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NO.111

 


10/10/2008

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.111

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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
PROBLEMATIQUE DE L'ENSEIGNEMENT DE LA PRONONCIATION.
... Raymond RENARD (Mons-Hainaut大学名誉教授)

SURVOL CRITIQUE DES DIFFERENTES METHODES : ARTICULATOIRE,  
PHONOLOGIQUE, TECHNOLOGIQUE. LE SYSTEME VERBO-TONAL ET LE TRAVAIL  
AUDIO-PHONATOIRE: PRINCIPES, PROCEDES. INCIDENCES SUR LA DIDACTIQUE  
DES LANGUES.

日時:10月18日(土)14:30〜17:30
学士会館 地階 京都大学東京連絡事務所
(東京都千代田区神田錦町3-28)
ACCES地図参照
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/profile/intro/facilities/interior/tokyo/tokio1.htm

*どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【9/20例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
L'ENSEIGNEMENT DU FRANCAIS AU JAPON, VUE DE L'AMBASSADE DE FRANCE
......... JEAN-FRANCOIS ROCHARD
(PRESENTATION/ANIMATION DE LA SALLE : RYOKO IIDA - IFJT)

 2008年9月20日のPEKA例会は、フランス大使館のATTACHE DE COOPERATION
 LINGUISTIQUE (FRANCAIS, LIVRE, SPORT)を務めていらっしゃるJean-Francois 
Rochard氏をお迎えし、参加者が質問し、Rochardさんがそれに答えるという形式で行わ
れました。
質問1:まず、肩書きについてうかがいます。sportsが入っていますが、なぜですか? Rochard氏:フランス大使館の文化部には4つの部門のcooperationsがあり、linguistique はその1部門です。日本で冬季オリンピックがあった時、スポーツを担当する部門が必要 になりました。文化部がその任務にふさわしかったため、それ以降文化部のlinguistique 部門がスポーツも担当することになったのです。
質問2:日本では、フランス語学習者が減少していると言われています。この点に関し、 日本のフランス語教師はどのように対応したらよいと思いますか? Rochard氏:まず指摘しておきたいのは、フランス大使館の調査によると、日本のフラン ス語学習者の数はそれほど減っていないということです。若者の数が減少していることを 考慮すれば、学習者数は一定数を保っているといっても差支えないでしょう。この調査が 明らかにした特徴のひとつは、フランス語のspecialistesが減り、non specialistesが増え ているということです。また、高校生のnon specialistesが増加していることも明らかに なっています。大学入試で使わない科目であるにもかかわらず、高校生の学習者が増えて いることは、注目に値します。  このような事態にどのように対応したら良いかというお尋ねですが、日本におけるフラ ンス語学習に関しては、quantiteではなくqualiteに目を向けたらどうでしょうか。大学 だけでも20万人弱の学習者がいるのですから、quantiteとしては悪くありません。した がって、今後はqualiteの改善を行うことが必要だと思われます。すなわち、外国語教育 における英語のmonolinguismeを抜け出して、複数言語を学習できる環境を整えること です。例えば、大学の入試でもっとフランス語で受験できるようにしたらどうでしょうか。 そして、大学入学後のnon specialistes既習者に対して、様々なフランス語学習の選択肢 を広げたらよいと思われます。また、大学でフランス語を学習しても、将来役立たないと いう考え方に対処するにはどうしたら良いかという点を検討する必要もあります。 質問3:フランス政府や大使館に対し、私たちはどのようなことを期待できるのでしょう か? Rochard氏:もちろん、フランス大使館は喜んで日本のフランス語教育推進のお手伝いを します。しかし、それは飽くまでサポートであって、推進の中心となるのは日本の組織や 教員の方々だと思っています。 質問4:高校生のフランス語履修者は、なぜ増えたのですか? 会場参加者から:高校が自校の特色を出し、入学希望者を集めるために、第二外国語を授 業で提供するようになりました。その結果、フランス語学習という選択肢が現れ、履修者 増加につながったらしいです。 Rochard氏:そのようですね。やはり、学習の選択肢を増やすことが、履修者の増加につ ながると思われます。例えば、ある県で、子どものためのフランス語授業を設けたところ、 子どもだけでなく保護者も集まり、その後授業数を増やしたということがありました。 会場参加者から:私の勤める大学では、ドイツ語の授業内容を変えたところ、中国語が減 り、ドイツ語が増えました。現在の世界情勢も影響しているかもしれませんが、それ以外 に、授業内容を変えれば履修者は集まるということを示しているのではないでしょうか。 質問5:それでは、どのようにフランス語教育の内容を変えたらよいとお考えですか? Rochard氏:急激な変化はかえって良くないと思います。日本には、日本の伝統的な教育 の受け方があるのですから、それを急に変えると、学習者もとまどうと思われます。さて、 内容についてですが、語学学校の調査によると、そこの生徒の学習目的は圧倒的にparler なのだそうです。大学でもparlerやs'exprimer中心の内容にしたらどうでしょうか。 質問6:parler中心の授業というと、"Je m'appelle ... J'habite ... J'aime les ..."といった 内容の授業を思い浮かべます。最近思うのですが、学生さんたちが将来このような表現を 使って話す可能性がほぼ無いことを考えると、高速鉄道など日仏共通の話題に関する知識 を授業で扱った方が良いのではないでしょうか。 会場参加者から:必ずしもそうではないと思います。私の子どもは、イタリア語を学習し ていますが、とにかくイタリア語を使って話したいと言っています。 Rochard氏:授業内容を、parlerだけに限らず、parlerを含むcommuniquer全体を対象 にしたら良いと思います。例えば、チャットなどを利用して筆記によるcommuniquerを 行うことも可能です。または、フランスのSNCFと日本のJRのサイトを使って、TGV と新幹線の比較を行い、日本語あるいはフランス語で発表するといった内容も考えられま す。 質問7:日本に来て仕事をなさって、どのように感じましたか? Rochard氏:まず、私が持っていた日本に関するステレオタイプと、実際の日本は異なっ ていることに驚きました。日本はultra-innovant, ultra-liberalだと思っていましたが、実 はそうでもないことがわかりました。次に、professeur de langueとprofesseur de litteratureという違いがあることに気付きました。また、漢字教育を始めとして、日本で はecritが教育に占める割合が多いと思います。そして、日本にこのように多くの francophilesがいるとは思っていませんでした。一方で、日本のフランス語教師が、自分 の職業の将来に関する幾つかの不安、又疑問を述べられるのをきき, なかなか難しい職業 上の状況におられることがよくわかりました。 質問8:とても簡単なフランス語で語られるニュースやホームページがあると、教材とし て便利なのですが、フランスで作っていただけませんか? Rochard氏:現行のニュースやホームページをdocument authentiqueとして使うことも 可能だと思います。プレゼンテーション等、使い方を工夫すれば、十分初級者の教材とし て使えるのではないでしょうか。 質問9:ネットで見られる無料のフランス語レッスンを作ったらどうでしょうか? Rochard氏:それは可能ですが、独学向けというobjectifになります。学習にはそれぞれ のobjectifがありますので、そのようなレッスンを授業の教材として利用するのは難しい と思います。 質問10:日本語を授業で使うことについて、どう思いますか? Rochard氏:日本語を使った方が速い理解が見込まれ、学習者にもプレッシャーを与えな いですむようであれば、日本語を使うことに問題はないと思います。  母国語で学習言語を教える場合には、教員の側にも母国語と学習言語の関係の影響が見 られます。日本人のフランス語教員の中には、仏単語では理解できても、日本語ではそれ をどの単語で表わしたらよいかわからないという概念もあるそうです。両方の言語を利用 すると、翻訳の本質にあるinterculturelの問題が、学習者と教員の両方に起こり得るとい うことは言えると思います。 質問11:最後に、今後の計画について説明をお願いします。 Rochard氏:今までの計画の続行と、新たな計画があります。まず続行する計画について は、フランス語教員の養成と、日本のreseau culturelが提供する言語教育における職業化 政策(demarche qualite)の実施があります。 これから始める計画には、入試における第二外国語の推進・職業通訳の資格の整備・DELF とDALFの促進・韓国や台湾のattachesとの地域的協力関係の強化があります。 (M.I.)

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