやる気がなくなる。
○文法用語をまったく知らない。
○文頭でも小文字で書く。
○ 人称の概念が分かっていない。Je-Vousの関係が理解できていない。たとえば、
Vousで始まる疑問文にVousで答える。
○ 喉に力が入りすぎ、息が出ない。日本語の話し方そのものが腹式呼吸に基づい
ていない。
問題は山積みのようですが、今後の例会で対策を講じることができればと思いま
した。
                                                                  (M.K.)


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