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NO.169

 

 

「Dialogueをどう扱うか」

*2018年度年間テーマ:
「ひろがる授業」


15/04/2018

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.169
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*PEKA活動資金カンパ口座
三菱東京UFJ銀行 板橋支店
普通3591136
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

4月の例会テーマ :「Dialogueをどう扱うか」

日時 : 4月21日(土)15:30 〜 18:30 
*教室予約の関係で通常よりも1時間繰り下げて始めます。ご注意ください。

会場:アンスティチュ・フランセ東京 
205教室(15:30-16:20),206教室(16:30-18:30)
アクセス:http://www.institutfrancais.jp/tokyo/about/contact/

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

*2018年度年間テーマ:「ひろがる授業」



■□■

☆☆ 2018年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。


2018年4月21日、6月16日、9月15日、10月20日、12月15日、
2019年2月16日(もしくは23日)。

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
======【2018/2/24 14h30-18h @明治大学(駿河台校舎)】

●発音アトリエ <発音をどのように教えるか>
ANIMATRICE :鵜澤恵子

*2016年に行われた発音アトリエの続編です;前回のアトリエの詳細は以下をご参照ください。
鵜澤恵子『何を発音として教えるのか』(Etudes didactiques du FLE au Japon 第26号, 2017.
http://peka-web.sakura.ne.jp/index.htmlからダウンロードできます。)
(EDFJバックナンバー冊子のご希望は、茂木さんまでご連絡ください。)

 前回の発音アトリエでは、フランス語発音の特徴についてまとめました。今回のアトリエはその続編として「どのように教えるのか」という問題に焦点を当て、主にイントロダクションとアクティヴィテづくりの二部構成で実施されました。

◇イントロダクション
1. はじめに、発音を教える際に注意する点として以下の事柄が挙げられました。

- あるテクストをきれいに音読できることと、内容を理解していることは同じではない。以前は意味に執着して発音がおざなりになっていた学習者が多かったが、昨今は発音はそれなりにまねできるが意味が音に伴っていない学習者も増えた。
- 国内出版のフランス語の教科書によく見られる巻頭の発音ページを使っての学習は、特に初学者にとっては困難である。これについて以下のような理由が挙げられた。
→ほとんどの単語は未習である(意味を説明すると、もはや発音の練習なのかどうなのかわからなくなってしまう)
→最初はフランス語の音そのものを認識できていない
→綴りのシステムを知らないのに読まなければならない。
- 発音のEXERCICES で、音を識別してチェックしようと言われても何のことだかわからない。例えば、学習者がanなどで表記される鼻母音と in などで表記される鼻母音のちがいを認識しない(同じ音だと思った)ままでは「音の聞き分け」はできない。

- 発音がフランス語の学習そのものに困難をもたらしていると思われる時に、問題を解消する手段として発音を教えることが合理的と考える。ANIMATRICE(鵜澤)が担当する初学者の授業では、授業時間の半分程は発音を扱っているという印象がある。

2. 以上から「初学者にはどのように発音を教えるか」という問題について、以下のようなことに留意することの重要性が確認されました。
→細かいことよりも通じること
→フランス語の音声的なイメージを喚起すること
→発音するときの力の使い方(日本語とは逆にはじめは弱くてだんだん強く、そして最後の母音をはっきり発音するクレッシェンド型)に注意を向けること
→音と音が繋がる言語であること
→まず音を学習し綴りについては音をある程度認識できてから教える
など。

3. 次に前回の復習として、アトリエ参加者がフランス語の発音に関して思い付く要素をホワイトボードに書き出し、3つのグループに分類しました。
- 第1グループ(単音の発音):
母音が大事;音(LES SONS)を明るい・強いなどのイメージとして捉える;口を縦に開けるイメージで発音する(下顎を上下させる);口の形と舌の位置(口の中の空間);日本人が苦手な音(鼻母音や、[y] ,[u], [R]);英語の発音のしかたとは大きく異なる。
- 第2グループ(PROSODIE):
INTONATION, 最後の母音が長く強い;母音がリズムを作る;LIAISON;SYLLABES;単音に固執しない(GROUPES RYTHMIQUES);ELISION, ENCHAINEMENT VOCALIQUE ET CONSONANTIQUE.
- 第3グループ(発音の各要素についての学習段階):
LA SENSIBILISATION, LA PRODUCTION, L’EXPLICATION, LA FIXATION, LA REPRODUCTION.

◇アクティヴィテ 
参加者は3〜4人のグループに分かれ、各グループが<ALPHABET>, <NOMBRES>, <NOMS PROPRES FRANCAIS>, <PROFESSIONS>, <文法>のうち1つのテーマを担当し、発音学習のためのアクティヴィテづくりを行いました。
以下はその際に各グループが提示したアクティヴィテ案とそれについてのコメントです。

1. ALPHABETのアクティヴィテ案:
「HIGASHINAKANO(東中野)」,「SONY(ソニー)」といった親しみやすい単語を例にして綴りを言い、発音しづらい音を学習する。
→コメント:ALPHABETそのものを扱う場合は、発音としてではなく単語の綴りとして提示する。そうでないと音声学に関心のある人にしか響かない授業になってしまう恐れがある。

2. NOMBRES のアクティヴィテ案:
音節の練習として手を叩きながら発音する(GROUPES RYTHMIQUES) 。またNOMBREの1(un)から10(dix)までは1音節なので、全員で手を叩きながら発音して数える。
→コメント:二人組で行うと初心者同士でも相手をチェックすることができる。聞く人が誰もいないことを独りでしたり、先生にチェックされるのは学習者にとって苦痛になる。一方で、友達同士でチェックし合いながら発音するのは楽しい。手だけでなく、足踏みや、肩を手で叩くなど体を使う。
→ほかのアクティヴィテ案:NOMBRESの発音に対応する口の形を絵で描いてそれを手がかりにペアで練習する;指でNOMBREを示して “C’EST COMBIEN ?”とペアで尋ね合う;仮の電話番号を書いたカードをペアで交換し、それぞれの番号を言って確認する。

3. NOMS PROPRES FRANCAISのアクティヴィテ案:
子供の名前、聖人の名前、街の名前などを語彙として扱う。男性・女性で変化するものでは音と綴り字のバリエーションを提示し確認する。
日本語化しているフランス語の固有名詞の発音とフランス語の実際の発音が違うことを示す。
フランスの地図を提示して、地名を発音させる。
英語圏のドラマを見せて、Peterなどの人名が言語によって綴りと発音が変化することを確認する。

4. PROFESSIONSのアクティヴィテ案:
職業名の男性形と女性形の差異を示すために、職業的な特性をそれぞれ示した男性の写真と女性の写真を提示する。その際、語末のeに注意を喚起するため、先に女性名詞を提示した後に男性名詞を紹介する(例:MUSICIENNE-MUSICIEN, PATISSIERE -PATISSIER)。
→コメント:文字を見れば女性形にはe があるとわかるが、発音として考えると、例に挙げられたような単語は語末の発音がかなり違うので、女性形を先に出す意味は特には無いように思われる。
→ほかのアクティヴィテ案:
単に職業名の男性形と女性形を比較するアクティヴィテの例としてカッコ内のものが挙げられた
(ACTEUR-ACTRICE, REDACTEUR-REDACTRICE, DIRECTEUR-DIRECTRICE, TUTEUR-TUTRICE, CHANTEUR-CHANTEUSE, DANSEUR-DANSEUSE, SERVEUR-SERVEUSE)。
その他、職業名を発音しながら音節を数えるアクティヴィテ(PIANISTE, JOURNALISTE)や、混同しやすい音を含んだ職業名を複数提示して比較練習する(ENSEIGNANTとINFIRMIERの語頭の発音の違い)アクティヴィテなど。

5. 文法のアクティヴィテ案 :
否定の形を教えた後のアクティヴィテとして、任意の国籍を自分で決め、ペアで国籍を尋ね合うもの
("TU ES AMERICAINE ?" -- "NON, JE NE SUIS PAS AMERICAINE." 等、当たるまで続ける)("JE NE"を1音で言う)。
ELISIONの練習として無音のhまたは母音が語頭に来る動詞(HABITER, ETUDIER, AIMER, ADORER, etc.)で会話をするもの
("TU HABITES A TOKYO ?" -- "NON, JE N'HABITE PAS A TOKYO.")。
ELISIONの学習は後回しにしてNE … PASを使う形を覚えて練習する("JE SUIS JAPONAIS ET TOI ?" -- "JE NE SUIS PAS JAPONAIS.")。
複合過去形の否定形を反復練習の中で音として覚えてもらう。
→コメント:文法の例文であったとしても音読してみることは大事。リズム、音節(eを発音する/しない)、イントネーションやENCHAINEMENTに注意して読む。この時もグループで練習するアクティヴィテを考える。

●アトリエの前後に行われた運営に関わる連絡・協議事項
1. 国内スタージュにて配布予定のPEKA案内文案について確認と、PEKAメーリングリスト登録依頼の随時受付についての案内がありました。

2. 来年度の年間テーマと日程、EDFJについて
- 2017年度の年間テーマは「能動性を喚起する授業作り」でした。2018年度の年間テーマは「ひろがる授業」となりました。
例会ごとに扱いたい小テーマの提案としては、以下のようなものがありました。「困っていること」、「指示」、「Dialogueをどう扱うか」(4月のテーマとしました)、「授業の中でのスマホの使い方」、「スマホを活用した授業(写真、google翻訳、wikipedia、SNS)」、「学習者の創造性を活かそう」、「イニシアチブ」、「評価」、「教室の外」、「フランス語学習に意味を持たせる課題(学習者が周りの人々を巻き込む質問を想定したもの)」。
- 例会日程は従来通り年6回・第3土曜日、4/21, 6/16, 9/15, 10/20, 12/15, 2/16(もしくは23)としました。
- EDFJ発行について、今年度の印刷部数は200部としました。小石研究室保管のストックを茂木研究室に移動したこと、国会図書館への納品者についても同様に、小石さんから茂木さんへ名義変更したことについての報告がありました。

(K.Y.)




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