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NO.171

 

 

「困っていること(続)」

*2018年度年間テーマ:
「ひろがる授業」


03/09/2018

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.171
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
名義:ペカタントウ ウザワケイコ

郵便振替口座
00120-1-764679
加入者名:PEKA

 

■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

9月の例会テーマ:「困っていること(続)」

日時 : 9月15日(土)14:30 〜 17:30
会場:アンスティチュ・フランセ 東京(飯田橋)107教室
(エントランスホール正面の受付脇の通路を通り抜けて、奥の方にあるラボ教室です)
アクセス:http://www.institutfrancais.jp/tokyo/about/contact/

どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

*2018年度年間テーマ:「広がる授業」

■□■

☆☆ 2018年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。


2018年9月15日、10月20日、12月15日、
2019年2月16日(もしくは23日)。

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
======【2018/06/16 14h30-17h30 @アンスティチュ・フランセ東京】

◆会計報告
- 会計細目の報告(*PEKAのメーリングリストに登録されている方は、2018年6月16日付の鵜澤恵子氏のメールで細目を確認可能)。
- EDFJのどこかで「PEKAの運営はカンパによって活動している」ことに言及する(12月の例会でこの点をきちんと確認しておく)。
- 会計担当者の引き継ぎが提案された。

◆6月の例会テーマ:<困っていること>
6月に入り新学期も2ヶ月が過ぎた。この時点で本年度担当している授業で困っていること、悩んでいることを挙げ、意見交換をする。

◇先ずは参加者たちが自己紹介を兼ねて、「悩んでいること」を紹介した。
- 授業準備に時間をかけ過ぎていると感じている(クオーター制、年間14コマ、週平均7コマ)
→ 参加者の授業準備時間は?準備を効率化させるヒントを得たい。

- 複数の教師が担当する授業(1クラスを3人の教師が担当)で、教師間(特に日本人とネイテイヴの間)の意思疎通や授業改善のための話し合いができていない。(未検討)
→ 教師間のコミュニケーションが希薄なために、同じクラスを担当しているにもかかわらず、授業内容に一貫性がなくなっている。また教師の中には、これまで続けてきた方法やカリキュラム編成を変えたがらない人もいる。

- フランス語による口頭コミュニケーションの重要性が同僚の日本人教師によって認識されていない。(未検討)
→「文法ができ、黙読して翻訳することができさえすればよい」という考え方を持っている教師がパートナーの場合、総合フランス語の授業の内容が偏りがちになってしまう。

- 大学で3時間の長時間授業を受け持っている。学習者たちの疲れを軽減し、モチベーションや集中力を維持する効果的な方法を模索している。(未検討)

- 高校一年生の会話の授業の場合、とにかく固くなっており、リラックスして発音してもらうのが難しい。緊張をほぐす方法を模索している。(未検討)

- 短い時間の大学授業で40人以上の大人数をどのように扱うか。

- 教科書のページ紙面構成の問題(文字が小さい、1ページに詰め込みすぎており圧倒されてモチベーションが下がる等)。

- DELF(B2)受験対策(特にPRODUCTION ECRITE)の授業で時間が足りない。

- 初級の授業での受講者が、中級の授業にいない(フランス語を学年をまたいで続ける学生が少ない)。(未検討)

◇上記の問題のうち、今回は(A)教科書の問題、(B)大人数の短時間授業の問題(C)授業準備時間の問題、(D)受験対策の問題が話し合われた。

(A) 教科書のページ構成に関する問題:
- 教材(教科書、Plan de Paris等)の持つ物理的な問題点(文字の小ささ、判の大きさ、重さ等)は、身体レベルでストレスがかかる。ただし、例えば教科書の内容を豊富にしようとするとき、文字は必然的に小さくなり、1ページに含まれる項目も増える。
この点でページに関する問題はジレンマである。

→ 文字が小さい場合は、拡大コピーを用意し配布する。

→ 虫眼鏡を使う。学習者にとっても文字の小ささが負担になる場合は、虫眼鏡を学習者数に応じて何本か用意しておく(グループ作業の場合は、グループの数だけ用意)。

→ 字が込み合っている教材では1行空けるようにして書き写してプリント化する。

- 学習者は教材を自分のものにしたいという気持ちを持っている。紙媒体の教材はもとより、デジタル媒体の教材も可能な限り学習者に渡すようにする。特に、学習者が学習内容を随時書き込めるように紙媒体教材を可能な限り用意し、これを学習者に渡すようにする。

- 教科書が重い場合
→ 裁断、分割して持ってきてもらう。

- PowerPointに教材内容を転写する(この方法に対しては、転写作業やアニメーション設定に時間がかかりすぎるのではという問題点も挙げられた。この点の詳細については後述)。

- 各教科書が持つ難点を教師があらかじめきちんと把握しておき、授業を始めるにあたって学習者に伝えておく。

(B) 大人数の総合フランス語授業(大学、医学部)
授業環境:選択必修、1時間、44人(週一回)
→ Travail en paireを実践している。とはいえ人数の多さや作業スピードの違い等のためにチェックが行き届かない。

- 受講学生の特徴:「教養」として選択している、文化や料理等についてもう少し話してみたい、自己紹介・好き嫌い・レストランでの会話を実践してみたいといった関心を持っている。

他の参加者からの提案:
- 4人グループになってもらい、プリント中の設問を完成させる作業をする。課題を終了したグループからチェックのハンコをプリントに押す。

- タイムキーピングの重要性を常に意識する。そのためには授業計画をあらかじめきちんと立てておく。参加者のひとりは、実施項目ごとに時間を設定し、タイムスケジュールを用意しているとのこと
(このタイムスケジュールに対しては、疑問も示された。すなわち、時間を細かく設定しすぎると、学習者が思いがけない良い反応をしても、それを展開させる余裕が授業になくなってしまう可能性がある。学習者の反応を活かす授業と予定をこなすだけの授業の差異は意識すべきである)。

派生的な話題として「大人数での協同学習」について意見交換がなされた:
- 方法の提案:グループにひとりリーダー役を設ける。リーダーは教師とのコンタクト役で、授業の度に変わる(この方式で80人から100人の学生からなる授業を成立させる)。

- 協同学習における「上手くゆく」とはどういうことか?
→ 全員が参加していることではないか?学習者がどのようなかたちであれフランス語に少しでも多く触れてもらうことが重要。

- 大人数授業での小グループ学習では「書き」作業が中心になる。
オーラルの練習は難しい(作業時の学生間の会話は日本語になることがほとんど)。

→ Siriを活用してみる:Dis Siri ! → Quel temps fait-il aujourd'hui ?(Siriが答えることができれば、学習者は伝わる発音をしていることになる)

→ Googleで発音をチェックしてもらう(同上)。

→ パートナーが言ったことをdictéeする。--> グループで文章をプリント1枚分完成させる(最終的にリーダーがまとめ、教師に提出)

→ テスト、成績を意識させる、参加意欲を向上・維持させる。

- Oralのテスト方法
→ ランダム方式:oralの試験を受けに来る時間帯を指定し、ランダムで出題する。

→ 会話の授業ではそもそもテストをしない。

→ 会話のテストではあえて未学習の表現を使う。
→ 学習者のコミュニケーション能力を見る。何らかのかたちでコミュニケーションをとろうと努力した学生には加点する。

→ 評価基準:明確に設定しておく(授業中に評価基準を意識してもらう)--> インターネット上にリスト例がある(相手の言っていることを聴いているか、声の大きさは充分か、円滑さは充分か、等々)。
*フランス語自主学習サイト「Furago(フラ語)」の紹介(東京藝術大学が運営しているサイト)
https://www.furago.education/

→ レベル別練習問題が多数あがっている(発音チェック問題もあり)。スマートフォンでも利用可能。

→ 加点用の教材として授業に導入できる。

(C) 授業外の準備に時間をかけ過ぎている可能性がある
授業のために教材や手順を準備していると、予想される問題がどんどん出てくる。これについて解決策を考えているとあっという間に時間が過ぎる。だが、予想される問題が気になってしまい、準備を止めることができない。

- 基本は授業の3倍の時間をかけて準備する。
- 10コマ以上の授業を担当している場合は、ひとつの授業に多くの時間をかけることは物理的に難しい。
→ 授業で何をどこまで学習するのか、またその学習方法が明確であり、これらが実現できていればそれで充分ではないか。

- 準備とその注意点の例:PowerPoint教材を作る際は注意が必要である。
当該のスライドを授業でどれくらい使うのか、それだけの準備時間をかける価値のあるスライドなのか、という「問い」をつねに意識して作成する必要がある。

PowerPoint教材は、作り始めは時間がかかり、内容を練られたものにするのも難しい。だが、スライドによっては再利用が可能であるという利点がある。再利用をする際に、担当授業に合わせてスライドを改良し、また問題点を改善することができる。一度作ったPowerPoint教材をとことん使い込むことが重要である。

- 学習者を信じて、あまり手を入れすぎない方がかえって授業が活き活きとするのでは。
教師の指示に不備があっても、学習者はその不備に上手く対応してくれる。

(D) DELF(B2)受験対策(特にPRODUCTION ECRITE)の授業で時間が足りない
論点:出題文や問いを正確に読めなければならないだけでなく、文章を書くにあたっての細かな部分、例えば、場所を表す前置詞が正しく使えていなければならない。

→ 前置詞各種の使い方を学習するために練習問題をたくさんやってもらっているが時間がない。

→ 「フランス語の文章をたくさん読ませればよい」という授業方針では時間的に無理がある。

上記の問題提起に対して次のような意見があがった。例えば穴埋め式問題では、フランス語を表現として教えられない(この点については以下の(E)で詳述)。
- 授業前提:試験対策とはいえ、学習者ごとに困難な点の傾向が違うので、宿題を通じて各人の傾向を把握する必要がある。

- 授業のおおまかな流れ:宿題 -> 難点の傾向を把握 -> 教室内授業で説明

(E) PRODUCTION ECRITEにおけるPRODUCTIONとは?
PRODUCTION ECRITEにおいては、知っているフランス語表現をアウトプットするかたちで文章を書けることが「フランス語が使える」ことである。

→ 日本語では「文を作る」という表現がよく使われる。だが、PRODUCTION ECRITEは、フランス語の文を構成する各単語を先ずは日本語で考え、これをフランス語に翻訳し、文法知識によって単語群を文の形に組み立ててゆく作業ではない。PRODUCTION ECRITEとは、学習したフランス語表現が自然に出てきてそれを文字化することである。

→ 文の型を学習することの重要性:production ?criteの場合、前置詞の使い方等の他に、structureをきちんと理解しておくことが必要である。Argumentationとは何かを理解していないがために、試験で的外れな文章を書いてしまう学習者が結構いる。

→ 授業では、筆記と口頭の両方を相補的に使って表現を覚えるようにする。

→ PRODUCTION ECRITEで出題されるSUJETを使って、ARGUMENTのPROPOSを見つける(例えば、SUJETで使われているある言葉についてPOUR OU CONTREを述べる等)。

- 学習者への注意点:「PRODUCTION ECRITEができるようになるには時間がかかる」ということを予め学習者に伝えておくこと。

→ 例えば宿題中の問題点を局所的に解決できても、それはピンポイントなものであることが多い。この問題点を一般化することができなければならない。

→ とはいえ、自分には何が足りないかを学習者が認識するだけでも充分ではないか。

→ 結局、プライベートレッスンを受講してもらうことが効果的ではないか。

次回例会2018年9月15日では、今回扱えなかった「困っていること」について意見交換をする。
(Y.I.)




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