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NO.167

 

 

「学習者の能動性を喚起する授業をしているか?」

*2017年度年間テーマ:
「能動的な学習を喚起する授業づくり」


04/12/2017

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     PEKA (ペダゴジーを考える会) News Letter no.167
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■□■ 次回例会のご案内 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

12月の例会テーマ : 「学習者の能動性を喚起する授業をしているか?」

日時 : 2017年12月16日(土) 15:00 〜 18:00 (通常より30分繰り下げての開始となります。)
場所: 明治大学駿河台校舎研究棟4階 第7会議室
(〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1 TEL 03-3296-4545)
http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/
(リバティータワー3階の連絡通路から研究棟に渡るとそこは研究棟の4階です。)

* どなたでもご参加いただけます。参加費は無料です。

*2017年度年間テーマ:
「能動的な学習を喚起する授業づくり」



■□■

☆☆ 2017年度例会日程 ☆☆☆☆☆
以下の通りです。メモをお願いします。

12月16日(土)、2018年 2月17日(土)(24日(土)にずらす可能性もある)

いずれも土曜日の14時30分 〜 17時30分ですが,会場の都合により時間が変更になる可能性があります。
また,開催場所については,例会ごとに案内をご確認ください。

 

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■■■例会報告////////////////////////////////////////////////////////////
【2017/10/21 14h30-18h
@明治大学駿河台キャンパス】________________

10月の例会テーマ は、「ブザンソン研修で何を学んできたか」と「能動性を喚起する授業を自分でやっているか(前回テーマ “APPROCHE ACTIONNELLE” に関連して)」の2つが予定されていましたが、時間の関係で、
「2018年夏期CLA(ブザンソン)スタージュ報告」のみとなりました。
(3人の報告者の発表が中断されないように、という理由からの当日参加者の判断です。)

■報告1−丸尾さん
“APPRENDRE AVEC LA CHANSON FRANCOPHONE” ANIMATRICE : NICOLE POIRIE

◇DUFLE、春の国内スタージュに続き、今回のCLA (CENTRE DE LINGUISTIQUE APPLIQUEE DE BESANCON)での研修(7月31日〜8月10日)は外国語としてのフランス語教授法に関する3回目の研修だったため、自分にとっては、色々なことが頭に入りやすかった。
2週間の研修は、3つの授業(90min×10回)+αでアトリエも選択可能という構成。
その中から、授業を実施する上でFLEの概念について考えさせられたNICOLE POIRIE先生の授業を紹介したい。
もともとは、特にシャンソンを授業で使うことは考えていなかったが、FLEの枠組の中でシャンソンをどう使うかに興味があったためこのアトリエを選んだ。

◇「なぜシャンソンを授業に使うのか」という説明があったかどうかははっきり記憶していないが、シャンソンを用いて外国語としてのフランス語を教えることを前提としたアトリエだという説明は最初にANIMATRICEからあったと記憶している。授業は以下の2つの部分によって構成されていた。

1)シャンソンをどう授業に活用するか、講義形式で紹介
2)グループ学習+発表 それぞれ紹介された曲から好きなものを選び、教案を作成 → EXPOSE
受講者数14〜15人。国籍は様々。
例を挙げると、丸尾さんのグループ構成は、アルジェリア人REDA (高等師範学校の学生)、アゼルバイジャン人MAHSATI(小学生を教えた経験が長い教師)と日本人の丸尾さんだった。
講義形式の部分では、シャンソンを用いる場合、COMPREHENSION GLOBALE からCOMPREHENSION DETAILLEE に、という流れで授業を組み立てるという方法が提示された。

ANIMATRICEの講義を踏まえて準備された、丸尾さんのグループのTPの一部紹介:
A2レベル向け“TU PEUX COMPTER SUR MOI”DE BENABAR を用いたACTIVITESを考案。
https://www.youtube.com/watch?v=63GMI4A0z5I

- 1. まず、通して歌を聞き、学習者の関心をひくような質問をする。
例:COMMENT EST LE RYTHME DE LA CHANSON ?,
EST-CE QUE LA CHANSON VOUS PLAIT ? POURQUOI ?,
QUELS MOTS CONNAISSEZ-VOUS DEJA ? など。

-2. 次に、歌詞を部分的に聞いて、答えを選択肢から選んだり:
# 第3節
QUELS MOYENS DE TRANSPORT SONT IMPOSSIBLES POUR LUI ?
- L'AVION / LE BATEAU / LE TRAIN (EN SECONDE CLASSE) / LA VOITURE

部分的な聞き取りを促すような質問をしたり:
♯ 第6節
- EN QUELS MOIS CROIT-IL ETRE DISPONIBLE ?
- QUEL JOUR EST-CE QU'IL NE FAIT RIEN ?
- QUAND EST-CE QU'IL N'EST PAS TROP JOIGNABLE ? (S'ASSURER DE LA COMPREHENSION DE L'ADJECTIF) [ LEXIQUE: LE WEEK-END, LA SEMAINE, EN JUIN, DIMANCHE (LE JOUR) ]

というプロセスを経て・・・
- QU'EST-CE QUE CA VEUT DIRE “COMPTER SUR QUELQU'UN”?
- EST-CE QU'ON PEUT COMPTER SUR LUI ? POURQUOI ?
という、本題に迫る(?!)質問にと持って行く!

- 3. そして歌詞を利用し、LE FRANCAIS FAMILIERに意識を向けるACTIVITEにも挑戦する。
-TRANSFORMER DES EXPRESSIONS DE FRANCAIS FAMILIER EN FRANCAIS STANDARD
FAMILIER : SI T'AS BESOIN DE MOI → STANDARD : ( )
FAMILIER : J'PRENDS PAS → STANDARD : ( )
FAMILIER : J'CONDUIS PAS → STANDARD : ( )

- 4. 歌詞カードを配り、見ながら歌を聞く。区切りながら再生し、知らない単語があるか確認
一緒に歌ってみる。お互いに質問し合い、歌のテーマ(LA FAUSSE AMITIE)を見つける:
例:QUE PENSEZ-VOUS DU CHANTEUR ?, EST-CE UN VRAI AMI SELON VOUS ?, QUEL EST LE THEME DE LA CHANSON ?

◇この教案を作成する際、最初の段階でわからない単語がないかどうか学習者に質問する、という方法を考えていたのだが、ANIMATRICEから、わからない単語があるかどうか聞くのは上記4の段階にきてからだと提案があり、こういう方法もあるのだということを学んだ。(by 丸尾さん)
(以上、丸尾さんの配布して下さったハンドアウトを部分的に引用させていただきました。)

◇JOHNNY HALLYDAYの曲を選んだ別のグループの発表に関するエピソード:
曲のテーマが戦場での苦しみを扱っていたため、発表者(モロッコのINSTITUT FRANCAISの教師)は歌詞の理解に関する質問から離れ、ピカソの絵を使って戦争についての議論をもちかけようとした。
この授業案は、学習者のレベルが高くないと理解が難しいため、NICOLE [=ANIMATRICE]は「モロッコでは第二言語としてのフランス語(FLS)を使い慣れている学習者が多いかもしれないが、このアトリエで想定しているようなFLE(外国語としてのフランス語)の授業の対象者には向いていない」と指摘したところ、モロッコの教師は「自分はこうして教えてきた」と反論し、両者の間で論争になった。

◇NICOLEがアトリエの後、「準公用語としてフランス語を使いこなせる学習者が多いモロッコでは、フランス語圏以外の外国人が学習者である場合を想像するのが難しい」と言っていたのが印象に残った。
今回は特にFLEとFLSの違いについての認識が生まれた(マグレブ諸国出身の方々の存在のおかげ)。

■<報告2−八木橋さん>
“LA SOCIETE ET LA CULTURE FRANCAISES AUJOURD'HUI” ANIMATRICE : JEAN-MARIE FRISA

◇アトリエの始まる前から何かのシャンソンが教室に流れていて、STAGIAIRESはそこに入ってくるような設定になっていた。
→自然とそのシャンソンの好き嫌いなどについての会話が受講者の間で始まる。リラックスした雰囲気を作ることに役立っていた。
→このスタージュ全体を通し、フランス語圏の映画、音楽などをその文化的コンテンツとして紹介することも目的としていたのではないかと推測された。

◇受講者の国籍は、マグレブ諸国、ヨーロッパ(イタリアなど)、アジアなど文化的背景は様々だった。
アトリエで提供された資料とACTIVITESの例(その意図)には以下のようなものがあった。
- カレンダー:左側にフランスの祝祭日が表示されていて、右に自国の暦を書き入れられる形式のもの
- フランスの地図(名産物、気候、など、異なるテーマの地図):グループごとに配布 → コメント
この資料に関して、アトリエ受講者から、「フランスの事をよく知らない学習者は地図の意味していることもわからないし、コメントするフランス語力にも問題があり、難しすぎるのではないか」という指摘があった。
これに対し、ANIMATEURからは、これらの資料は「フランス語ができるかどうか」「正しい知識を持っているか」を確認するものではなく、「自由に資料を使い、自国と比較、コメントしていく」ためのACTIVITESを可能にするものである、という意図が説明された。
(例会では、ここで、「NIVEAUXの設定」というような話が出た。例えば、初学者には無理でもB1以上のレベルならば、ある程度複雑な資料の使用も可能ではないか?など。)

◇また、受講者の名札(三角席札):名前+国籍を書いたものの使用法が興味深かった。
よくあるように、受講生自身が保管しておくのではなく、ANIMATEURが回収し、アトリエのはじめに1人1人に毎回配るというRITUELとも思える時間があり、「あなたはどこどこの国から来た何々さんですね」と1人1人を「異なった人格として認識していることを伝える機会」として利用しているように感じられた。

■<報告3−飯田(賢穂)さん>
“ENSEIGNER LA PHONETIQUE PAR LE RYTME ET LE MOUVEMENT” ANIMATRICE : REGINE LLORCA

◇発音を、単音ではなくGROUPE RYTHMIQUEの中で体得していくことがアトリエの目的の1つだった。
UN ARC ACCENTUE (U-NAR-CAC-CEN-TUE) リズムに合わせて、歩く、など体を動かして発音
UN GROS HIPPOPOTAME (UN-GROS-HIP-PO-PO-TAME)
単音の場合と文脈中とでは、発音のされ方は異なる、という前提のもとに、必ずフレーズを用いる。
次のVIDEOを参照: “SALON DE GRAMMAIRE” https://www.youtube.com/watch?v=AW3wiwIqygM

◇アクセント(またはイントネーション)の位置に気を付けて
緩急・リズムを感じながら、単音ではなく上記のような短いフレーズの中で練習
さらには、母音の発音を、ジェスチャーを付けて練習。開口度に合わせて、腕を動かすetc

◇リズムを取り入れることによって、覚えやすくなる、という効果があると推測される。
例えば、3つの鼻母音:CONSTANTIN が正確に言えるのが目標(CONSTINTIN にならないように):
次のVIDEOを参照: “Les sons [on], [an] et [in] - PARLONS FRANCAIS, C'EST FACILE !”
http://parlons-francais.tv5monde.com/webdocumentaires-pour-apprendre-le-francais/Memos/Phonetique/p-285-lg0-Les-sons--et-.htm

◇飯田さんが感じた問題点:
日本語を母語とする学習者にとって、語末が弱く聞こえるようなイントネーションの型を覚えてしまうと、語尾が聞きづらくなってしまうのでは?舌の位置についてはどう扱うのか?など。
アトリエの担当ANIMATRICE自身も、各国の学習者に合わせて、色々な問題があるということについては、この場で扱いきれないので各自が考えるように、とコメントしていた。

◇例会の参加者の間からは、身体を駆使して発音を学ぶ「メソッド」的なものは、これまでにも複数存在していたが、それぞれ、面白いところもあると同時に危険でもある。身体感覚的なものは、万人に共通というわけでもないし(メソッドを考えた本人にとっては真実であったとしても)、また、母語によって、発音において難しく感じる点も異なるので、必ずしもネイティブの教員が発案したものがベストとも限らない(同じ母語を話す教師だからこそわかることもある)、というコメントもあった。

◇歯に衣を着せない参加者からの色々なツッコミにも負けず、いつもの誠実な調子で、色々なジェスチャー、リズム練習を、全身を使って発表して下さった飯田さん(汗だくでした!)から、もうひと言:
その他のアトリエでは、“DYNAMISER LE COURS D'ECRITURE” (ANIMATRICE:MARIE THIERION)も興味深かった。
例えば、FAITS DIVERS の記事を、LE CADAVRE EXQUIS(優美な屍骸)の手法を用いて何人かで部分的に担当して書く。完成作品をクラス全体で共有し、文章形式の適切さなどの視点から学習者同士が互いに批評する。
(参考:「優美な屍骸とはシュルレアリスムにおける作品の共同制作の手法で、複数の人間が互いに他の人間がどのようなものを制作しているかを知ることなしに自分のパートだけを制作するというもの。文章、詩、絵画などでおこなわれる」Wikipediaより。)

■以上、3人のスタージュ報告により「FLEの枠組みを意識した授業づくりとは?」「学習者が自然に話し始められる雰囲気づくりを自分はしているかなぁ」「発音を教えるって、やはり一筋縄ではいきませんね〜」と、色々と考えるきっかけをもらえたように筆者は感じています。皆さま、いかがでしょうか。
詳しい研修の内容、また彼/彼女たちの鋭いコメントなどについては、来年に出版予定のEDFJで拝読したいなぁと期待しています!
丸尾さん、八木橋さん、飯田さん、ありがとうございました。

■その他の連絡事項、話し合い:
〇例会報告に関して、外部のMLに流すかどうか?という件(P?kaのMLで小西さんからの問いかけ)
- SJDFのMLは例会報告(ニューズレター)の内容本文は掲載せず、次回の案内+リンクを貼る
- フレンチリングは言語学系の議論のためのMLなので、例会報告に関しては、送らない。
〇次回12月16日テーマ:「学習者の能動性を喚起する授業をしているか?」(+EDFJ編集について)
〇鵜澤さんからの提案:2月のP?ka例会で 「発音をどのように教えるか」を扱う。→ 全員賛成!
- アトリエ形式で、参加型のものにしたい。前回の「発音〜何を教えるか」の続編。
( T.T )




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