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NO.101

 


Pédagogieを考える会 NEWSLETTER 101
04/02/2007

 職場の学年暦からいつの間にか「春季休暇」の表示が消えていることに気づいてしまった。。。
 最近「春休み」って実際にはないよね?と話してはいたけど、もともとなかったと知ってしまうと、ちょっとショック。

例会報告1

理想のキャラづくり
(夢の教師像)

西川葉澄さん、高瀬智子さん

テーマ:クラス運営,コミュニケーション


 教師は、教室で「教師というキャラ」を演じているのでしょうか。教師のキャラはどのように決まるのでしょうか。教室での経験談も交えながら、皆で考えてみました。

■ キャラとは何か?
まず、グループに分かれて「キャラ」の定義を考えました。各グループから挙がった意見から、以下のような観点が見出されました。
・自分の性格そのままかどうか(もともとの性格のある部分を強調?)。
・キャラをつくるのは意識的か、無意識的か。
・役者、芸人を想起させる。personnageとrôleの間?
・他者によるイメージ。
また「演じる演じないに関わらず、特定の場面において他者によって認識される像」という簡潔な定義を出してくださったグループもありました。キャラとは、他者を想定したものであり、コンテクストによって変わるものだと言えるでしょう。

■ 自分は何キャラ?
次に、参加者全員を対象に無記名アンケートを行いました。アンケート結果には当然ながらさまざまな教師像のヴァリエーションが見られました。

例:おもしろキャラ/まじめすぎキャラ/お
とぼけキャラ/なめられキャラ/歌のお姉さんキャラetc.
その後、高瀬さんが用意した学生アンケート(大学農学部1年生対象)の結果を検討しました。学生たちは、「熱意があり、明るく」、「面白くてわかりやすい授業」を行い、「単位をくれる」のが理想の教師だと考える傾向にあるようです。

■ パネリストインタヴュー
つぎに、参加者の中から数人がパネリストとして選ばれ、インタビュー形式でキャラについての考えを述べていただきました。設問ごとに、主な意見をまとめてみます。
質問1:教師の時、自分を変えていますか? 相手(クラス)によってキャラは変わりますか?
 キャラをつくっているが、地の部分も出ている。相手(性別・専門・学年・クラスの人数)によってキャラは変わる。授業じゃなくても(教師としてじゃなくても)人間はさまざまな対人関係のなかでキャラを変えるものであり、自分のいろいろな部分がその場に応じて出てくる。内気さを出さないように意識的にキャラを変えていたら、だんだん性格自体も変わってきて自然にできるようになった。

質問2:教師キャラをつくり、相手によって変えているとのことですが、メインのキャラはいつごろ固まったのでしょうか? また、それは意識的ですか?
ーパネリスト全員が、キャラは固まっていないし、変わり続けるべきだとの意見。基本的な教育理念は変わらないから、それに合わせて、また必要に応じてキャラを変えるのが良いと思う。教師を始めたころの方がキャラが固まっていて、教科書どおりの授業をしていたが、だんだん臨機応変にできるようになった。相手(学生)に合わせることが重要。

質問3:キャラづくりに関して影響されたことは何ですか?
今までに自分が出会った高校や大学の先生から影響を受けたという意見が多数でした。「表現行動を学んだ」「クラスの学生の反応からキャラをつくっていった」という意見もありました。
質疑応答のあと、パネリストのみなさんからアドヴァイスをいただきました。各パネリストが自分自身の体験談を交えながら意見を述べて下さいました。
・キャラは固まらなくていい。
・力まなくてもいいので、その場で相手に合わせられるように。
・生徒が授業を理解することが一番大事。学生をよく見ることが重要。

学生との関わりや、教師としての経験を積むなかで自然に教師キャラができていくので、考えすぎず、臨機応変に対応するのが良いということのようです。今回の話し合いでは、さまざまな先生方の経験談を聞くことができ、教師像だけでなく、学生との対人関係一般を考える上でも有意義であったと思います。
(Y.I.)

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例会報告2

教材紹介:Spirale 
ー日本人初心者のためのフランス語教材

Gaël CREPIEUXさん、
Philippe CALLENSさん、
高瀬智子さん

テーマ:教材


『ヨーロッパ共通参照枠』のA1に考慮しながら、初めて日仏共同プロジェクトによってつくられた教科書Spirale(アシェット/ピアソン・エデュケーション)が、執筆者であるGaëlさん、Philippeさん、高瀬さんによって紹介されました。

■ 従来の教科書と比較するために
 まず、『ヨーロッパ共通参照枠』による到達レベルA1の内容を確認しました。Spiraleは、そのなかでもsavoir-faireが重要視しています。比較のために例として動詞allerを取り上げ、従来の教科書ではどのように教えられているのか、グループに分かれて検討しました。Gaëlさんたちが用意した記入シートに沿って、以下の3項目について考えました。グループから出た主な意見を挙げます。

1)あなたが使っている教科書では、動詞allerはどのように現れますか。
日本の文法教科書では動詞の活用表と共に現れる。フランスの教科書では、ある課の導入文のなかで現れたり、動詞が使われる状況が具体的に示されるディアローグのなかで現れることも。

2)教材をどのように利用していますか。
活用を教えたあとに教科書に載っている練習問題を行わせる。ディアローグを利用してロールプレイを行わせる。例文を利用して、先生と生徒で、あるいは生徒同士で質問・応答をさせあうなど。

3)教室活動によって、各学習者が学習目標に到達できていると思いますか。
ほとんどの参加者が、学習者は最低限のことは理解できていると考えているようです。

■ Spiraleの構成
 Spiraleの第13課 ≪Tu vas où ce week-end ? ≫ のコピーを見ながら、その構成および、動詞allerがどのように取り上げられているのか、発表者/著者は次のように説明しています。
- 課の冒頭で、学習者の到達目標が提示され、課の進行に合わせて無理なく表現が身につくような構成(基本から応用へ)
- 基本表現の導入と関連語(イラスト入り)の提示→練習問題→発音→ディアローグ→文法事項のまとめ(必要に応じて参照)→筆記による練習問題
- 長めの文章やディアローグは基本項目の学習後に現れる。それらの文章は既出単語で書かれているので、学習者は負担なく読むことができるはず。
- 現実的な状況に即した形で、表現を使うことを学べる。課の冒頭の基本文も質問・応答という短いディアローグの形で提示されているので、状況を理解しながら学べる。

 とくに日本人学習者向けに施したという工夫としては、以下があります。
- イラストが豊富。人称による文字の色分けなど、見やすくする工夫。指示や見出しが日本語・フランス語両方で示されている。

しかしながら、実際に例会参加者とSpiraleを検討すると、以下のような改善すべき点も見つかりました。
- ≪Prononcez ! ≫(発音練習)では、Les liaisonsとしか表記されていない。リエゾンとアンシェヌマンが混同されてしまう。
- 13課で学習する場所の表現のなかに、àではなくenを使うものが説明なしで出てくる。学習者を戸惑わせるのではないか。発表者によれば、この点については課の最後の文法コーナーに説明がある。
-スケジュール表を見ながら「いつ・どこに行く」というフランス語の文章を言う練習問題があるが、例文がLe lundi matin, il va à l’université.となっていて、「毎週月曜日に行く」という習慣の表現になっている。これは、いつでも曜日には必ずleをつけるのではないかという誤解を学習者に与えかねない。
 以上、鋭い指摘もありましたが、Spiraleが今後、各実践の場でどのように活用されていくのか楽しみです。
(Y.I.)

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次回のPékaは...


次回のPékaは…

2月17日(土)
14:30-17:20

ピアソン・エデュケーション
102/103会議室 (地階)
(杉並区高円寺南2 - 44 - 5
tel 03 - 3314-8181
JR中央線高円寺駅徒歩5分
地下鉄丸の内線新高円寺駅徒歩7分)
http://www.pearsoned.co.jp/


1. 英語学科ヨーロッパ2言語コース
 というカリキュラム
(白井春人さん)

 大東文化大学外国語学部英語学科では、2006年度より、ヨーロッパ2言語コース(英独系/英仏系)を含む新しいカリキュラムが導入されました。大東文化大におけるフランス語科目のサバイバル状況について、ご紹介します。

2. Pekaの今後の運営について
 (ニューズレターおよび論集EDFJの発行形式/頻度、2007年度例会テーマ等)
(司会:善本孝さん)

*予定されていました「体の使い方・声の出し方」ワークショップは、延期になりました。



       

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