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NO.110

 


12/9/2008

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.109

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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
L'ENSEIGNEMENT DU FRANCAIS AU JAPON, VUE DE L'AMBASSADE DE FRANCE
......... JEAN-FRANCOIS ROCHARD
(PRESENTATION/ANIMATION DE LA SALLE : RYOKO IIDA - IFJT)

日時:9月20日(土)14:30〜17:30
ピアソン・エデュケーション(桐原書店)B1F 102/103会議室
(杉並区高円寺南2-44-5
JR中央線高円寺駅徒歩5分/地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
ACCES地図参照 http://www.pearsoned.co.jp/map.html

*どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

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■■■【6/21例会報告】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
映画を、どんなACTIVITEに活用しますか?
〜田中幸子さん 土屋良二さん 姫田麻利子さん

今年度のPEKA年間テーマが「例会の構成力」ということで、今回の例会も前回同様、2
部構成となっていました。第1部では3人の司会者がそれぞれ「映画」を使ってどのよう
な授業を実践しているか発表し、発表をもとに参加者はグループに分かれディスカッショ
ンを行いました。第2部では、司会者はまず第1部の構成の意図と工夫に関して種を明か
し、司会者の意図を参加者がどのように受け止めたか議論しました。以下に例会の模様を
記します。

◆第1部(14:30-16:00)発表
◇土屋さん
映画:"Paris, je t'aime"(パリの街を舞台にした約5分程度のドラマを20篇集めたオ
ムニバス映画)。その一篇である"Quais de Seine"を使用。
対象学生:第二外国語のフランス語2年目。
授業の目的:学んだ文法を使い、表現すること。
授業活動:
1) 学生に"Quais de Seine"の若い男性と女性が会話するシーンを見せる。(約5分)
2) その後、2, 3人のグループで「女性が男性にどんなことを質問するか」、「その質問に
男性はどう答えるか」考えさせて、作文させる。(10〜15分)
3) 学生の作文を直して、全員で確認する。

◇田中さん
映画:土屋さんと同じ"Paris, je t'aime"の"Quais de Seine"を使用。
対象学生:フランス語を専門とする2年生。
授業の目的:間接疑問文を練習すること、作文をすること。
授業活動:
1) 教科書"Metro St. Michel"で間接疑問文を勉強した後に、マルチメディア教材"Marche
Opus"を利用して、学生に各々間接疑問文の練習問題を解かせる。
2) 学生の気分を変えるために、"Quais de Seine"の若い男女が会話するシーンを見せる。
3) クラス全員で何を聞き取ることができたか話し合う。
4) 学生各々、映画を自分のペースで何度も見るよう指示する。
5) 2〜3人のグループで映画の中で聞き取ることができた疑問文から間接疑問文を作らせ
る。
6) 学内のeラーニングマネージメントシステムMoodleのBBSに作った間接疑問文を書き
込ませる。
(次回の授業で)
7) 学生が作成した書き込みをプリントアウトして、クラス全員で直す。
8) 学生各々で直したものを参考にレジュメを作成させる。

◇姫田さん
映画:"Tous les garcons s'appellent Patrick"(約20分の短編)
対象学生:第二外国語フランス語2年目の終わりくらいで。Faux-debutant。
授業活動:3つの活動を提案。1) 映画の感想を言う、2) 映画のレジュメを作文する、3)
映画のシーンを会話にしていく
1) 教科書"Initial2"の最初にある映画の感想の言い方に関する課を勉強した後、映画を
見て、映画の感想を言う。
2) 映画を見た後、映画のレジュメを書いているサイト
(http://www.cineclubdecaen.com/)を参考にしながら、2人1組で場面の描写をする。
3) 映画のシーンを会話形式にしていく。

◆ディスカッション
ディスカッションでは司会者の指示に従い、「教授経験」と「映画の使用頻度」をもとに
4グループに分かれ、各々の状況にあったテーマについてグループで話し合いました。グ
ループディスカッションの後、全体ディスカッションでは全員が意見を述べました。

◇グループディスカッション
1<教授経験が少なく授業で映画を使ったことはないが、いずれ使ってみたいグループ>
...「学生のとき授業でどんな風に映画を使ったか」
-1年間で3本みた。2時間つまらない映画を見せられたときは苦痛だった。
-文学の授業で読んだ作品の映画を見た。
2<教授経験が豊富だが、授業であえて映画を使わないグループ>
...「どうして授業で映画を使わないか」
-授業のプログラムが決まっていて映画に費やす時間がない。
-90分の授業の中で映画を見せる時間がない。学生が字幕なしで、映画の会話を理解でき
るようなら使いたい。
3<映画を授業でたまに使っているグループ>
...「映画を使うことについて考えていること」
-学生の気分転換のために見せる。
-学期末に映画を見せるのには、先生が授業の準備に疲れたという理由もあるのでは?
-映画を使うのは言語的な問題を扱うとき。映画は自分で使わない言葉などを使うので。
4<映画を頻繁に授業で使っているグループ>
...「どのように映画を使っているか」
-映画を見て、単語の穴埋め問題をする。その他に、映画のホームページを閲覧し、読解
活動をする。
-映画の中に授業と関連する文化的・文法的事項があれば使う。
-ハードな練習問題の直前に、雰囲気作りとして映画を見せる。
-学生が遅刻しないように、授業の最初に少し見せる。
-学生にフランス映画を見たいですかと聞くと、見たいというので見せている。

◇全体ディスカッション
○どういう基準で映画を選ぶか?
-教師の嗜好で選んでいいのか?つまらない映画を見せられた学生はかわいそう。
○映画を全部見せるか、使いたいところだけ見せるか。
-学生の立場からすると、90分間映画を見せられるのは授業料の無駄だと感じる。
-教室と映画館を混同してはいけない。
-映画を細切れに見せるのは映画監督に失礼。
○映画を授業で使う意義は?
-見せればいいというのはだめだと思う、聞き取りをするなら特に映画じゃなくてもいい
のでは?
-先生の見せたいものを見せるより、これを見て何を思ったか?(文化理解)
・学生のレベルによって言語的なものを使う。
-映画は監督の目が入ったDocuments authentiques。映画だからできることをすべきであ
り、授業外へと発展できる可能性が求められる。

◆第2部(16:10-17:00)
司会者がこれまでの反省点から考えた例会の構成に関する工夫を発表し、例会の構成につ
いて全体で議論しました。

◇例会構成について
1)グループ作りが平凡にならないようにした。
→参加者自身の意志でグループ分けするよう試みたが、実際は「教授経験」「映画の使用
頻度」から司会者の方で少し強制的にグループ分けをした。結果的にはグループディスカ
ッションが円滑に進んだ。
2)発言が偏ることへの反省から全員が発言するようにした。
→参加者各人に発言する時間を与えたため、いつもより発言がまわった。

◆例会の構成に関するディスカッションから得られた意見
-いつもよりディスカッションの時間が短かった。
-グループ作業の時間(7分くらい)が短かった。
-理想論かもしれないが、どんなに発言しづらくても、発言する雰囲気づくりが重要。
-全員が話すべきだとすべきではないのでは?自由な発言でやっていいのでは?
-「全員が発言しなくてはならない」と「発言しにくい」は別の問題。
-小さいグループから大きいグループへディスカッションが進んだので、発言しやすかっ
た。
-他の人が話している時、みんなが黙っていたので、無秩序な状態にはならなかった。
-「映画は効果があるのか?」「映画を選ぶ基準は?」という本当に重要なことを避けてし
まった感がある。
(R.M)

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